ミツビシ・ランサーエボリューションIX GSRプロトタイプ

LANCER
EVOLUTION IX GSR PROTOTYPEA

9回目のエボリューションで
求めたものは……?


ランサーエボリューションの最新モデル「IX」。
そのプロトタイプが、ニュルブルクリンクでお披露目された。ステアリングを握ったのは「ニュル」と「エボ」を知る木下隆之氏だ。

リポート|木下隆之|T.Kinoshita フォト|三菱自動車

サーキットよりもワインディング

 エボIX最大のトピックは、エンジンのMIVEC化である。これまでは、名機とされる4G63型2リッターターボユニットをクツクツと煮詰める手法で戦闘力を高めてきた。だが、エボIXはそこに可変バルブを合体させることで、大幅な特性の変更にチャレンジしたのだ。
  狙いはパワーバンドのワイド化である。低中回転域をよりトルクフルにしつつ、高回転域で抜けるようなフィーリングを求めるためには、回転のどこかでカムプロフィールを切り換える必要があった。そのためのMIVEC。
  結果、確かに動力性能は高まった。特に高回転域のレッドゾーンに差し掛かったあたりからのもうひと伸びが鋭くなった。だが、もともと4G63型は粘り強さに定評があったために、低回転域での変化は期待したほどではない。つまり、「下」を犠牲にせず「上」を充実させたのだ。その感触はどこかが突出したというより、全域にわたってフラットにトルクが散りばめられたと解釈するのが正しい。
  それよりも感動したのはむしろ、タービンの細工によるレスポンスアップだ。2リッターの排気量で280psオーバーのパワーを炸裂させるには、自ずと大径のタービンが必要となる。だが、それでは俊敏なレスポンスは期待できない。エボIXはそのジレンマを見事に解消したといっていい。右足を踏み込んだ直後に、鋭くトルクが導き出されることには驚かされたのだ。
  ニュルブルクリンクは、高速コーナーが主体である。VIIIまでのエボなら、5速や6速でのアクセルコントロールはいたずらにタービンを遊ばせておくだけで、意図するトルクを引き出すには遅れがありすぎた。だが、これなら不満は少ない。過給の遅れを予測することになれた右足は、早めに踏み込みすぎて走りをギクシャクさせるような場面さえあったほどだ。
  プロトタイプとはいえ、エボIXは大幅にドライバビリティを向上させていた。もっともそれは、サーキットでの瞬発力を引き上げるものではなくコントロール性能に直結する。サーキットよりもむしろ、ワインディングなどでの乗りやすさとして実感するものなのだろう。サーキットで最速のエボは、ワインディングキラーとしての資質をまた一歩高めたといえよう。
 
  エボVIII・MRをベースに開発されたIX・GSR。両車のスペック上の違いはごくわずかで、ボディサイズなども共通している。プロトタイプだけに細かな変更の可能性もあるが、この仕様に準じたモデルが市販されるはずだ。発売は来春を予定。



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