サーブ9-3スポーツエステート

SAAB9-3 SPORT ESTATE

遅れてきたスウェディッシュ・
エステートの大本命


まずは穴の開くほどタイトルフォトを眺めていただきたい。
スタイリッシュである。待望論が巻き起こって久しい9-3のワゴンバージョンが、ついに現地デビューを果たした。
しかも、9-3初となるV6のターボユニットを搭載して。


リポート|尾島信一|S.Ojima(本誌)
フォト|GMアジア・パシフィック・ジャパン



セダンと同タイミングでデザインがスタート


 ドイツ車でなく、ラテン車でもない、北欧のクルマ。そして、ボルボでもない。それがいまの日本におけるサーブの絶妙な立ち位置だ。究極のニッチ車として、さり気なく控えめに佇まっているのがサーブなのである。そして今回、9-3スポーツエステートが、まさに待望といえる現地デビューを果たした。先代の万能5ドアハッチバックボディに9-3の魅力を見い出した向きには、このエステートこそが真の9-3だと絶賛をもって迎えられるに違いない。そう断言できるほどに、この北欧産エステートのスタイリッシュなフォルムは魅力的に映った。
  それにしても、現行9-3セダンに遅れること3年弱。当初から噂のあったワゴンボディの登場を、これほど待つことになろうとは。スウェーデンの街を少しでも走れば分かるのだが、彼の国のワゴン車比率は、ヨーロッパの中でもとりわけ高い。ならば9-3にエステートが求められるのは当然の流れで、実際にそんな声は多かったと聞く。サーブ本社が居を構えるトロールハッタンのデザインセンターで、我々を迎えてくれたアンソニー・ロー氏(サーブ/オペルのチーフデデイナー)は、「エステートのデザインは、セダンと同じタイミングでスタートしたので、両方のスタイルを考えながらシェイプしました」
  と説明してくれた。やはり、当初からサーブもその気満々であったことは間違いない。となると、GMグループのお家事情云々を推測したりもするが、ともかくセダンありきで安易に荷室を背負わせただけのお気楽ワゴンとは気合いの入り方が違うのである。
  そのスタイルは、すでにコンセプトカーとして公開していた9-3Xのディテールをある程度忠実に再現しており、リアのオーバーハングが比較的短く、伸びやかさを身上とする、例えば9-5エステートの逆を行く。あえてコンパクトに見せるために強く傾斜したDピラーはクラウチングスタイルを彷彿とさせ、いまにもダッシュを始めんばかりの躍動感に満ちる。その佇まいはスポーツハッチのそれに近い。空力の目安となるCd値は0.33と優秀で、前後軸ともゼロリフトを実現したという。
  ホイールベースはセダンと変わらず、全長はセダンに約プラス20mmの4654mm。実際、現地での名称は9-3スポーツコンビとなっているから、通常のエステートというよりスポーツの部分を強調したいのだと理解できる。とはいえ、アウディA4アバントなどの、Dセグメントのライバル車より絶対的には長いので、事実上の使い勝手はワゴンそのものだ。

リアウインドーが寝かされた5ドアスポーツハッチ的フォルムを持ち、それゆえセダンよりも先代のDNAを強く感じさせるスポーツエステート。なお、日本発売は11月初旬になる見込み。
傾斜したDピラーと一体になるテールレンズもデザイン上のトピックのひとつ。氷を下から重ねたようなクリアレンズのコンビネーションランプが、いかにも極寒の北欧を連想させる。
エアロのタイヤは235/45R17サイズのPゼロ・ロッソ。組み合わされるのはプレーンなデザインの5本スポークホイールだ。ブレーキはグレードに応じてローター径が異なる。
ついに9-3にもV6が搭載される。オールアルミ製の2.8リッターターボユニットは、250psの最大出力と、35.7kg-mの最大トルクを発生。2リッターターボは従来同様出力違いの3ユニットで、下から150ps/175ps/210psとなる。
「モダン、スカンジナビアン、エアクラフト」とサーブのデザインコンセプトについて語るアンソニー・ロー氏。昨年よりサーブ/オペル・デザインチームの総責任者を務める。
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