ホンダ・ステップワゴン

HONDA STEP WAGON

フットワーク自慢の3代目は
“ファンダフル・ムーバー”


初代誕生から9年、その間にすっかり成熟した日本のミニバン市場へ向けて、そのパイオニア的存在であるホンダが3代目ステップワゴンを満を持して投入してきた。初代の“クリエイティブ・ムーバー”というコンセプトは、“ファンダフル・ムーバー”へ。さて、それが意味するものとは?

リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|宮門秀行|H.Miyakado


低床・低重心化により走りと空間の質を追求


 なにしろ、新型ステップワゴンの開発を手がけたLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)は、あのシビック・タイプRを生み出した蓮子末大氏だ。走りに対するこだわりは、並大抵ではない。そもそも、パッケージングから大改革を果たした新型ステップワゴンの発想は、走りからスタートしたといえる。
  振り返ると、初代ステップワゴンがデビューした'90年代の半ばまでは、いまでいうミニバンではなくRV(レクリエーショナル・ビークル)という呼び方が一般的だった。ミニバンにしろクロスカントリー4WDにしろ、遊び(に出かける)道具として考えられていたわけだ。
  ところが、後にミニバンはファミリーカーの代役となり、日常的な場面で活躍するクルマとなった。それだけに、スペースユーティリティの高さだけではなく、乗用車感覚の走りが望まれるようになった。そうした傾向を踏まえ、多くのミニバンが乗り心地を改善し、そこそこのペースで走らせても危なっかしさを感じないレベルまでは到達。だが、ホンダはその程度の対処療法的な対策では満足せず、蓮子LPLが本領を発揮し、根本的な改善を試みたわけだ。
  それが、パッケージングの大改革だ。従来モデルに対し、最新モデルはボディ全高を75mm下げている。だが、全高を下げると室内スペースも狭くなりかねない。そこで床を60mm下げ、天井回りの改善により15mmを稼ぐことで従来モデルと同等の室内スペースを確保。床を下げた結果、乗降性が改善されるという新たなメリットも獲得している。
  もちろん、ボディ全高を下げたのは低重心化のためだ。重心は従来モデルよりも40mm下がり、それだけでもコーナリング時にボディのムダな動きが抑えられる。同時に、サスペンションの設定も最適化し、スプリングやダンパーを締め上げることなしにスタビライザーを強化して、ミニバンで問題になりがちなロールを低減。とくに、ロール軸を前下がりにしたことにより、ロールが進んだときもリアの踏ん張りを効かせることが可能となり、実際に高速コーナーでも不安感がまったくない。
  なかでも、2.4リッターエンジンを積む24Zは、専用設定となるサスペンションと16インチタイヤを装備するので、ハンドリングの正確さが際立つ。高速域でも直進時にステアリングがセンターで落ち着き、まさに乗用車感覚のスタビリティを実現している。
  乗用車感覚という点では、快適性も向上している。乗り心地がしなやかになっただけではなく、各席ともにシートのサイズを大型化して座り心地を改善。3列フルフラット化を可能にするといった、カタログを飾る以外に意味がなさそうな機能を排除し、座り心地を優先させたことは英断といえる。 エンジンは、全モデルが贅沢にもバランサーシャフトを組み合わせ、バイ・ワイヤー式のスロットルも採用。結果的に吹け上がりのスムーズさが際立つのと同時に、静粛性も向上している。155psを発揮する2リッターエンジン搭載モデルでも、アクセルを踏み込んで中回転域以上を使う場面であっても騒がしさを感じない。
  性能的には、2.4リッターエンジンを含め最高出力が従来モデルよりも控えめになっている。それと引き替えに実用回転域のトルクを上乗せし、日常的な場面での余裕を重視。なおかつ、バイ・ワイヤー式のスロットルにより、アクセル操作に対して瞬間的な飛び出し感を抑えながら応答性を向上。乗用車的な扱いやすさも備えている。
  走りのこだわりは、市場の期待通りの結果をもたらしている。問題は、ボディ全長も短くしたので見た目に小さく感じること。そのあたりの評価は、ライバルとの関係でいうと判断が難しい。

低床設計により、室内高は従来モデル同様の1350mmを確保しつつ全高を−75mmの1770mmへと低減。なおかつ、室内長も従来同様の2 800mmをキープしつつ全長は−45mmの4630mmに。
エンジンは2.4リッター(写真)、2リッターともに直4DOHCi-VTEC。トランスミッションは2.4リッターFF車に7スピードモード付きCVT、4WD車に5AT、2リッター車に4ATが組み合わされる。
2列目シートはワンタッチで前方に跳ね上げることができるほか、オプションで回転機構付きチップアップ&スライドシートもチョイス可能。3列目シートは左右に跳ね上げる形で収納できる。なお、ついに左右スライドドアが採用されたのもニュース。
ラゲッジルームは、多彩なシートアレンジにより、用途に応じて自在にスペースを作り出せる。なお、2列目以降のフロアには写真のフローリングフロアも設定される。
全長1680×全幅500mmの大型UVカットガラスにより、1列目から3列目までに柔らかな光を取り込むトップライトルーフ。6分割のサンシェードにより採光調節が可能となる。
水平基調のダッシュボードや薄くワイドなデジタルメーターなどにより、シンプルかつ機能的な印象を与えるコクピット回り。室内には小物収納スペースも豊富に用意される。
写真は純正アクセサリーのモデューロ装着車。エクステリアではエアロパーツや専用グリル、スポーツサスペンション、スポーツマフラー、各種アルミホイールが用意される。
 
G L Package
24Z
■全長/全幅/全高(mm)
4630/1695/1770
■ホイールベース(mm)
2885
■トレッド(前/後)(mm)
1470/1460
■車両重量(kg)
1510
1570
■エンジン型式/種類
K20A/直4DOHC16
K24A/直4DOHC16V
■排気量(cc)
1998
2354
■最高出力(ps(kW)/rpm)
155(114)/6000
162(119)/5700
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
19.2(188)/4500
22.2(218)/4000
■トランスミッション
4AT
CVT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:トーションビーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/65R15
205/60R16
■東京標準現金価格
\2,173,500
\2,551,500
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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