BMW325i

BMW325i

新型3シリーズのベストバランスモデル

7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた3シリーズ。
すでに2リッター直4を搭載するエントリーモデルの320i、3リッター直6を搭載するトップモデルの330iについては試乗リポートをお届けしているが、今回ようやく、ラインナップの中核を担う2.5リッター直6を搭載した325iに試乗する機会を得た。


リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|赤松 孝|T.Akamatsu


3シリーズの持つ本来の魅力を再確認


 率直にいうと、新型3シリーズは大きくて重く、そして鈍い……というのが僕の第一印象だった。それがどうしても不満でならなかった。もっとスッキリと切れのいい走りをしていなかったか? それが持ち味ではなかったか? 新しい3シリーズに乗り、その機械的な完成度の高さを認めつつ、苛立つような気分が拭えなかった。
  確かに330iに搭載されているアクティブ・ステアリングがもたらす応答の良さは、ある種の軽快感を作り出しており、ボディをひと回りコンパクトに感じさせる。だが、いざワインディングに足を踏み入れると、ボディの重さは隠しようがない。重いボディをしっかり支え安定させるスタビリティの高さとバランスの良い旋回性はあるが、そこに軽快感はない。
  それにはいくつかの理由が考えられる。ひとつには単純に車重が重いこと。そしてリアのスタビリティが高く、リアにドッシリとした安定感を持たせながらフロントでクルマの向きを変えていくようなセッティングになっていることが大きい。さらにもうひとつ、路面からのダイレクトな突き上げを抑え込むために、サブフレームマウントブッシュかその周辺のブッシュがかなりソフトにできてる(と感じられる)ところだ。これらの要素のために、シャープでスッキリとしたダイレクトなフィールが薄められているように感じるのだ。
  そんなわけで、新型3シリーズに試乗した後、なんとも釈然としないモヤモヤが残っていたのだが、今回325iに試乗して、それがかなりスッキリした。結論を急げば、モヤモヤはボクの思い込みによるところが大きかったということ。よくよく思い返してみれば、3シリーズの信条はソリッドなスポーツ性ではなく、素直な操縦性とバランスのいい旋回感、粘りのあるスタビリティにあったのだ。シャープでソリッドだったのはM3に限った話で、他のモデルは基本性能として持っているバランスの良さをベースに、上質のセダンたろうとしていたはずだ。
  試乗した325iは、ダイナミック・パッケージを装備。スポーツ・サスペンションにより車高こそ標準より15mm低くなっているが、アクティブ・ステアリングの装備はなく、新型3シリーズの素の性能がよく現れているモデルだった。
  ステアリングを切り出すと、その操作通りに素直にノーズが回頭を始め、コーナリング中は前後重量バランスの良さを実感させる旋回感がある。確かにリアに軸足を置いたような印象があるノーズの動き出しや、旋回中のリアの安定感(ドッシリ感)はあるが、もしボディ全体で曲がっていくような旋回バランスを出してしまったら、むしろ危うさが先に立ち、安心してコーナリングが楽しめないだろう。そういう意味で、このサスペンションの味付けは理解できる。
  スポーツ・サスペンションについては、車高を落とし重心を低くしたことで、旋回スピードは高まっているかもしれないが、わずかにロール感が不足している印象がある。もう少し低めのロールセンターを軸に、じんわりロールしてくれたほうがより自然な感じになるのではないだろうか。その点では、ノーマル・サスのほうが本来3シリーズが狙っていた動きが素直に現れるのではないかと思う。
  とはいえ、乗り心地はとても良かった。もちろん、荒れた凹凸のきつい路面ではタイヤのサイドウオールの硬さを隠しきれないが、装着するコンチネンタル・スポーツコンタクト2のランフラットタイヤは、トレッド面のラウンド形状にダンピング特性を持たせているような、しなやかで品の良い乗り心地を提供。ステアフィールにもトレッド面とサイドウオールが別々に動くような違和感がなく、微小舵時の応答性もよかった。
  また、サスペンションのサブフレームマウントのブッシュによって、さらに微細な振動や硬質さをとっているのだろう。そこに薄いゴムを1枚挟んでダイレクトな手応えを緩衝してしまっているような気もするのだが、3シリーズがプレミアムセダンであるという視点で見れば、操縦性と乗り心地という2者を最良のバランス点で両立させているといえる。
  いろいろ理屈をコネ回してみたが、実はこんな風に感じた直接的な要因はエンジンだった。320iの2リッターでは、このボディを元気よく走らせるにはちょっと物足りず、330iはトルクが厚くロングクルーザー的な印象が強かった。その点、325iに搭載される2.5リッターユニットは、滑らかな吹け上がりと、伸びの良いパワー感があって、エンジン性能をフルに引き出しながら気持ち良く、しかも速く走れるエンジンだった。そんな6気筒のエンジンフィールを楽しみながら山道を走るうちに、3シリーズのスタンスみたいなものがなんとなく見えてきたのだ。
  ランフラットタイヤでなければもっとクリアな乗り味が出るのではないかという気持ちは依然として残るし、チューニングの余地もあるとは思うが、いずれにしても325iは3シリーズのプレミアムセダンとしての良さと、スポーティセダンとしての魅力がもっともよく現れた「3」だと思う。そういう意味で325iは、3シリーズの中のベストバランスモデルといえるだろう。

このクラスのセダンとしてはコーナリングスピードのアベレージも抜群に高い325i。また、試乗車はアクティブ・ステアリング非装着(オプション設定)。それだけに、斎藤リポーターによれば操舵時に低速域でのシャープさがない分、速域によるクルマの動きに落差がなく、ボディの重さも受け入れやすいという。
エンジンは330iに搭載されている3リッターと同じく、量産車としては初となるマグネシウム合金を採用した直6DOHC24V。バルブトロニック、ダブルVANOSなどの採用により2.5リッターから最高出力218ps/6500rpm、最大トルク25.5kg-m/ 2750rpmを発揮。6速ATを組み合わせる。
インテリアのレイアウトやデザインは3シリーズに共通するもの。装備や仕立ては320iと330iの中間となるが、どちらかといえば330iに近い豪華仕様となる。ただし、iDriveナビパッケージは325iではオプションの設定だ。また、試乗車はダイナミック・パッケージ装着車で、3本スポークのマルチファンクション・スポーツステアリングが装備されるほか、スポーツ形状のフロントシート、クロス・レザーコンビネーション・インテリアなどが奢られる。
トランクルーム容量は460リッター。もちろん、325iもランフラット・タイヤを標準採用。スペアタイヤは搭載していないので、トランク下の収納スペースも活用できる。

現行ラインナップでは
ベストのバランスを
備えた2.5リッターモデル
Specification
BMW 325i
■全長/全幅/全高(mm)
4525/1815/1425
■ホイールベース(mm)
2760
■トレッド(前/後)(mm)
1500/1515
■車両重量(kg)
1510
■エンジン種類
直6DOHC24V
■排気量(cc)
2496
■最高出力(ps(kW)/rpm)
218(160)/6500
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
25.5(250)/2750
■トランスミッション
6速AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:5リンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)
225/50R16(7J)
■東京標準現金価格
¥5,250,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
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