カーライフのなにをもって幸せとするか?
永遠の命題を、奇才・渡辺敏史がユル〜く語りまくる新説自動車幸福論。
今月は、庶民に開かれたメタルトップ・オープン、
お年寄りも平然と乗っているダイハツ・コペンを。
文|渡辺敏史|T.Watanabe 写真|宮門秀行|H.Miyakado
車両協力=ダイハツ工業 TEL:0070-800-874040
申し合わせたわけでもないのにロケ地は巣鴨。
なんという偶然、というか必然!
いわゆるメタルトップのオープンカーというヤツが、僕はあんまり好きではなかったりする。画期的な利便性は確かにわかるし羨ましい。でも、メタルトップにだって欠点はいくつもある。
たとえばトランク部への格納を考えるとキャビンのデザインが限定されるし、Aピラーが悲惨なほど後方に引っ張られる。プジョー307CCなんかは、それが痛々しいほどに表に現れている例だ。
また、耐候性や遮音性に優れたぶんだけ、キャビンには音が籠もりやすいという点もある。天下のSL様ですらルーフヒンジやフレーム、インナートリムからくるきしみ音は止めることが出来ない。幌屋根なら車外音にかき消されるだろう、開きモノを買うと腹を据えた時点で知らなくて済んだはずの異音と、結局ずっと向き合うってえのもなんだかなあと思う。
が、そんなひねくれたことを言っているのは僕くらいなもんで、世の中のオープンカーの主流は軒並みそっちの方に向かいつつある。車上荒らしが日常と化してきた日本でさえナビやETCを付けるのもためらうくらいだからして、そりゃあアメリカだってヨーロッパだって悠長に幌屋根なんか載せてると物騒で仕方がないだろう。
巷で見る幌屋根のオープンカーの、安普請で脇の甘い佇まいについうっとり――なんて話はどんどん過去のものになりつつある、そんな最中にこいつまでメタルトップかよ……。コペンが世に出た時、僕はなんだか猛烈に切なくなった。もちろんケータローのくせに〜という蔑みもあったのは確かだけど、そんな小さな中にわざわざメカ詰め込んじゃいましたという必死さが、余りにいじましくて息苦しくて、オープンカーの本懐とはもう完膚なきまでにかけ離れているような気がしたわけだ。
そもそも小さいクルマが好きで、オープンカーも好きで……という僕だが、ゆえにコペンはハナッから眼中になく、街で見掛けても羨ましいとか欲しいとかいう気持ちは鼻毛ほども持たなかった。
それから3年。トヨタの認定中古車のホームページに“コペン”と入れて検索しては、値段落ちねえなあとため息をつく夜中の僕。散々ブー垂れた舌の根も乾かぬうちに、今やすっかりこのクルマは僕の射程圏内だ。
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