

Alfa Romeo アルファ156GTA
Alfa156GTA

熱き大人のスポーツウェア

アルファ栄光の称号を纏って登場した、156のイメージリーダー役を担うこのクルマ。
しかしながら現代のGTAは、モータースポーツ御用達のいわゆるコンペティツィオーネではない。
現地にはワゴンもあるオンロード向けのストラダーレだ。
だが、落胆するのは早計というもの。なぜなら……。

リポート|熊倉重春 |S.Kumakura
フォト|松本高好|T.Matsumoto

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アグレッシブな中に抑制の効いた
見識を感じさせる作り

イタリアで試乗してきた同業者から、「危ないクルマだよ」と聞かされていた156GTA。たしかに最近おとなしかったアルファにしては、妙に血の気の多い仕立てなので、いささか緊張気味の初対面ではあった。
しかし実際に乗ってみると、決してジャジャ馬ではない。ちょっとトゲがないわけではないが、操縦性などノーマル系156より奥が深く、かえって扱いやすい面もある。普段しっかり走り込んでいる、私だけの秘密のテストコースで検証したから間違いない。久しぶりに買えそうな本格イタリア風味のスポーツセダンとして、洒落者のマニアに強く推薦したい。
GTAといえば泣く子も黙るアルファ栄光の称号。30年以上前だが、クルマ雑誌の編集部には、よく「アルファとBMW、どっちがいいですか」という電話が飛び込んできたものだ。どちらも'60年代後期のETC(ユーロピアン・ツーリングカー選手権)の主役だった。その後ETCはBMW・CSLとフォード・カプリの争いになり――という経緯はともかく、金網グリルと軽量ボディのGTAに憧れ、当時のディーラー伊藤忠オートでジュリアGTを買うマニアも少なくなかった。今でも寄り目のジュリアは、アルフィスタにとって心の故郷だったりする。
そのGTAが復活するとあれば、ミニクーパーSどころの騒ぎではない。しかも今度はコンペティツィオーネではなく路上の仕立てなので、とりあえず530万円あれば誰でも楽しめる。ノーマル系156の最高級バージョンより100万円プラスだが、内容と結果を見れば、少しも高すぎないと思う。
まず身上書をチェックしておこう。フロント横置きのV6DOHC24バルブは3.2リッターの250ps。例の6連吸気管をキラキラ輝かせたあれだ。ただしGTVやスパイダー用の3リッターを簡単にボアアウトしたわけではなく、ストロークを延ばしたのが特徴。つまり高価なクランクまで専用開発したわけで、気合の入り方も半端ではない。ギンギン回すより中速トルクを太らせる設計で、実際の速さにはこれが効く。
もちろん、制御系も変更され、オイルクーラーも増設。さらにサスペンションも強化されている。リムも7.5Jに拡大、225/45ZR17のタイヤを履く(今回ここに登場するのはミシュラン・パイロットスポーツ)。
そして、やっぱりアルファだもの、見逃せないのは衣装でしょう。もともと黒潮を回遊する高速魚のように引き締まったフォルムこそ156の魅力。その雰囲気を壊さず、うまく迫力アップしたのがGTAだ。たとえば子供服の襟のようなフロントスポイラー、厳しい弧を描くサイドシル、ちゃんと気流を掬い上げる本物のリアアンダーウイングなど、どれも違和感なくボディと融合している。このへんがガキのエアロと違うところだ。それにしても微妙な量感が迫ると思ったら、フロントフェンダーもそっと膨らませてあるのがニクい。増大したエンジンの空気要求量に応じてエアインテークも拡大されたが、そこが金網張りなのが最もGTAらしいポイントか。
さて、ではさっそく「私のラティコーザ峠」でデートと行こうか。これもGTA専用の本格的なバケットシートにおさまり、ざっと見回すと、ダッシュの仕立てもかなり高級化されている。おもむろにキーと捻ると、デュアルのテールパイプから、予想より静かな吐息が漏れる。軽く煽っても安っぽく叫ばない。高性能版だからといって音量を上げていないのは立派な見識だ。
アルミで化粧されたペダル類はどれも軽く、クラッチのつながりも穏やかそのもの。低速トルクにも余裕があるので、ほとんどアイドリングのまま滑らかに発進できる。その反面、激しい発進でも滑らないだけの圧着力はある。実に適切なセッティングだ。
そして注目のエンジンは、いわば逞しい紳士の感じか。どこか尖った山があるわけではなく、7000rpmのリミットまで、しっかり有効なトルクを供給し続けてくれる。強いていうなら5000rpmからが快感だが、それ以上と以下で目立つ段差はない。それより2000rpmあたりからの中速トルクが最大の武器で、抑制の利いたサウンドともども、本当に右足に忠実にぐいぐい持ち上げてくれる。この点、どうも中速がすっぽ抜けるノーマル系156とは正反対だ。
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GTAだけでなく、マイナーチェンジ版156全般の改良点となるインパネ。GTAはフットレストも含めたペダル類がディンプル加工が施されたアルミ製となる。メーターはスピードが300km/hスケールに、タコのレッドゾーンはノーマル系と変わらず。
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ハイバックデザインとなる、セミバケットのフロントシートはフルレザー張り。座面長の調節も可能。リアシートもサポート性重視のデザインになる。 |
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取材車のライトはハロゲンだったが、販売元のガレージエストではキセノンを標準にして5,300,000円で販売予定。エアアウトレット付きのサイドステップ越しに見えるホイールは、写真の5ホールデザインの他に同サイズのフィンタイプも選べる(価格は同じ)。 |
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