AUDI アウディA3スポーツバック 2.0 TFSI
A3SPORTBACK 2.0 TFSI

シリーズのベストハンドリング!

先月号では3.2クワトロの試乗記をお伝えしたが、今回はA3スポーツバックの最重要グレード、2リッターターボエンジンを積む2.0 TFSIを試してみた。
VWグループ最新の直噴エンジン+ターボ、そしてトランスミッションはあのDSGとなれば、いやがうえにもその走りに期待が高まる!

リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|郡大二郎|D.Kori

ターボ+DSGがとても新鮮な感覚

 A3に待望の5ドア版、スポーツバックが設定された。今回も単にドアを2枚追加しただけなのか……と思っていたら、ショートワゴンともいうべき個性的かつアウディらしいスタイルで登場。どこがアウディらしいのかといえば、その造形は、まさにA3のアバント的解釈といえるカタチだからだ。
 ところで、これはA3の発表試乗会のときの話だが、僕はDSGの素晴らしさに圧倒されっぱなしで、足回りに関しては「ずいぶんしっかりしたサスペンションだな」という感想を持つに止まっていた。
 だがその後、同じシャシーを使うゴルフトゥーランに試乗して、そのフラットなボディコントロールに眼からウロコが落ち、慌ててA3に乗り直したところ、A3の足回りもすこぶるよい出来なのを理解した。ただし、それはやや硬めで、よさがストレートに伝わりにくいセッティングではあった。
 そしてゴルフが登場し、再びそのポテンシャルの高さに驚き、これこそがこのシャシー本来の性能なのか! と感心したのだった。そういう経緯があったから、個人的には今回のスポーツバックの試乗会をとても楽しみにしていた。
 前振りが長くなったので結論から先にいうと、A3スポーツバックのシャシーは、同シャシーを使うモデルの中でも抜群の出来栄えだった。特に、この2リッターターボはベストハンドリングといえる。
 A3に対してゴツゴツとした硬さの角が取れ、適度にこなれたマイルドさを持っている。見方を変えれば、ゴルフと差別化するためにスポーツ性を強調したA3に対して、スポーツバックは差別化の必要がさほどなかったために、アウディの考えるスポーツハンドリングを思い通りに味付けできたということなのかもしれない。
 スポーツ性はアウディの重要なテーマのひとつだから、マイルドとはいってもある程度引き締まっており、硬質な突き上げはないが、多少の硬さ、腰の強さはある。が、それを含め、シットリしているのにユルさは微塵もない。ステアリングは、指一本分以下の微妙な操舵に対しても正確に応答する。
 いい方を換えれば、シャキシャキ動くのではなく微妙な操舵がクルマの余計な動きを抑える役割を果たし、心地よい緊張感を与えている。かなりのハイペースでワインディングや高速道路を走っても、グラッとくるような唐突で不安定な動きは一切出ない。ジワーッとステアリングを切り込んでいき、スッと丁寧に戻すだけですべてこと足りる。クルマが余計な動きをしないから、ステアリング操作も最小限で済むというワケだ。
 エンジンは、1500rpmくらいからすでにターボが効き出す低〜中回転域重視型で、レスポンスのよさが特長。それでいて、トルクがフワッと膨らむような穏やかな特性を持つ。先代A3の1.8Tだと、タイヤが半転がりくらいするまでトルクの薄さが感じられたが、2リッターFSIターボにはまったくない。しかも、組み合わされるDSGによって、エンジンのパワー感、トルク感がクッキリ明瞭にドライバーに伝わってくる。そして、これまでのアウディのような無機質なエンジンではなく、(出しゃばらない程度に)存在をアピールしてくれるから、走っていてとても楽しい。
 絶対的な加速性能では3.2リッターに分があるが、2リッターターボと比較すると若干ノーズ回りに重さがあり、操縦性の面ではターボに軍配が上がる。もちろん、3.2リッターはクワトロで、ターボはFFという駆動方式の差もあるのだが……。
 いずれにしても、このA3スポーツバックは、その存在感と明快なコンセプト、そして何より走りのよさで、ライバルひしめくCセグメントの中でも、きわめて魅力的なクルマに仕上がっている。
 
  2リッター直噴FSIターボは、新型A4やゴルフGTIにも搭載される、VWグループの新たなる基幹ユニット。スペックは200ps/5100〜6000rpm、28.5kg-m/1800〜5000rpm。
  2.0TFSIと3.2クワトロのタイヤ&ホイールは共通で、225/45R17+16スポークホイールとなる。試乗車のタイヤはミシュラン・パイロットプライマシーだった。

  リアエンドは3ドアと完全に異なる造形となり、フェイスリフトしたA4にも通じるテールランプ形状が新鮮。3ドアに対し、リアオーバーハングは70mm延長されている。

  インパネ形状は3ドアに準じるが、ステアリングはセンターパッドにシングルフレームをあしらった新タイプに変更されている。DSGを操作するパドルシフトも装備。

2トーンのスポーツシートが標準装備。表皮はファブリックで、レザーはオプション。ルーフが後方に伸びたことで、後席頭上回りの空間は3ドアよりも格段にゆとりを増大。
リアオーバーハングが延長されたことで、ラゲッジルームは3ドア比で20リッター拡大。通常で370リッター、リアシートバックを畳めばその空間は1120リッターにまで拡大する。
  2リッターFSIターボは1800〜5000rpmで最大トルク28.5kg-mを発揮する超フラットトルク型。つまり、どこから踏んでも同じように加速する。アウディらしい、クールな味付けだ。

AUDI
A3 SPORTBACK 2.0 TFSI
■全長/全幅/全高(mm)
4285/1765/1430
■ホイールベース(mm)
2575
■トレッド(前/後)(mm)
1525/1495
■車両重量(kg)
1470
■エンジン形式/種類
AXX/直4DOHC16V+ターボ
■排気量(cc)
1984
■最高出力(ps(kW)/rpm)
200(147)/5100-6000
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
28.5(280)/1800-5000
■トランスミッション
6速セミAT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
ウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45R17(7.5J)
■東京標準現金価格
¥3,890,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
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