
今年登場したニューモデルの中で、話題性の高さで新型Zに勝るクルマはない。
誰にでも手に入れるチャンスのある価格設定、さらなる熟成への可能性――。
Zが掲げる志の高さは、スポーツカー=マニアという時代に終止符を打った。
スポーツカーに新たなる価値観を提案したZをあらためて振り返るなら、自らが師と仰いだボクスターを外すわけにはいかないだろう。
リポート|河口まなぶ|M.kawaguchi フォト|郡大二郎|D.Kori |
 |

2002年は、やはりZが復活を果たした年として多くの人に記憶されることだろう。300万円という手軽なプライスタグもあり、この名車の復活は日本だけでなくアメリカでも大きな反響を呼んだ。誰もが買えて誰もが楽しめるスポーツカーを世に送り出し、スポーツカーを復権させようとする日産の意志には私自身深く共感し、全面的に支持したいと思う。
かつてのS30がそのコストパフォーマンスの高さでポルシェ・イーターと呼ばれたように、新型Z33もまた現代のポルシェ・イーターとして誕生した。アメリカでポルシェ・ボクスターの販売は好調であり、ポルシェはこの市場における成功でいまや優良企業となった。'90年代前半の苦境など、もはや忘却の彼方といったところだ。そんなポルシェに一矢報いようとしているのがZ33である。Z33はボクスターの半額で同等の性能を実現し、しかも日産は開発比較車としてこのボクスターの名を挙げているのである。
ボクスターは現代スポーツカーの鏡といえる存在だ。性能はもちろんのこと、スポーツカーにとって最も大切な「走り」を真摯に捉え、いまだ熟成を諦めずに上を目指し続ける。その結果、'03モデルでは現代のスポーツカーとして、ひとつの理想の境地に達したといえる。フラット6はこれ以上ないほどに滑らかで洗練され、内外ともにクオリティが向上。走りに関しても、例えば最も優しい16インチタイヤ装着車だと、もし目をつぶって助手席に座ったなら、上質なスポーツセダンに乗っているような感じさえ受けるほど乗り心地もいい。それでいてスポーツ性の高さはいささかも損なわれておらず、心地よい動きを味わわせてくれる。今回の'03モデルは30分ほどしか試乗できなかったが、その30分は永遠の記憶に残る素晴らしい時間だった。
果たしてボクスターを手本としたZ33は、現段階においていかなるレベルにあるだろうか? 残念ながら、私は足元にも及んでいないと感じる。目に見える部分の仕上がりは十分に許容できる。しかし肝心の中身については、あまりにも寂しいというのが本音だ。
3.5リッターV6ユニットのフィーリングは、スカイラインのそれと何ら変わらない。6MTは手のひらにしっくりと馴染まず妙な硬さがある。サスペンションはハードでバネ下は大きくバタつく。コーナリングは速いが、ステアリングに伝わる感触は薄い。もし仮に目をつぶって助手席に座ったなら、果たして何に乗っているか想像できない乗り味である。動的な質感の部分に何かひとつでも優れたものがあれば、許せるのがスポーツカーなのだが。
しかし、日産はZ33を今後ボクスターのように熟成していくと公言した。確かにボクスターも当初はクオリティ面に不満はあったが、いまや理想的なスポーツカーとなった。ならばZも数年後にはボクスターのようになるだろう。日産は走りに妥協しないメーカーだから、その言葉に偽りはないはずだ。
しかし私の疑問は、なぜ'02年に登場したZ33が、'97年に登場したボクスターを上回っていないのかということだ。もし、Z33の走りに少しでもボクスターを上回る質感があれば、私は日本カー・オブ・ザ・イヤーで間違いなくZ33に10点を入れたと思うのだが。
|
|
|

 |
 |
 |
 |
| 初代S30の登場以来、すでに30年以上が経過した日本を代表するスポーツカー。5代目となるZ33は、伝統のハッチバック形状を基本とした2シーターで、3.5リッターV6NAエンジンは280ps、37.0kg-mを発生。多くのスポーツカーファンに手の届く価格設定でも話題をさらった。18インチ鍛造ホイール、ブレンボ製ブレーキを装備したVersion
Sの価格は3,300,000円。(問い合わせ先:日産自動車) |
 |
 |
 |
 |
| 2.7リッター水冷フラット6をミッドに搭載、カジュアルにもストイックにも乗りこなせるオープン2シーター。ポルシェとしては破格なプライスもさることながら、'03年モデルではパワーアップに伴い各部を大幅に熟成、買い得感はさらに高まった。ミッションは5MT、5速ティプトロニックSから選択可能。ボクスター(5MT)の価格は5,500,000円。(問い合わせ先:ポルシェ・ジャパン)
|
|