スズキ・スイフト・スポーツ

SUZUKI SWIFT SPORT

国産コンパクトのイメージを変える!?

JWRCに参戦するスイフト・スーパー1600。そのイメージと性能を市販モデルに移植した「スイフト・スポーツ」がデビューした。ラリーマシンを彷彿とさせる走りを期待させるスポーツだが、さて実際は……。

リポート|斎藤 聡|S.Saito
フォト|赤松 孝|T.Akamatsu|水野孔男|Y.Mizuno



予想を超える高い質感の乗り心地と操縦性


 新型スイフトにいよいよスイフト・スポーツが登場した。先代はスパルタンなボーイズレーサーで、軽快・俊敏な走りを身上とするクルマだったが、今度のスイフト・スポーツはヨーロピアンホットハッチといった印象で、全体に洗練された乗り味に仕上がっていた。
  外観の印象は、JWRCスーパー1600をイメージさせるスポーティなテイストに仕上げられており、どこか平板な顔付きだった1.5リッターとは随分とイメージが違う。インテリアもスポーツシートが標準装備となり、オプションでレカロシートも用意されるなど、走りのムードも十分にある。
  エンジンや足回りのチューニングはそれ以上だ。エンジンは1.6リッター直4DOHCだが、これは1.5リッターをベースにストロークをアップしたもので、ボア×ストロークは78.0mm×83.0mmのロングストロークタイプ。ただし、単にストロークアップしただけではなく、専用チューンを施した電子制御スロットルの採用やカムシャフトのハイリフト化、温間鍛造ピストン、薄型化ピストンリング、銅鉛合金製ベアリングの採用等々、徹底的に内部をチューニング。さらに内面を平滑化処理したインテークマニホールド、ポート径を拡大したエキゾーストマニホールドによって吸排気効率も高めている。その結果、125ps/15.1kg-mのパワー&トルクを得ている。
  足回りもモンローのダンパーを採用し、バネレートをアップ。それに伴って各部の剛性強化が行なわれている。文字通り「スポーツ・モデル」といえるようなチューニングが施されているのだ。
  それだけに、どれほどスパルタンに仕上げられているのだろうと、身構えながらシートに座り込んだのだが、まず驚かされたのは、その乗り心地の良さだった。
  ツインチューブタイプのモンローのダンパーはゴツゴツした固さがまったくなく、驚くほど滑らかな乗り味にセットされている。走り出した瞬間は「これでホントにスポーティに走るの?」と思ったくらいだ。ところがワインディングに足を踏み入れペースを上げていくと、走り出した印象とは裏腹に、いくら攻め込んでいっても音を上げない。操縦性は機敏さを抑えた落ち着きのあるもので、ステアリングを切り出した通りに正確に応答してくれる上、キョトキョトした動きも一切ない。
  さらにペースを上げていっても、意外にロール感が少なく、実際のロールも少なめ。ジンワリとダンパーが効いて、4つのタイヤを路面にしっかりと接地させている。サスペンションがヒタッと路面を掴みながら、軽量ボディをやすやすと旋回させていく。そんな印象なのだ。専用にチューニングされたタイヤのグリップも強力で、激しく攻め込んでも腰砕けを起こすようなことはなかった。
  エンジンは、電制スロットルのセッティングによるものなのだろうか、チューニングの内容やエンジンのパワーから想像するほどの荒っぽさはなく、穏やかと感じるような大人しめの印象。だが、それはスパルタンスポーツを想像していたからであり、いい換えればヨーロピアンホットハッチ風の、スムーズで軽快な吹け上がりを示すタイプのエンジンだ。
  6000rpmからレブリミットの始まる7000rpmくらいの間で、ちょっと勇ましいサウンドを発し、パワーがひと伸びする。そんなところにエンジン性能の一端を覗かせるが、正直なところ、パワーやトルクに充実した力強さを感じないというのも事実。あるいは5速MTのギア比によるものなのかもしれない。個人的にはもっとエンジンはスパルタンでもいいと思うし、出来れば6速MTが欲しいところだ。
  そんな不満はあるものの、税抜き価格149万円(5速MT)という価格設定を考えれば、多くを望んではいけないのだろう。何しろ、約20年前に登場したハチロクの当時の価格より安いのだから。
  少なくともスイフト・スポーツ、いままでの1.6リッター以下クラスの国産コンパクトカーのイメージを変えるくらい、品質感のある乗り心地と操縦性のよさを持っている。
Specification
SUZUKI SWIFT SPORT
■全長/全幅/全高(mm)
3765/1690/1510
■ホイールベース(mm)
2390
■トレッド(前/後)(mm)
1460/1470
■車両重量(kg)
1060
■エンジン形式/種類
M16A/直4DOHC16V
■排気量(cc)
1586
■最高出力(ps(kW)/rpm)
125(92)/6800
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
15.1(148)/4800
■トランスミッション
5MT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
トーションビーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
195/50R16
■東京標準現金価格
¥1,564,500
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。

エンジンはM16A型の1.6リッター直4DOHC16V で、パワー&トルクは125ps/6800rpm&15.1kg-m/4800rpmを発揮。高強度の鍛造ピストンやアルミ製インテークマニホールド、さらにはピストン裏側にオイルを吹き付けることでピストンの表面温度を下げるピストンクーリングジェットを採用するなど、このクラスのモデルには贅沢なほどのチューニングが加えられている。
インテリアは黒を基調に赤、銀を配色してスポーティなイメージに仕上げられている。また、赤ステッチを施した本革巻きステアリングホイール、さらにABCペダルにはステンレス素材を用いるなど、スポーツに相応しい装備が与えられる。
スリーサイズは全長3765×全幅1690×全高1510mm、ホイールベースは2390mm。全長がやや延長されている以外は、ベースモデルのスイフトとほぼ同寸となる。また、5速MT仕様のほか、4速のAT仕様もラインナップされる。
フロントシートには専用のスポーツシートが標準装備。また、メーカーセットオプションとして、写真のレカロシートも選択できる。このセットオプションにはディスチャージヘッドランプ、SRSサイドエアバッグなどが含まれる。
スポーツマフラー採用によるラゲッジスペースへの影響を考慮し、スペアタイヤを廃止。代わりにパンク修理キットとすることで標準車と同等のラゲッジ容量を確保している。リアシートは6:4の分割タンブルフォールディング式。
エクステリアではフロントバンパー、サイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラーなどを装備、空力性能をアップしている。さらにドアミラーも小型化されている。マフラーは左右出しのデュアルタイプ。
サス形式はフロントがストラット、リアがトーションビーム。ショックアブソーバーにはテネコ社製のモンローを採用し、乗り心地とスポーツ性を高次元でバランスさせている。
タイヤは専用にチューニングされたダンロップのスポーツMAXX(195/50R16)。ホイールは取り付け剛性アップのため5穴を採用した専用デザイン。また、ディスク部に熱変形の少ないインナーハット構造を採用するなど、ブレーキ系にも十分なチューニングが施される。
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