ポルシェ911カレラSカブリオレ

PORSCHE 911 CARRERA S CABRIOLET

五感を揺さぶる
オープン・リアルスポーツ


911シリーズの定番モデルであるカブリオレが、早くも日本の路上で楽しめるようになった。バリエーションはクーペ同様にカレラとカレラSの二本立て。ベースとなるクーペが基本性能を大幅に引き上げてきただけに、果たして今度のカブリオレは、我々にいったいどんなオープンエアワールドを堪能させてくれるのだろうか。

リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|宮門秀行|H.Miyakado


強固なボディがもたらすクーペ同様の一体感


 日常的な場面では、ソフトトップは閉じてあるはずだ。そのときのスタイルを気にする人は多いだろう。ポルシェ911カブリオレは、従来モデルの996も含め、ソフトトップを閉じたときもクーペと変わらない美しさを保つ。
  トップの表面には、内側にフレームがあることを示すわずかな出っ張りがある。それがまた、カブリオレ独特のエレガンスに結び付く。技術的には出っ張りをなくすことも可能なのだろうが、らしさの演出としてあえて残してあるに違いない。そのエレガンスが不要であると判断したときには、技術陣はためらいなくメタルトップを選択すると思う。いまや、技術的にもコスト的にも、メタルトップを採用することの方が容易であるという声さえ耳にするからだ。
  そのソフトトップは、走行中でも50km/h以下であれば開閉可能。わざわざ走行中に開閉する人はいないだろうが、信号待ちのタイミングを測る必要はない。ソフトトップを開けたときの開放感の高さも、911カブリオレの魅力となる。ショルダーラインはやや高めになり、小柄な人にとっては室内に沈み込むような印象があるものの、シートは高さ調整機能を備えているので極端なことにはならない。しかも、911は伝統的にフロントウインドーが立ち気味なので、サンバイザーのあたりが目の前に迫ることがなく、遮るもののない視界を得やすい。
  走り始めて驚くのは、ボディの剛性感が大幅に向上していることだ。911カブリオレは4シーターとなるため開口部が大きく、ボクスターと比べても剛性感が不足気味(もちろん並みのオープンモデルに劣ることはないが)だった。だが、最新モデルは別だ。ボディ剛性を従来モデルに対して曲げで9%、ねじりで5%向上させてある効果が実感できる。
  にもかかわらず、ボディ車重がクーペに対し7kgの増加(車両重量には反映されないが)に抑えられているのは奇跡だ。それだけに、走りの実感はクーペと変わらない。試乗車となったカレラSは、PASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント)を標準装備し、それをノーマルモードにしておけば乗り心地の粗さも気にならない。サルーンカー並みとはいわないまでも、スポーツカーとしては快適だ。剛性感を犠牲にしない範囲で、ボディが衝撃をいなしているためもある。
  また、クーペのカレラSの場合は、路面のうねりによるコーナーリング中のサスペンションストロークがトー変化を生み、それがナーバスな挙動となってスタビリティに影響を与える傾向がある。それを指摘する同業者が少ないのは不思議だが、カブリオレの場合はやはり入力をボディがいなしているのか、この傾向が控えめだ。したがって、下りの高速コーナーが連続するといった場面でも、安心して911らしいペースが保てる。
  ただし、PASMをスポーツモードに切り替えてコーナーを攻めるといった気持ちにまではなれない。このモードはサスペンションがかなり引き締まった設定になるだけに、サーキットに近いようなうねりのないフラットな路面でこそ本領を発揮するはずだ。
  実は、ノーマルモードでも、355psに達するカレラSのエンジンを持て余すことがない。アクセルを踏み込むと、5000rpm台の後半からパワーが一段と盛り上がる。加速に弾みが付き一気に7000rpmに迫る。そんな刺激を確かめながらコーナーを駆け抜けても、ドライ路面であればPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)の出番さえない。そして、再びソフトトップを閉じれば、カブリオレであることさえ意識しないリアルスポーツの走りが楽しめる。
スリーサイズはカレラ/カレラSともにクーペとまったくの同寸。軽量構造コンセプト採用により、車重がクーペに対してわずか+7kgに抑えられているのも新型のトピック。
カブリオレとしてはトップレベルの高剛性ボディにより、クーペ同様のパフォーマンスをオープンエアで楽しめる。空力特性にも優れたボディはCd値0.29をマーク。
高い耐候性が与えられたソフトトップは、電動開閉システムも含め42kgという軽量化を実現。時速50km/h以下であれば、走行中でも約20秒で開閉可能となる。
カレラSが搭載する3824ccのボクサー6は、最高出力355ps、最大トルク41.0kg-mを発生。動力性能は0→100km/h加速が4.9秒、最高速が293km/h(6MT車)とアナウンスされる。
基本的にクーペと共通のコクピット回り。エアバッグはシート内蔵のソラックスバッグも含め計6個が標準装備。万一の場合には、ロールオーバーバーも立ち上がる。
カレラSには19インチホイールが標準。ブレーキは、4ピストン対向式モノブロックキャリパーに330mm径ドリルドディスクという組み合わせ。オプションでPCCBも選べる。
Specification
CARRERA CABRIOLET
CARRERA S CABRIOLET
■全長/全幅/全高(mm)
4427/1808/1310
4427/1808/1300
■ホイールベース(mm)
2350
■トレッド(前/後)(mm)
1485/1535
1485/1515
■車両重量(kg)
1480
1505
■エンジン種類
水平対向6 24V
■排気量(cc)
3596
3824
■最高出力(ps(kW)/rpm)
325(239)/6800
355(261)/6600
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
38.0(370)/4250
41.0(400)/4600
■トランスミッション
6MT
6AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
F:235/40ZR18(8J)
R:265/40ZR18(10J)
F:235/35ZR19(8J)
R:295/30ZR19(11J)
■東京標準現金価格
\12,110,000
\14,760,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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