フォード・モンデオST220
FORD MONDEO ST220

シリーズの命運を握る!?
STバージョンが日本上陸


フォードの高性能モデルに与えられる「ST(SPORT TECHNOLOGY)」の名を冠したモンデオ「ST220」が日本上陸を果たした。
単なるスポーツバージョンという以上に、モンデオ全体のイメージアップという大役を担うST220の出来映えをチェックする。


リポート|島下泰久|Y.Shimashita フォト|宮門秀行|H.Miyakado


モンデオの可能性を予感させるSTの走り


 乗ると実は結構良くできている。けれど、今ひとつ個性が薄く、輸入車好きにはどこかアピールを欠くというのは、ヨーロッパ・フォードのモデルすべてに目下共通の悩みだろう。モンデオST220は、そうした状況を打破するべく投入されるモデルだという。その持ち味のひとつである走りの良さを前面に打ち出すことで、モンデオ全体のイメージアップを図ろうというわけである。
  違いは18インチホイールやブラックアウトされたグリル、左右出しのエキゾーストパイプぐらいなのに、見た目のスポーティさは大いに増している。これ1色だけが用意される専用ボディカラーのパフォーマンスブルーの威力もあるかもしれないが、その印象は、派手ではないのに、どこかただものではないといった風。インテリアも、専用レカロ製フルレザースポーツシートやシルバーダイヤルのメーターなどで精悍な雰囲気だ。
  このST220で最も注目すべきは、V6 GHIAの2.5リッターをベースとする3リッターのV6エンジン。最高出力は226ps。これは車名の由来でもあるのだが、スペック的にはコレ、今や特に自慢できるほどの数値ではない。しかし、マニアックな6速MTのギアを入れて走り出したら思わず唸った。このエンジン、最高の快感をもたらしてくれたのである。
  まず気持ち良いのが、そのサウンド。適度に乾いた濁りのないその音色は、それだけで昂揚をもたらす。4500rpm辺りからレブリミットの6800rpmまでのリニアなパワー感を伴った爽快な吹け上がりも、まさに絶品だ。実はこのエンジン、ピストンやコンロッドなどの内部パーツを軽量化した上、重量誤差を10分の1グラム単位に揃える、いわゆるバランス取りが施されている。この滑らかさと絶妙なギア比設定に、ついついアクセルを床まで踏みつけたくなってしまうのだ。
  ハンドリングもすこぶる好印象。サスペンションはスプリング、ダンパーだけでなくジオメトリーにも手を加えたおかげで、小さな舵角から実にリニアな反応を示す。縦方向のトラクションはやや不足気味だが、操舵に対する追従性は最後まで失われない。ローター径を拡大したブレーキも、タッチは硬く重いが、代わりに微細なコントロールが可能。基本的に安定志向でいながら、実にキレの良いフットワークを楽しめるのだ。
  しかも、乗り心地だって悪くはない。2.5V6 GHIAと比較すると、大入力に対してはガツンと直接的なショックが響く一方、逆にフラット感は上回り、視線が上下にブレないからかえって疲れが少なくて済むというわけである。
  モンデオの持ち味であるリニアなドライブフィールをより洗練させ、さらなる爽快感を付け加えたST220は、スポーティサルーンとしては上々の仕上がりであった。冒頭に書いたような、モンデオ全体のイメージアップに繋げられるだけの実力は、十二分に備えていると言えるだろう。
  だとすれば、求められるのは実は次の一手ではないだろうか。いくらST220に魅力を感じても、諸々の都合でMTは買えないという人は多いはず。でも彼らは、だからといってV6 GHIAを買いはしないだろう。本当はST220にATが加わればいいが、せめて中身はATでST220風の内外装と足回りを持った仕様、なんてものが用意されれば、そうした潜在的ユーザーにも結構アピールするのではないだろうか。
  そんな想像を巡らせてしまったのも、この走りの魅力と実力がより広まれば、モンデオはまだまだ新しいファンを獲得できるはずだと、ST220が示してくれたからだ。繰り返すが、あとはどう売っていくか。そこに掛かっている。
ベースモデルとなったモンデオV6 GHIAシリーズも小変更を受けている。スペックに変更はないが、アルミホイールを16インチから17インチに、さらにステアリングを本革から本革+ウッドに変更するなど、その内容は装備の充実が中心。
フォード・チームRS(旧SVEとフォード・レーシングを統合した新部門)が手掛ける高性能モデルがSTシリーズ。モンデオST220は、フォーカスST170に次ぐシリーズの第2弾となる。さらに今年上半期には、150psを発揮する2リッターエンジン搭載のフィエスタSTも投入予定という。
ノーマルモデルとの外観上の違いは、ブラックメッシュのエアインテークホール&フロントグリル、左右振り分けのデュアル・エキゾーストパイプ、18インチホイールなど。ボディカラーは、専用色のパフォーマンスブルーメタリックのみの設定となる。
ブラック基調のインテリアは、本革巻きのシフトノブ&ステアリング、シルバーフェイスのパネルを用いたメーターなどにより、スポーティな雰囲気にまとめられる。シフトノブやABCペダルのデザインに、もう少しスポーティさが欲しい気もするが……。
フロントシートは、レカロ社製のレザーシートを採用。バケット形状となるが、パワーシート、ランバーサポート、シートヒーター機能も備わるなど快適性は高い。後席の居住性なども基本的にノーマルと同等なだけに、実用性は必要十分以上を確保。
トランスミッションはゲトラグ社と共同開発した6速MTで、カウンターシャフトを2本持つタイプが採用されている。ちなみにギア比は(1)3.154 (2)1.952 (3)1.520 (4)1.188 (5)1.308 (6)1.031 (R)4.289。ファイナルは(1)(2)(3)(4)が3.867、(5)(6)(R)が2.762となる。
タイヤは1インチアップの225/40R18。フロントブレーキには、57mmの大型シングルポット・キャリパーを装備した大径ディスクを採用。
Specification
FORD MONDEO ST220
■全長/全幅/全高(mm)
4755/1810/1450
■ホイールベース(mm)
2755
■トレッド(前/後)(mm)
1525/540
■車両重量(kg)
1510
■エンジン型式/種類
−/V6DOHC24V
■排気量(cc)
2967
■最高出力(ps(kW)/rpm)
226(166)/6150
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
28.6(280)/4900
■トランスミッション
6MT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:クワドラリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
225/40R18(7.5J)
■東京標準現金価格
¥4,305,000
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※上記スペックは本誌発売当時の値です。
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