

ミツビシ・ランサー・エボリューションIX
MITSUBISHI LANCER EVOLUTION IX

正常進化によって得たモノと
進化の引き替えになったモノ

新型ランサー・エボリューションIXの試乗会が、先代のMRとの比較試乗という形で開催された。
そこで見えてきたのは、正常進化で得たモノの大きさ、そして先代から変わった部分だったのだが……。

リポート|石井昌道|M.Ishii フォト|宮門秀行|H.Miyakado
 

トータルで見れば、ほぼ熟成の域に達している
 スバル・インプレッサとともにコンペティション直結型の進化を続けるランエボも今回で9世代目。この『ランサー・エボリューションIX』は、'01年デビューの「VII」が初採用したランサーセディア用プラットフォームをベースとするモデルとしてはおそらく最終バージョンとなるはずで、それだけに熟成の極みにあるモデルだ。
今回は富士スピードウェイのショートコースを舞台に、先代のMRと比較しながらの試乗となったのだが、まず進化を実感したのがエンジンだ。可変吸気機構のMIVECに、チタンタービン&マグネシウムコンプレッサーのターボを採用した4G63ユニットは、ピークパワーこそ変わらないもののトルク特性が大きく変化している。2500rpmも回っていればすでに40kg-m級のトルクを発生するのだから、低速域の頼もしさは従来の比ではない。また、ターボのレスポンスもさらに鋭い。MRではギアの選択に悩む場面でもIXだったら高いギアで間違いないし、コーナーでミスを犯してエンジン回転を下げてしまっても即座に強力な加速が得られる。さすがはコンペティションシーンで鍛えられているだけあって、サーキットで走るとその数値以上に戦闘力の向上を実感させられるのだ。
一方、シャシー性能に関しては意外やMRに光るものがあった。というのもこのコース、タイトコーナーが多く、オーバーステア気味のセッティングの方が走りやすいのだが、それにはスタビリティ重視のIXは比較的適さないからだ。MRはすでに走行距離を重ねた車両だったこともあって、ボディの剛性感やダンパーの性能などはハッキリとIXより劣ってはいたのだが、こと回頭性に関しては上。実に気持ち良く向きを変えてくれるし、ターンインに要する時間も少ないので、エンジンさえ同じだったらラップタイムもIXを超えるとさえ思ったほどだ。
この差は、どうやらリアの車高の違いにあるようだ。シャシーに関して両車はほとんど差がなく、メカニカルな部分ではリアが約5mmローダウンされただけであるという。なるほどIXは、AYCを持ってしてもタイトコーナーのターンインでこそ、多少の待ちを強いられるが、コーナリング速度が上がるほどに頼もしさを見せる。また、大胆に縁石をまたいだときの落ち着き方にも安心感がある。高速コーナーであれば、新採用のエアロパーツとあいまって、その安定性が大きな武器になるはずだ。
ミニサーキットという限られたステージではIXの美味しい部分は堪能しきれなかったが、この進化は昨年から始まった欧州進出にも関連があるのかもしれない。アウトバーンなどでの200km/h領域の直進性、ニュルブルリンクでの超高速アタックともに、IXのスタビリティの高さはおそらく大きなアドバンテージがあるはずだからだ。ほんの少しばかり回頭感が落ちたとしても、トータルでみれば、ほぼ熟成の域に達したのが、ランエボIXなのだ。
■Specification
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GSRには、ランエボVIII MRと同仕様の4WDシステム「ACD+スーパーAYC」/6MTクロスミッション/スポーツABS/ビルシュタイン社製ショックアブソーバー/ブレンボ社製4輪ディスクブレーキ等が標準装備。 |
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優れた空力特性&冷却性能を確保するフロントバンパーにはインタークーラーパイプ冷却用ダクトが内蔵。リアコンビ同様、ヘッドランプにもダーククリア処理が施される。 |
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新デザインのENKEI社製アルミホイールがGSR/GTに標準装備。タイヤサイズは235/45ZR17。BBS社製鍛造アルミホイールは、従来同様のオプション設定。 |
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GSRにはRECARO社製フロントバケットシートが標準装備。前面サイド生地が本革で、メイン生地はアルカンタラ。GTにはランエボVIII MRと同仕様のRECARO社製シートが、RSにはベーシックなシートが採用。 |
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ディフューザー形状を採用したリアバンパーは、レーシーな雰囲気を演出するだけでなく、ボディ下面や側面の空気を整流し、空気抵抗の低減と高い操縦安定性を実現する。 |
リアスポイラーはカーボン製水平翼を中空化し、上部の軽量化を実現。オプション設定のガーニーフラップは、リアスポイラー後方の空気の流れを強制的に上へ跳ね上げ、ダウンフォースを増大させるという。
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新グレードのGTは、オンロード志向の強い中間グレード。5速クロスミッション/リア1.5WAY機械式LSD/スポーツABS/ビルシュタイン社製ショックアブソーバー/ブレンボ社製4輪ディスクブレーキ等が標準装備。 |
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GSR/GTのインパネには、カラークリアコートが施されたカーボン調オーナメントが採用。MOMO製本革巻き3本ステアリング/本革巻きシフトノブなどが標準となるなど、基本的な装備内容はランエボVIII MRを踏襲。 |
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今回新たに採用されたアルミペダルは、GSR/GTに標準装備される。ヒール&トウなどのスポーツドライビングを強力にサポート、スポーティなルックスをも演出する。 |
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連続可変バルブタイミング機構のMIVECを採用、ターボチャージャーにおけるコンプレッサーハウジングのディフューザー形状を改良するなどして、主に低回転域のトルクと全域でのレスポンスが大幅に向上。 |
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