Alfa Romeoアルファ・スポーツワゴン2.0JTS

Alfa Sportwagon2.0JTS

ロングツーリングで知る直噴の意味
実にアルファらしい選択だ!


今年の2月初旬、イタリアのシシリー島で開催されたアルファ156GTA/JTS試乗会。
印象深かったのは、むしろJTSほうだ。
そこで、今回のイタリア取材をチャンスに、長距離での印象をチェックしてみると
――。

フォト&リポート|小倉正樹|M.OGURA(本誌)

スムーズ!だがストーリー性は希薄

ちょっと、JTSユニットの概略をおさらいしておこう――。
  JTSは、ジェット・スラスト・ストイキオメトリックの頭文字をとったもので、その実体はコモンレール式で高圧にしたガソリンを、シリンダー内に直接噴射するシステムだ。一般的には、GDIということになるが、JTSで特徴的なのは、リーンバーン(希薄燃焼)の領域をアイドルから約1500rpmまでとして、それ以上の回転域では理想的な空燃比といわれる14.7対1(これがすなわちストイキオメトリック)を使うこと。
  リーンバーン領域が広いGDIの場合、禍流を作るためにシリンダーヘッドやピストンなどに工夫を凝らさなければならないが、JTSの場合、その必要はなく、従来とほとんど変わらない形で実現できるという生産上のメリットを持つ。
  もうひとつ、GDIの場合、NOxを低減するためにサルファー(硫黄)フリー燃料を使わなければならないが、JTSの場合、やはりその必要はなく、普通のガソリンで十分だということ。これは、通常のキャタライザーでクリアな排ガスが実現できるということでもあって、そのメリットも大きい。ちなみに、このエンジンは、すでにヨーロッパで最も厳しい基準であるユーロ4をクリアしている。
  シシリーでの試乗会で得た、このJTSユニットに対する印象は、非常に好ましいものだった。まず、その滑らかさに感銘を受け、回転上昇の鋭さ、またリニアなパワーの出方にも、驚きを覚えた。スポーティさと扱いやすさを両立させているという点で高く評価でき、世界に星の数ほどある直4.2リッターエンジンのなかでもトップクラスの出来映えと、試乗リポート('02年4月号)に記した記憶がある。
  ただ、この印象がホンモノかどうかは、なるべく早いうちに確かめなければならないと思っていたのも事実。試乗会には、ある種の興奮が伴う。だから、正確な判断ができているのかどうか、ちょっと心配だった。しかし、結果からいえば、この印象は概ね間違っていなかったのである。
  注意深く観察すると、このJTSユニットにも欠点がないではない。リーンバーン領域とされる約1500rpmまではやや振動が多いような気がするし、それ以降もおよそ3000rpmぐらいまで、バランサーシャフト付きに時折見受けられるような微震動がつきまとう。それが直噴システムのせいなのか、それともやはりバランサーシャフトのせいなのか、なんともいえないところだが、基本的には気にせずに済むきわめて微少なレベルにあって、実用上まったく問題ない。
  というより、そんなことはやがてどうでもいいことになってしまう。直噴エンジンと聞くと、回転上昇に不満が出るように思われるが、JTSでは杞憂に終わる。リーンバーン領域はさすがにちょっともたつく感じがあるが、それ以外の回転域でのアクセル操作に対する反応は、すこぶる良好。スルスルと速度が上昇し、たちまちアウトストラーダの制限速度を超え、人にはとてもいえない速度域に達してしまう。告白しておくと、スピードメーターの針がてっぺんを指したままになるという状態は何度もあって、アウトストラーダを使っての移動は、常に予定より早く目的地に着く結果。そのパフォーマンスは、2リッタークラスとして文句のつけようがない。
  エンジン音がよく抑えられて、室内の静粛性が高まっていることも、好印象に貢献している。エンジンが遠くにあるような感じなのである。このことは、逆にいうと、アルファのエンジンらしいサウンドが聞けないということにもなるが、JTSユニットはスムーズに回っても、回転上昇のストーリー性という点ではもうひとつという感じがあるから、これはこれでかまわないという気もする。なんというか、失ったものもないではないのである。
  思うに、おそらく、アルファの(フィアットだが)エンジン開発担当者は、燃費改善とか排ガスのクリーン化を目的に直噴システムを採用したのではない。それらは、後からついてきたものだ。本当は、ストイキオメトリックを使えるようにするため、すなわちアルファらしくエンジン性能のさらなる向上を目的にして、このシステムを採用したように思える。理想空燃比が実現できたからこそ、圧縮比を10.0から一気に11.3へ上げるといった昔からの基本的なチューニング手法が可能となり、ツインスパークに対して15psと2.5kg-mの上乗せを実現できたといえそうなのだ。
  実に、アルファらしいやり方だと思ったわけである。
 


  最高出力165ps/6400rpm、最大トルク21.0kg-m/3250rpmと、従来のツインスパークに対して15psと2.5kg-mの上乗せをしたJTSユニット。気持ちのいいエンジンだ。
  基本造形はそのままで、細部の変更にとどまるダッシュボード。残念ながら、シボ等もそのままで、品質感の向上はない。試乗車のシートは、ご覧の通り、イタリアの上質な家具を思わせる、オプションのレザー仕様。その高級感はいうまでもない。
Alfa Romeo Alfa Sportwagon 2.0 JTS
■全長/全幅/全高(mm)
4430/1755/1415
■ホイールベース(mm)
2595
■トレッド(前/後)(mm)
1510/1500
■車両重量(kg)
1300
■エンジン種類
直4DOHC16V
■排気量(cc)
1970
■最高出力(ps(kW)/rpm)
165(121)/6400
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
21.0(206)/3250
■トランスミッション
5MT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン/コイル:
ストラット/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/60R15(6.5J)
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※上記スペックは本誌発売当時の値です。
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