フォードGT

FORD GT

往年のフォルムに先進機能を凝縮した
ロードゴーイングレーサー


フォードの創立100周年を記念して発表された、その名もフォードGT。スタイリングにこそ、'60年代の名車の面影を残しつつも、最新シャシーとパワーユニットで武装。その実体は、公道を走るレーシングマシンそのものだ!

リポート|石井昌道|M.Ishii フォト|赤松 孝|T.Akamatsu


ウルトラスムーズなV8スーパーチャージャー


 1960年代、ル・マンを中心に活躍した伝説のレーシングマシン、フォードGT40をメーカー自らが復刻させたフォードGT。フォード・モーター・カンパニー創立100周年セレモニーで発表され、デリバリーは2004年から。日本にも数台が上陸してるようだが今回、幸運にもそのステアリングを握る機会に恵まれた。
  復刻版のフォードGTは、オリジナルに比べて全長が465mm、全幅が175mm、全高が95mmほど大きくなっている。車名の「40」は全高が約40インチということに由来するので、復刻版がフォードGTのネーミングで通しているのも当然と言えば当然だ。
  違いはボディサイズだけではなく、構造もメカニズムも全くの別モノ。GT40が当時としては画期的なモノコック構造だったのに対し、フォードGTはアルミのスペースフレームとボディパネルという構成となる。エンジンは5.4リッターV8DOHCをイートン社製のスクリュー式スーパーチャージャーで過給し、最高出力550ps、最大トルク69.1kg-mを発生。この他、アルミのサスペンションアームやブレンボ製モノブロック4ピストンブレーキキャリパーなど、あらゆるところが最新テクノロジーで固められている。シルエットこそノスタルジックだが、中身は最新スーパースポーツなのだ。
  乗り込むには少しばかり気を付けなければならない。ドアがルーフまで回り込んだ特殊な形状をしてるため、これを避けつつ身体をコクピットに滑り込ませる必要があるし、ドアを閉める時も頭を挟まないよう気を付けたい。とはいえ、無事に収まってしまえば、コクピットは想像以上に快適だ。シートはバケットタイプだが、リクライニング機構も備わるので適切なドライビングポジションを採ることができ、ペダルやシフトレバーの配置なども全てが自然だ。
  まずは街をソロリと走り始めてみるが、目線が低い以外は動かすことに何のストレスも感じない。こんなカタチをしているのに車両感覚が掴みやすくて路地を走るのも苦にならないし、後方視界がマズマズなあたりからしても、いかにフォードが真面目に造り込んだかが伺い知れる。普通すぎるキーと、ペコペコなドアトリムあたりは、もうちょっとどうにかならなかったのかという感もあるが……。
  今回の試乗ステージは街中と高速道路のみで、実力の全てを知ることは叶わなかったが、間隙を縫ってその片鱗は見せてもらった。走り始めはミッションが渋いか?と感じたものの、クルマ全体に熱が入ってくるとシフトノブは吸い込まれるように入り始める。エンジンはトルクの塊。7リッターもあったGT40マークIIさえ上回る最大トルクを叩き出すのだからその力感は当然だが、スーパーチャージャーのツキが抜群にいいことも加わって、右足の動きは超リニアに加速へと繋がっていく。
  しかも、速度の乗り方が素晴らしくスムーズ。エンジンそのものの振動が少ないし、ガッシリとした車体としなやかなサスペンションがもたらす乗り味は質の高いもので、ともすればスピード感覚を麻痺させるほど。スピードメーターのマイル表示をキロ表示と勘違いしそうでヤバイ。このスムーズさは、例えばイタリア製の赤いマシンが放つ雰囲気とは真逆。一瞬にして興奮のルツボに陥るような雄叫びも悪くないが、ことドライバーを疲れさせない点に関してはフォードGTに軍配が上がる。
  '60年代、打倒フェラーリに燃えたGT40に対して、この復刻版は純然たるストリートカーではあるが、ル・マンのような長丁場なら、その真価がますます活きるに違いない。そんな予感を持たせてくれることもまた、歴史あるメイクスならではの醍醐味だ。

オリジナルの雰囲気を持つ3本スポークのレザーステアリングやアルミ削り出しのシフトノブ、ディンプル加工されたABCペダルなど、スタイリング同様にコクピットもスパルタンなデザインでまとめられる。メーターは正面に大径タコメーター、右側にオフセット配置されているのがスピードメーターとなる。
キャビン後方にマウントされる、ブルーペイントの大型アルミブロックを持つ5.4リッターV8ユニット。インタークーラー付スーパーチャージャー装着により、最高出力550ps、最大トルク69.1kg-mを発生させる。また、スペースフレームに加え、サスペンションアームなどシャシー系にはアルミ素材が多用される。
スパルタンな出で立ち、500psオーバーの心臓部などからはまったく想像がつかないほど、その乗り味はきわめて上質。操作にも特別な儀式を必要としない、あくまで現代のストリートカーに仕立てられている。試乗車の輸入販売元は、このフォードGTでスーパーGT300クラスへの参戦を予定している。
全高は「40」インチとはいかないまでも1125mmとかなりのローフォルム。ロングノーズ&ショートデッキのプロフィール、盛り上がったタイヤハウスなど、そのスタイリングはどこまでもGT40のオリジナルデザインに忠実。
ルーフにまで回り込んだドアはオリジナルGT40のデザインを踏襲。現代のクルマらしくHIDヘッドライトとフォグランプは標準装備となる。リアビューは、ウィンカー/ストップランプ一体の丸型テールランプ、ラウンドカットされたディフューザー付リアスポイラー、センター2本出しマフラーなどが特徴的。
スパルコ製レザーバケットシートにはカーボンファイバー素材が使用され、リクライニング機能も付く。18インチのBBS製アルミホイールに組み合わされるタイヤはグッドイヤー・イーグルF1で、フロントが235/45ZR、リアが315/40ZRというサイズ。ブレーキにはブレンボ製4ポッドキャリパーが奢られる。
Specification
Ford GT
■全長/全幅/全高(mm)
4,643/1953/1125
■ホイールベース(mm)
2710
■トレッド(前/後)(mm)
1600/1617
■車両重量(kg)
■エンジン型式/種類
−/V8DOHC32V+SC
■排気量(cc)
5400
■最高出力(ps(kW)/rpm)
550(404)/6500
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
69.1(677)/3750
■トランスミッション
6MT
■サスペンション(F:R)
Wウィッシュボーン/コイル:
Wウィッシュボーン/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)
F:235/45ZR18 R:315/40ZR19
■東京標準現金価格
\29,400,000
問い合わせ先=D.H.G CarSales TEL:03-5765-2871
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
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