

シボレー・コルベット
CHEVROLET CORVETTE

さらに洗練度を増した
インターナショナル
アメリカン・スポーツ

豪快なアメリカン・スピリットはそのままに、一気に国際基準のハンドリングを獲得した先代C5。そして8年を経て、いよいよC6がデビュー。このフルモデルチェンジは当初リトラクタブルライトの廃止が物議を醸したが、いまこのクルマを走らせ終えて思うことは、それは新たな次元への飛躍を誓うコルベットの意志表明なのだ、ということである。

リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|宮門秀行|H.Miyakado
 

C5の構造を踏襲するもその走りは一変している
 試乗会でGMアジア・パシフィックの某氏と雑談していた席で、「C5がシャロン・ストーンなら、C6はジョディ・フォスター」という譬(たと)えが飛び出した。どちらも本人と付き合ったことはないが、スクリーンから受ける印象としては当たっているかもしれない。
このほど日本にも上陸した新型シボレー・コルベットは、'52年前のデビューから数えて第6代目。だからC6で、つい昨日までのをC5と呼ぶ。あらためて振り返ると、アメリカ車に対する私たちの先入観とは裏腹に、モデルごとの現役寿命がかなり長い。だからC6もこれから7〜8年間は、アメリカン・スポーツの代表選手として活躍することになるのだろう。いや、ここでアメリカンを意識しすぎると、新しいコルベットの正体を見誤ることになる。最近のアメリカ車の流れからもわかる通り、今度は広く国際基準のスポーツカーに変身しているからだ。
この変身は「進化」だが、旧来からのアメリカ車感覚のファンからすれば「変節」に見えるかもしれない。ハイドロフォームによるフレームと樹脂を多用した2座ボディ、プッシュロッドのV8エンジンと後部にまとめられたトランスアクスル、横置きリーフのサスペンションなど、ほとんどの機構をC5どころか先々代(C4)から受け継ぎながらも、その出来上がりはかなり異なるのだ。
それは、乗った瞬間すぐわかる。まず剛性感というか、クルマ全体の統一感が濃い。だから微妙な操作に対してもピッと反応する。C5にもピピッと鋭い部分はあったが、内容が違う。これまでC4に始まりC5も年々しっかり改良されてきたが、根本の部分でアメリカ的というか、サスペンションやステアリングなど、それぞれ個別の仕事をこなす感じが強かった。それが今度はまず全体ありきだ。
だからコーナリングも、アンダーステアだオーバーだの前に、切り込みに応じてギュッと接地感が高まるのがわかる。だから予想した通りのGフォースがドライバーにも正確に伝わるので操りやすい。特に印象的なのは「ケツ」の落ち着きが格段に増したこと。やはり大排気量の大トルクだけに、これまでは不用意に踏みすぎるとリアがザッと流れがちだった。もちろんトラクションコントロールもあるが、GMのは反応が遅く、働く前に一瞬ザッと来る。キャデラックXLRなどもそうだ。
ところが新しいC6では、かなり攻めたつもりでも後輪が執拗に路面をトレースし、容易には姿勢を乱さない。もちろんサスペンションもしなやかさを増す方向で改良されているが、それより微小ストロークの、それも初期部分でダンパーが効果的に仕事をしている感じだ。その肝がGM自慢のマグネティックライド方式。電子制御減衰力可変ダンパーだが、よくあるタイプとは違って完全に無段階のうえ、おそろしく反応が早く1/1000秒単位で最も効果的なポイントを見つける。簡単にいうとダンパーオイルに鉄粉を混ぜ、本体のオリフィス部分に環状の電磁石を置く。ここに流れる電流が変わると鉄粉の整列も変わり、オイルの粘性が変わったのと同じことになり減衰力が変化する。
もっと褒めたいのは、ここまでリアが粘ると相対的にフロントが負けてアンダーステアが目立つことが多いのに、C6はそうならない。切れば切っただけ、しっかり前輪がグリップしているのが、本当に体感できる。前245/40、後285/35のZR18インチ・タイヤは1.5トンの重量に対して余裕が大きく、しかも変速機を後ろに置くなど重量配分は50対50レベルにあるので、ヘアピンに突っ込みすぎても、ほとんど鳴いたりしない。だから常にオンザレール感覚で、好きなように軌跡を選べてしまう。また、このC6から日本向けにもランフラット・タイヤ(グッドイヤー・イーグルF1のEMT仕様)が装着されるようになったが、気になる乗り心地は、市街地でも高速でも問題ない。これも、一部にはマグネライドの効果と言えるだろう。
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先代C5のLS1をベースに、排気量を6リッターに拡大した新LS2を搭載。スペックは404ps/55.6kg-m。OHVという形式からイメージするフィーリングとは裏腹に、その吹け上がりはかなり鋭い。ピックアップも上々。 |
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減衰力調整式ダンパー、マグネティック・セレクティブ・ライド・コントロールの調整はセンターコンソールのスイッチで。5スポークのポリッシュアルミホイールは標準装備。
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ハンドリングはさらに洗練を増している。ステアリングを切ったときの反応が鋭いだけでなく、ドライバーに伝わるインフォメーションの類がさらに研ぎ澄まされているのだ。 |
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全体的にシェイプされ、スタイリングは大いに精悍さを増している。リアコンビランプとエグゾーストパイプはともに楕円から真円に変更されている。ボディカラーは全6色。 |
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