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G500 L

LAND ROVER ランドローバー レンジローバー・ヴォーグ
RANGE ROVER VOGUE

プレステージSUV頂上対決
オンとオフを両立する
最高級4WD車の魅力を探る


高級クロスカントリーカーの元祖レンジローバー、ドイツ的合理主義が生んだ機能重視のゲレンデヴァーゲン、そして、SUVの世界に新次元の走りをもたらしたX5。
普段はオフロードを走ることがなくても、年に1度、山の中にある別荘に出かけた時、悪路に遭遇する可能性もある。
ステイタスを求め、自らドライビングするSUVを望むなら、この3台のオン/オフの実力を知らずにはいられない。

リポート|竹平 誠|M.Takehira  フォト|郡大二郎|D.Kori
生まれも育ちも異なるそれぞれの成り立ち

 昨今、高級SUVがトレンディなものと見なされるようになったが、北米に端を発するSUV文化が欧州や日本に飛び火したのは'80年代。各国でSUVが市民権を得るや、そのバリエーションの広がりは、もはやサルーン並みに豊富になり、廉価なものから高級なものまで、よりどりみどりの活況を呈している。その中でもこの3台は、頂点を極めるプレステージSUVと呼べる存在といってよいだろう。
 先頃発売となったレンジローバーは、1970年デビューの初代から数えて3世代目に当たるモデル。その起源は、4輪駆動車専業メーカーであるランドローバー社が、快適な(当時は4駆といえばスパルタンな作業車ばかりだった)ステーションワゴン型の4WDの開発を始めた'60年代に遡る。試行錯誤を重ねて生み出された4輪コイルリジッド・サスペンションとフルタイム4WDシステムの組み合わせは、魔法のような乗り心地と並外れた走破性を実現して世間を驚かせた。
 このクルマの他に類を見ない機能は高い評価を受け、やんごとない方もヒースの丘を長靴で歩く文化の英国人だけでなく、遍く欧州の上流社会に愛されて、瞬く間に「上流の象徴」であるかのごとき普及を見せる。以来多くのコーチビルダーがレンジローバー・ベースの特注車を富豪のために仕立てたり、英国王室御用達のほかローマ法王のパレードの足となる栄誉も得たことなどは、特別な価値の形成に貢献した。
 レンジローバーは単にステイタスだけで語られるクルマではない。4輪コイルリジッドのサスペンションとフルタイム4WDシステムが、後に他社に追従された例からも判るように、常にこの業界をリードしてきた進取の気性も見逃がせない。4輪駆動車へのABSの採用、セルフレベリング、エアサスペンション、トラクションコントロールなど、常に先陣を切ってきたのがレンジローバーなのだ。
 今回の3代目は、ランドローバーがBMW傘下にあった時代に開発が始まったおかげで、当代一流のBMW製エンジンまでも手に入れて、盤石の洗練を果たした。現在はフォードにテイクオーバーされた同社だから、このBMWの心臓を搭載したレンジローバーは、後の時代にはヴィンテージと呼ばれることになるかも知れない。
 X5はというと、BMWの北米市場戦略から生まれたクルマであり、同社にとって初のSUV(彼等はSAVと呼ぶが)だ。他の2台のような歴史はまだないが、初物にして、BMWらしさを微塵も損なわぬSUVを造りあげた技術力には驚きを禁じ得ない。いまや、最もスポーティな運動性能を持つSUVの座に君臨してるといっても過言ではない。レンジローバーとは逆の立場ではあるが、こちらもまた開発当時の技術交流のおかげで、少なからずこの分野におけるランドローバーのノウハウを吸収しており、意外ともいえる優れた走破性や軽々とトレーラー牽引をこなすタフネスぶりを兼ね備える。
 またオンロード重視の低い地上高ながら、アプローチアングルやディパーチャーアングルに優れた車体形状のおかげで、思いも掛けぬ悪路走破性を発揮する点も、このクルマの非凡なデザインの妙といえるだろう。
 メルセデスのGシリーズは、もともとパーパスビルドの軍用車として生まれた。'70年代にオーストリアのシュタイアー・ダイムラーと共同で、ドイツおよびNATO諸国向けの小型4輪駆動車のコンペに向けて設計されたものの民生版が現在のGシリーズの起源だ。軍用であったがゆえの頑丈さや、走破性に対する非常に高い要求値が、Gシリーズの尋常でないヘビーデューティさを生むことになったのだ。また、Gシリーズのアイコンとなっている機能一点張りの「煉瓦のごとき」エクステリア・デザインもここに端を発する。
 外観は「まるで形を変えていない」と思われるGシリーズだが、'79年に登場した460モデルを最初期型とするなら、'90年から生産された463シリーズでわずかに空力を意識した角を丸めたデザインとなったから、カタチ的には現行モデルは第2世代というのが正しいかもしれない。機構的にもこの時点でエンジンラインナップの変更以外に、フルタイム4WD化とABSの採用がなされ、伝統のデフロック機構も電動油圧作動式に改められた。
 エンジンは、メルセデスのサルーンに使われているお馴染みのものがモディファイされて搭載されている。今回のテスト車G500はラインナップにのってまだ3年だが、V8搭載は'93年に500台だけ限定生産された500GEという前例もある。ちなみにその500GEは、この手のクルマとして最初に最高速200km/hを超えた。
 3台の試乗では高速/一般道のほかに、ちょっとしたオフロードも試してみた。すでに圧倒的な走破性で知られるGシリーズはともかく、4輪独立懸架となった新型レンジローバーのオフロード性能が気になったからだ。
 
