カーライフのなにをもって幸せとするか?
永遠の命題を、奇才・渡辺敏史がユル〜く語りまくる新説自動車幸福論。
今月は、間もなく退役を迎える、名機と謳われたV6ユニットを積む
アルファGTをスローに走らせて、ちょっと切なくなってみたりする。

文|渡辺敏史|T.Watanabe 写真|宮門秀行|H.Miyakado
車両協力=フィアット・オート・ジャパン TEL:0120-779-159


さびれた埠頭でさびれた重機に座り、ちょっとおセンチにアルファのV6を惜しんでみる。

 アルファ6のデビューから数えてかれこれ四半世紀以上。いよいよ6連の吸気管でお馴染みのアルファ謹製V6エンジンもおしまいが近づいてきたということになりそうだ。GMのアーキテクチャを使った新しいアルファV6は、すでに159に積まれての日本デビューが来春に予定されている。
  汎用直6の世界一がBMWだとすれば、汎用V6の世界一はアルファ・ロメオ。'80年代以降、世界のクルマ好きはそういう想いでこのエンジンに敬意を表してきた。早期にV6を戦略エンジンに位置づけた日産のVG型の開発にも多大な影響を与えるなど、ともあれ自動車の進化の歴史上外すことが出来ないユニットなのである。
  お恥ずかしい話だが、今から3年前、僕はこのエンジンを搭載した156GTAで一発免停の大きなスピード違反をやらかしたことがある。前が空いたから出来心でスコンとアクセルを踏んづけたら、前の空いた理由はその先のネズミ取りだったという素人丸出しのオチだった。が、当時はひどくがっかりして、このエンジンに八つ当たりもしてみたものだ。おめーが回してナンボや言うから思わずやってもうたやんかと。
  そんな苦々しい想い出もいただいたアルファV6とも間もなくお別れ……。身勝手なもので、そんな噂も聞こえてこないうちには、乗るたんびに容赦なくカチ回してはアンちゃん丸出しで狂喜乱舞していたこのエンジンに、今ではねぎらいや慈しみの気持ちも芽生えてくる。
  この気持ちがあればもっとじっくりと、膝を割って夜通し語らうようにこのエンジンと付き合えるんじゃあないか。というわけで、天涯アルファ・ロメオで最後を迎えようとしているこのエンジンと、出来るだけのんびりと向き合ってみようというのが、今回の話のネタである。



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