ルノー・グラン・セニック

RENAULT GRAND SCENIC

まもなく激戦区に上陸する
フレンチ・ミニバンの雄


当時のヨーロッパにあって、数少ないモノスペースセダンとして相当な売り上げを記録したセニック。そして2代目になると、3列シート7人乗りのグラン・セニックが用意され、それも大ヒット。
そのフレンチミニバンの本命が、ようやく日本にやってくる――。


リポート|中三川大地|D.Nakamigawa フォト|柴田幸治|K.Shibata


上質な乗り味と高いユーティリティ


 「GRAND SCENIC」と書いて、日本名はグラン・セニック。今年9月、ルノーが誇るこのフレンチ・モノスペースが、いよいよ日本へとやって来る。
  先代であり初代のセニックは、'96年にメガーヌの派生モデルとして生まれた。日本では最後まで陰の薄い印象が拭えなかったが、欧州では「モノスペースセダン」という斬新なパッケージングが功を奏して大ヒットした。デビュー直後からメガーヌ・シリーズの約半数を占める販売台数を記録し、欧州カー・オブ・ザ・イヤーまで受賞している。
  このブームでキッチリ市場シェアを獲得した後、セニックは'99年に生まれ変わった。先代は2列シート5人乗りのみだったが、2代目ではホイールベースを50mm伸ばし、ラゲッジスペースに2人分のシートを備えて3列シート7人乗りとしたものをラインナップ。それがこのグラン・セニックだ。
  そして今回、ヨーロッパでこのグラン・セニックに試乗する機会を得た。それも、日本に導入される仕様と同じく、2リッター4気筒のガソリンエンジンを搭載した4速ATモデルである。
  その第一印象だが、鮫顔のメガーヌに少しだけ柔らかさを加えたようなスタイリングを前にして、意外に大きいと感じた。2リッターという排気量からいわゆるコンパクト・ミニバンを想像していたのだが、実際は全長4493mm、全幅はオデッセイよりワイドな1810mmにも及ぶ。少なくとも、先代よりはグッと体格が良くなった。
  だが、ドライバーズシートに潜り込むと、それほど大きさを感じない。室内が狭いのではなく、肉厚のタップリとしたシートに支えられて、良好な視界と最適なドライビングポジションが得られるからだ。インパネに備わるシフトレバーやフルデジタル化されたメーター類などが、あって然るべきところにきちんと配されている。
  インパネはメガーヌを連想させるものだが、メーター回りはエスパスやアヴァンタイムと似たテイストを持つ。さらにはベージュ調の明るい室内色とダブルガラスサンルーフで、開放感はバッチリ。実用性を追求しながらも、今すぐバカンスに繰り出したくなる雰囲気が、いかにもフランス車らしい。
  さて、エンジンスタートボタンを押して走り出してみる。セダンに対して遮音性では不利であるのにもかかわらず、とても静かな印象を受ける。エンジン音は遠くで聞こえ、ハイスピード走行中でも思いのほか風切り音が少ない。
  また、いかにもルノーらしい、コーナリングでしっかり深くロールする足回りには、やや車高の高さを感じる。だが、路面の接地感がハッキリと伝わるので、不安になることはない。また、荒れた路面であっても、タイヤのバタツキやボディが揺さぶられるようなことがないのは賞賛に値する。まるで、アッパーミドルクラスのセダンに乗っているようなのだ。
  エンジンパワーは必要にして十分だが、今回試せなかった7人乗車+荷物満載というシチュエーションでは、やや力不足と感じるかもしれない。とはいえ高回転まで滑らかに吹け上がるので、性能を使い切って走る楽しさがあり、それがいかにもラテン車らしい。惜しいのは、4速ATの制御に古さを感じること。マニュアルモードを選択しても、時としてギクシャクしてしまうことがあった。
  いずれにしろ、ルノーの定番ミニバンは、日本車に勝るとも劣らないほど高いユーティリティと、上質な乗り味を持っていた。果たしてグラン・セニックは、今度こそ日本で一花咲かせることができるのか。まもなく、その実力が試される時がやって来る。

メガーヌと同じテイストながら、セニック独自の専用パーツが意外と多い。メーターの脇にはナビゲーションシステムが備わり、座席下やアームレストなどに容量タップリの収納スペースがある。
速度レンジの高いアウトバーンや、荒れた路面の多いフランスの田舎道など、シチュエーションを問わず軽やかに走る。ルノーらしいフラットな乗り味は健在だ。
セニックに備わるシートは、7つともすべて独立式。肉厚のタップリとしたクッションが身体をしっかりと支えてくれる。だが、サードシートは簡易的な造りで、エマージェンシー用と割り切ったほうがいい。
セカンドシートは取り外すことが可能で、サードシートはラゲッジの床下に収納できる。いざという時は2人乗りにして、その分の広大な荷室を活かし、商用バン的な使い方もOK。シートを倒せばフルフラットにもなる。
搭載されるエンジンは、メガーヌでおなじみF4Rユニットで、2リッター4気筒DOHC 16バルブというもの。最高出力138ps/5500rpm、最大トルク19.5kg-m/3750rpmという数値は必要にして十分だ。
装着される16インチアルミホイールはメガーヌなどと同じデザインで、グラン・セニックのデザインテイストに合っている。タイヤサイズは205/ 60R16。なお、この車両はダンロップSP SPORT 300Eを履いていた。
全長4493×全幅1810×全高1636mmというボディサイズは、例えばライバルと目されるVWゴルフ・トゥーランと比較すると約100mm長く、1.5mm広い。
Specification
GRAND SCENIC
■全長/全幅/全高(mm)
4493×1810×1636
■ホイールベース(mm)
2736
■トレッド(前/後)(mm)
1506/1506
■車両重量(kg)
1530
■エンジン形式/種類
F4R/直4DOHC16V
■排気量(cc)
1998
■最高出力(ps(kW)/rpm)
138(101)/5500
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
19.5(191)/750
■トランスミッション
4AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:トレーリングアーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/60R16(ー)
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.