VOLKSWAGEN
パサート・ワゴンW8 4モーション
PASSAT WAGON W8 4MOTION

BMW 525iツーリングMスポーツ
525iTouring M-sport

AUDIA6アバント3.0クワトロSE

A6 Avant3.0 quattro SE

アッパークラスワゴン戦争勃発!!

豊かなライフスタイルを演出する手段としては、いま最もわかりやすい選択肢といえる上級クラスのワゴン。
そこに独創的なW8エンジンを引っさげ、宣戦布告をしたのが現段階で日本仕様VWの旗艦となっているパサートだ。
迎え撃つのは、自他共に認める名門出の2台。この三つ巴の戦い、どんな展開になったかというと……。


リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|郡大二郎|D.Kohri

全体のフィールを決定付けるW8

 パサートW8のパンチは、かなり効く。このところブランドのイメージアップに邁進するVWが、とうとう高級ワゴン界でも既成勢力に正面からの砲撃を開始。ドイツ民族系メーカーの内戦は、血なまぐさい様相を呈してきた。
 豊かなライフスタイルの象徴といえば、やはりワゴン。それも、あれこれわがままをいえば、アウディA6アバントかBMW5シリーズ・ツーリングがとどめだ。どちらも輝くアッパーミドル級を代表するブランドで、ゆったり余裕のビッグサイズながら、成り金じみた脂っこさはない。もちろん機械としては第一級で、性能も走行感覚も折り紙つき。さらに重要なのは、最大多数派ではないこと。少しヒネった選択として、いささか自己主張も込められる。
 反面、やや線が細い感もある。「名門? 伝統? それがどうした」とばかり殴り込んできたVWを前に、けっこうガタガタ揺れている。そこで高級版パサートの新作上陸を機に、3車を乗りくらべてみた。もっとも、結論は平凡だ。どれも上出来なだけでなく、各車独自の風味もある。例によって、あくまでドライバーズカーであることが確認できたのは5シリーズ。この上なく上品で精緻な感触ならA6。そして骨太で力感溢れるのがパサートW8だった。やはり秩序の破壊者? には、どこか人並み外れた魔力が宿るものらしい。
 そんなパサートW8の特色は、名前の通りエンジンにある。もう何回も紹介されてきたが、これを語らず次には進めない。W8とは気筒配列のことで、先代ゴルフVR6に始まった超狭角V6がその素だ。わずか15度という角度で2列を組み合わせるので、普通のV型と違いブロックが1個にまとまっているのが特徴。これを元に展開するのが、最近のVWのモジュール戦略で、まずV6から1気筒だけ切り取ったのがV5なら、さらに1気筒切り落とすとV4になる(実際の搭載車はないが)。その15度V4を2セット、互いに72度の角度でくっつけたのが、W8の8気筒。VのVでブイブイ、つまりWというわけだ。
 だから4リッターもの排気量を誇りながら、エンジン自体の長さは2リッターの4気筒とほぼ同じ、幅も普通のV6ほどしかない。元々パサートには普通のV6仕様もあるから、エンジンルームにも余裕で収まる。これほどの凝縮を感じさせるエンジンは、ほかにない。
 実際に走らせても、このW8エンジンが全体のフィーリングをはっきり決めている。もちろん性能は十分どころか余りある。日本では、そのすべてを引き出すチャンスなどほとんどない。それも当然すぎる話で、本国のパサートには1.6リッターからあるし、最近日本で発売された2リッター仕様でも不足を感じさせないほどなのだ。だから、275psのパワーも38kg-mのトルクも、その大半は美しい余裕として温存するしかない。
 ところで、ここで訂正がある。先月W8をリポートした際、「ため息にしか聞こえないほど静粛」と書いたが、あれはあくまでドライバーの耳でのことだった。今回、ワゴンを取材しながら車外の音を聞いたら、いかにも大排気量「V・8」っぽくドバドバ――と節目もある息吹がはっきりわかった。ややスムーズさが減ってしまった印象だが、そのぶんクルマ全体を貫く筋力を再認識させられた。
 

VOLKSWAGEN PASSAT WAGON W8 4MOTION
W8の識別ポイントは、4本出しマフラーとエンブレム、そして鍛造2ピースホイール(Madras)程度
  バボナウッドと、ファインナッパレザーをふんだんに使うW8のインテリア。内装色は、ボディカラーに応じて写真のベージュとブラックの2色を用意。
  4リッターの8気筒とは思えないコンパクトさを誇るW8。薄型コンロッド(13mm)や、シングルプレーンのクランクなど、その中身で語れるポイントは多い。

BMW 525iTouring M-sport
端正な装いは、5シリーズならではといえる部分。取材車は、いまやBMWの定番となっているMスポーツだが、このエクステリアはたしかに魅力的だ。
  Mスポーツのインテリアは、スポーティなイメージを強調。シートはバックスキンとクロスのコンビ。インパネとドアトリムにはアルミパネルを使う。
  エンジンは、いまや貴重な存在といえるストレートシックス。BMW自慢のダブルVANOSなどを駆使することで、トップクラスのスムーズネスを披露する。



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