LAND ROVER RANGE ROVER VOGUE
 
12色のボディーカラーのほか、ファブリック、ブレンハイムレザー、オックスフォードレザーの3種類のシート素材、3種のインテリアトリム、7種類のシートカラーとカーペットの組み合わせはお好み次第。

  伝統の上下分割式のテールゲート。ゲート下部は、大人二人分の重量にも耐えられる強靱な設計。ラゲッジルーム容量はこの状態で535リッター、リアシートを畳むと最大で1756リッター。
  日本仕様のエンジンは4.4リッターV8ガソリン仕様。ちなみに286ps/5400rpm、44.9kg-m/3600rpmはX5 4.4iと同値。4ATはコマンドシフトと呼ばれるマニュアルモードが付く。
History chronological table
最初のGクラス“G1”
3アクスルの6×4モデルだった最初のGクラス。写真は1933年に登場したG1ベースの初の乗用車モデルG4。
初代レンジローバー
ランドローバーの豪華版として開発。2ドア、V8、4速ギア、4WD、ディスクブレーキ等を装備。当時の価格で1998ポンド。
第2世代レンジローバー
洗練されたコンピュータ制御の車高調整式エアサスペンションを全車標準装備し、オン/オフともに、格段にパワーアップ。スの初の乗用車モデルG4。
X5
'99年のデトロイト・ショーでデビュー。自らSAV(Sports Activity Vehicle)を名乗り、プレミアムSUV市場に参入。
ランドローバー誕生
米軍のジープのような4輪駆動車で、部品交換ができて信頼性のある軽量自動車を造る。ウィルクス兄弟の発想が実現。現在でいうところのディフェンダー。
初代Gヴァーゲン
ダイムラー・ベンツ社とシュタイヤー・ダイムラー・プフ社の共同開発により生まれた460モデル。写真は1987年式。
G500V8
最高出力296psを誇る、圧倒的なパワーを持つ3バルブ・デュアルインジェクションを採用したGクラスのハイエンドモデル。
第3世代レンジローバー
オールニューといえる新型レンジローバーは、'90年代半ばにBMWのもとで開発がスタート、フォード傘下で完成を迎えた。
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