

ポルシェ911カレラ4/4S
PORSCHE 911 CARRERA 4/4S

全天候型コーナリングマシン

911としては異例のハイペースでバリエーションを拡大し続ける997。早くも日本上陸を遂げたカブリオレに続き、海の向こうでは4WD版のカレラ4/4Sが発表、モナコを拠点に国際試乗会が開催された。詳細は本文に譲るが、RRカレラの完成度からして大方の予想はしていたものの、そのパフォーマンスは期待を大きく上回るものだった!

リポート|吉田 聡|S.Yoshida(本誌) フォト|ポルシェ・ジャパン
 

リアトレッド拡大によりボディはさらにワイド化

さて、まずはカレラ4がカレラ4たる、4WDシステムについてから話を始めることにしよう。
システムの基本は先代996カレラ4からのキャリーオーバー、すなわちマルチプレート式ビスカスカップリングを介して、カレラ4で37.7kg-m、カレラ4Sで40.8kg-mというトルクを通常で5%、状況に応じて最大で40%ほどフロントアクスルへ振り分ける電制のトルクスプリットタイプ。
もちろん、997への搭載に際しては相応のアップデートを受けており、ビスカスカップリングとフロントドライブシャフトのキャリアをシフトレバー下まで延長、さらにそれ自体もオープン構造のアルミダイキャスト製チューブとすることでフロントアクスルのねじり剛性をアップし、かつメカニカルノイズの低減を図っている。また、997を機に、911としては初めて前後タイヤ外径を変えたこと(996に対してフロントが2.5%、リアが5%大型化)に伴うホイールの回転差は、フロントアクスルの減速比を変更することで対応している。
このほか、テクニカル面でいうとブレーキシステムもさらに進化。最新PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメント)に追加されたブレーキのプレチャージ機能は、ドライバーがアクセルペダルから急に足を離すとそれを急ブレーキの予兆と判断し、瞬時に油圧ユニットが作動してパッドをディスクぎりぎりまで近づけてスタンバイ、制動距離を大幅に短縮させるというもの。また、ブレーキブースターも、RRカレラのシングルからタンデムとすることでペダルフィールやコントロール性を大幅にアップしている。もちろん、350mm径のセラミック・コンポジット・ドリルドディスクを持つ最新PCCBも、カレラ4/4Sともにオプションで用意される。
では、ボディはどうか。タイトルカットを見れば、リアフェンダーがRRカレラのそれに対してより膨らみを増しているのが確認できるはずだ。これは、さらなるスタビリティアップを図るべくリアトレッドを1548mmまで拡大した結果で、全幅はRRカレラのそれに対して+44mmの1852mmとなっている。また、ボディ構造は基本的にRRカレラと同様ながら、4WDシステムの搭載や燃料タンクの形状変更(容量も3リッタープラスの67リッター)に伴い、バルクヘッドを含むフロントスラクチャーの一部を変更。カレラ4/4Sともに+55kgに抑えられた重量増は、そのまま前軸荷重に向けられている。
――と、ここまでツラツラとRRカレラからの変更点を書き記してはみたものの、やはり走り出さねばその“凄さ”が伝わるわけはない。ルートはモナコの裏山、モンテカルロ・ラリーの一部コースを含む全線ワインディングという、いかにもポルシェらしい設定だ。
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その高いコーナリング性能は4WDの常識を大きく覆すもの。ステアリングを切った方へスッと向きを変えるシャープな回頭性、路面を執拗に捉え続けるスタビリティの高さは、驚異的ですらある。 |
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フロントアクスル直後に搭載されるマルチプレート式のビスカスカップリングは、基本的に996のそれと共通。通常で5%、最大で40%のトルクがフロントに送り込まれる。 |
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