アウディA3/S3
Audi A3/S3

スポーティとハイクオリティ
を両立した上級ハッチ


リポート|熊倉重春|S.Kumakura

Profile


 アウディA3は、高級レストランのランチメニューのような存在だ。これに比べれば、同じプラットフォームを使いながらも、VWゴルフは上級ファミレスといった格の差がある。入念なデザインと作りは、ダッシュの樹脂パーツの細部にも見て取れる。コンパクトなだけに、アウディらしさの濃縮度も高い。当初3ドアで輸入されたA3だが、現在は5ドアになったので、使い勝手はゴルフと同じ。でもメカニズムは一段レベルが高く、ベーシックな1.8リッター(125ps)も5バルブの先進設計を誇る。それにターボを付けた1.8TはゴルフGTIと共通だが、出力は30ps増しの180ps。もちろん、あらゆる装備も揃っている。たくさん売れるブランドではないのに、車体色が10色も用意されている贅沢さも嬉しい。ところでアウディといえばフルタイム4WDが売りだが、それを受け持つのが224psターボと6速MT搭載のスポーツモデルS3。こちらは3ドアのみで、真価を知るエンスーが乗るハッチバック・クーペの趣がある。

Impression


末っ子といえどアウディだけに、まさに質感の塊。ガシガシ下品な感触など微塵もないので、自然と運転も上品になる。従姉妹のゴルフより騒音もかなり低い。これで299〜325万円ならゴルフGTXの340万円より圧倒的に割安だ(DVD ナビがオプション扱いなので、実際には同程度になる)。そしてS3は完全に上級イーター。さすがに4WDのトラクション伝達は的確で、どこからでも踏めば踏むほどしっかり立ち上がれる。速いのに熱すぎず、軽薄さがないのも成熟の証拠だ。

機能にも性能にも文句がないだけに、なおさら矛盾して見えるのがS3のMT。30kg-m近いトルクを2200〜5500rpmと非常に広い回転域で生むので、わざわざ6速も使い分ける意味が薄い。各ギアの守備範囲を広げた5速の方が実際には速いかも。それに、これほどの高性能車なのに左ハンドルしかないのも×。ドア自体も大きいし、いろいろ不便きわまる。せっかく元気な相棒として連れ歩きたくても、これは大きなマイナスだ。ここを何とかするのが、少量販売ブランドの仕事だろう。

A3
1.8 1780cc/直4DOHC 4AT ¥2,990,000
1.8T 1780cc/直4DOHCターボ 5AT ¥3,250,000

S3
S3 1780cc/直4DOHCターボ 6MT ¥4,240,000
 
日本仕様は1.8リッターNAと同ターボ仕様の2モデル展開となるA3。ミッションは1.8に4AT、1.8Tにはティプトロニック付きの5ATが組み合わされる。後者の方が全体にスポーティな味付けで、スポーツサスに205/55R16のタイヤが標準装着。
NAに対して+55ps/+5.7kg-mの180ps/24.0kg-mを発生する、5バルブ1.8リッター直4DOHCターボ。ロングストロークかつフラットなトルク特性により、日常域での扱いやすさが光る。
ステアリングやシフトノブは両車とも本革巻きだが、形状はシートも含めて1.8Tの方がスポーツ志向。オプションでティプトロニック・スイッチ付きのステアリングも選べる
全長4150×全幅1735×全高1400mm(1.8は1420mm)で、ホイールベースは2515mm。ボディは5ドアのみで、駆動方式もクワトロの設定はなくFFのみとなる。なお、ESPは1.8Tに標準搭載。
アウディSモデルの末弟となるS3。全幅、前後トレッドともベースのA3に対して大幅に拡げられ、225/45R17サイズの扁平タイヤを収める。ボディは3ドア専用で、駆動方式はもちろんクワトロによるフルタイム4WD。
レカロ製のスポーツシートは本革+アルカンタラのコンビが標準。ドアトリムはシートと同色で、インテリアパネルはブラックで統一。
1.8リッター直4ターボはマネージメントと過給圧変更などにより225ps/5900rpm、28.5kg-m/2200〜2500rpmを発揮。ミッションは6MT。
車重は1460kgと、このクラスにしてはヘビー級だが、本国カタログ値で最高速243km/h、0〜100km/h加速6.6秒というジャジャ馬ぶりを発揮。シャシー系も大幅に強化される。
Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.