ビー・エム・ダブリュー・アルピナB5スーパーチャージ

BMW ALPINA B5 Supercharge

世界屈指のパフォーマンスは
至高のフィールを愉しむために


「特別なBMW」という成り立ちから、巷ではMと比較されがちなアルピナ。しかし現実に両者が織りなす世界は本来、似て非なるもの。
それは最新モードのB5でも変わらない。5シリーズ系BMWでは最強スペックながら、その持ち味はM5と異なる次元に存在するのだ。


リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|郡 大二郎|D.Kori


その魅力を堪能するには理性的な判断力が必須!?


 アルピナには、さまざまな逸話がある。たとえば「アルピナ社のあるブッフローエから出庫される製品は、スタッフの手でコンテナに積み込まれます。そして、輸出先の総代理店スタッフによってそれが開けられるのです」といった類の話だ。つまり、アルピナと直接かかわるスタッフ以外は誰の手にも触れられずに顧客まで製品が届けられることを意味する。いかにも、アルピナが特別な1台であることを印象づける逸話といえる。
  実際、アルピナは特別な1台としてBMWのMモデルと並ぶ価値を備えている。生産台数でいえば、Mモデルは年間2万台に達するのに対してアルピナは桁違いの800台にとどまるので、希少性はずっと上ということになる。もちろん、アルピナとMモデルの関係に、製品として上下や優劣があるわけではない。だが、別の逸話としてある「アルピナはMモデルを卒業した人のクルマです」という話は、試乗車となったB5に乗ってみると素直にうなずけた。
  アルピナは、絶対的なパフォーマンスの高さを楽しむためのクルマではない。実は、数値上のパフォーマンスでいえばB5はM5に勝る。B5のエンジンは、545iが積む4.4リッターのV型8気筒をベースに吸排気系やシリンダーヘッド回りを専用設計し、エンジン・マネージメントもアルピナ独自のボッシュ・モトロニックを採用。それにスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力は510ps/5500rpm、最大トルクは71.4kg-m/4250rpmを発揮する。その数値は、M5よりも最高出力で3ps、最大トルクは何と18.4kg-mも上回る。
  それでもなお、パフォーマンスではなく端的にいえばフィーリングを楽しむためのクルマであることがよく分かる。絶対的なパフォーマンスの高さを楽しむだけであれば、ただアクセルを床まで踏み込めばいい。ところがそうしてみても、B5本来の魅力は引き出せない。高速道路を走行中に、先行車がレーンを譲り進路が開けたのを機会にアクセルを一気に踏み込んだところ、Dレンジから2速にキックダウンされるやいなやDSCが作動。エンジンのトルクを急激に絞るガガッという制御感をともなった直後、一転して猛然と加速を開始したのだ。
  やはり、アルピナを走らせるには500psオーバーの誘いに惑わされることなく、自分の期待を適切な操作に置き換え、その通りにアクセルを踏み込み反応を確かめるといった理性的な判断が必要だ。そのためにも「卒業した人」という資格が問われるのだろう。高速道路をDレンジ6速、エンジン回転数にして2000rpmあたりで走行中に、アクセルを数ミリ踏むだけで日本車のスピードリミッターが作動する速域に達する。そうしたミリ単位の操作に対しても、反応に完ぺきな調和が確かめられることこそアルピナの魅力でありB5も例外ではない。


磨き上げられた高級ウッド「Myrte(ミルテ)」や菱形のデザインステッチ(カラーはブルーとグリーン)が与えられたドアトリム、ダコタレザーのスポーツシート(オプションでコンフォートシートも選択可能)などがエクスクルーシブ性を際立たせるインテリア。スウィッチトロニックのボタンを配した手縫いのレザーステアリングや、ルーフ前端の銀メッキ製シリアルプレートも「お約束」のアイテム。ブルー地のスピードメーターは330km/hスケール。



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