オペル・アストラワゴン
OPEL ASTRA WAGON

まさにオペルの本領発揮!

オペルといえば、もともとワゴン作りに長けたメーカーだ。
そのルーツとなっているのは1953年のオリンピア・レコルト。
その後も精力的に車種を拡大し、コンパクトカーのカデットからフルサイズのオメガまで、ライバルメーカーに先行してフルラインナップ化を完成させた。
今回発売されたアストラワゴンにも、そんな50年以上のノウハウが惜しみなく投入されているのだ。


リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|宮門秀行|H.Miyakado


オーバーハングに加えホイールベースも延長


 アストラの良さは誰でも知っている。一本パキッと筋が通っていて、どこから見ても基本に忠実。それだけなら昔からのオペルだが、今度は最初から日本に向けての意気込みが違う。だからワゴンも、こんなに早く上陸してきた。
  アストラワゴンといえば、実質重視の「使える多用途車」として定評がある。まずズドンと荷室を確保。そのためホイールベースも2.7m以上と、ハッチバックより9cm延長。さらにリアオーバーハングも延ばしたので、全長は30cm近く長い。これで荷室の容量は先代+90リッターの1590リッターにまで拡大され、助手席まで倒すと奥行きは最大2.7m。これならサーフボードも呑み込めるだろう。
  細かい工夫にも余念がなく、ベクトラワゴンで始まったフレックス・オーガナイズ・システムも備わる。荷室両サイドの壁に埋め込まれたレールにオプションのアダプターを噛ませ、いろいろ仕切りパーツを取り付けることによって、嵩張らない荷物でも転がらないように固定できる便利装置だ。
  ただし実測してみると、すべてがハッチバックより広いわけでもない。たとえばテールゲートの敷居は地上55cmとハッチバックより16cmも下がったが、そこから段差なくつなげるため、フロア自体は少し高い。したがってトノカバーまではハッチバック(55cm)より5cm浅く、フロアから開口部のてっぺんまでも77cmと2cm低い(全高は5mm高い1475mmだが)。
  一方、ホイールベースと全長の増加のため荷室フロアの奥行きはハッチバック(71cm)より40cm以上も長く、後席をダブルフォールドすれば奥行きも1.6m以上に伸びる。ハッチバックも奥行きはけっこうあるが、後席バックレストを倒すだけなので途中に7cm以上の段差が残り、その前方も平らではない。開口部の形も、ハッチバックでは最下部の平らな部分が幅60cmしかないので、大きく重いスーツケースなどは積み卸ししにくい。そこがワゴンなら幅80cm以上あり、前述のように敷居もほとんどないから楽だ。つまりハッチバックは手荷物をたくさん載せるのに向き、折り畳みテーブルなど大きなキャンプ用品まで運ぶならワゴンが最適ということになる。
  ただし、違いはここまで。ワゴンとはいえ後席の座り心地は快適で、クッション部も平板ではないから長時間の旅行も苦にならない。たぶん普段は本来の荷室だけで足り、セダン的に使うことが多いだろうからこれは大切なポイントだ。それに、後席を畳むにはヘッドレストを引き抜く必要があるなど、面倒な事情もある(ふたたび差し込むのにコツがいる)。
  そして走行感覚はアストラそのもの。どこまでも素直で敏捷で、実際にも心理的にもサックリ感が濃い。中でも一番のお薦めは1.8スポーツだろう。オペル自慢のCDC(電子制御ダンパー)や17インチタイヤなどで武装しているので、ほとんどスポーツセダンと呼びたいほどのフットワークを誇る。理論上はホイールベースが長いだけに低〜中速コーナーでの安定性も高いはず。そのぶんヘアピンなどで鈍重かといえばさにあらず。切り込んだ瞬間シャキッと応じて踏ん張る前輪の仕事も見上げた出来だ。クルマとの硬質な直結感を好むドライバーなら、ゴルフVよりこちらを選ぶだろう。もちろんパワーも125psで充分。ただしATが4速のままなのは、実際面では不満がなくても、なんとなくトレンドに乗り遅れた気がして惜しい。ゴルフVの6速ATも同じアイシンAW製なのだから、こちらも思い切って翔んでほしかった。そんな熱いユーザーのためには、ワゴンボディでも200psターボ+6速MTという組み合わせも用意されているが。
1.8スポーツのインパネ。装備の充実ぶりは目を見張るほどで、特にオーディオはインダッシュ6連奏CDチェンジャー、ステアリングスイッチ、7スピーカーが標準。
ハッチバックに比べてホイールベースを延長しているだけのことはあり、室内空間は想像以上に広い。厚みのあるリアシートバックもポイントが高い。シート表皮はクロス。
ラゲッジルームは通常500リッター、ダブルフォールディング式にリアシートを畳めば、最大1590リッターの空間が出現する。4:2:4で分割するシートバック、トノカバーやラゲッジネットの展開方法などにワゴン作りの手慣れを感じる。
空間を最大限に利用するため、基本フォルムは典型的なツーボックスとなる。ただし、それをきわめてスタイリッシュに見せているのはデザインの妙といえるだろう。
このボディサイズなら、エンジンは1.8リッターDOHC(125ps/17.3kg-m)で必要十分以上。それにしてもオペルのエコテックは、いつ乗ってもスペック以上に力強く感じる。
リアシート乗員の頭上までをカバーするガラスサンルーフは、1.8スポーツ以上のモデルにオプション。コレ、かなり開放感高いです。
Specification
OPEL ASTRA WAGON 1.8 SPORT
■全長/全幅/全高(mm)
4520/1760/1475
■ホイールベース(mm)
2705
■トレッド(前/後)(mm)
1475/1465
■車両重量(kg)
1320
■エンジン型式/種類
Z18/直4DOHC16V
■排気量(cc)
1795
■最高出力(ps(kW)/rpm)
25(92)/5600
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
17.3(170)/3800
■トランスミッション
4速AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:トーションビーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
215/45R17(7J)
■東京標準現金価格
¥2,800,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
2.0 TURBO SPORT

なにはともあれ、MT車をラインナップする日本GMの心意気に拍手を送ろう。パフォーマンスも文句なしで、2リッター直4DOHCターボは200ps/5400rpm、26.7kg-m/4200rpmを発揮。6MTを駆使すれば、ワインディングから高速道路まで、緩急自在のスポーツドライビングを楽しめる。まさにリーズナブルな万能車だ。
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