
ハーマン・モータースポーツ訪問
Visit HAMANN MOTORSPORT GmbH

レーシングチームのごとく
仕事をこなす、オープンで
アットホームなプロ集団

アグレッシブなコンプリートカーを次々とリリースしているハーマン・モータースポーツは、ドレスアップでは満足できず、バランスを考慮したエンジンチューンまで自ら行なう生粋のチューナーだ。
その魅力を、現地から余すことなくお届けしよう。

リポート|柴田幸治|K.Shibata
取材協力=ハーマンモータースポーツジャパン
TEL:072-763-3500
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ハーマンのルーツはモータースポーツから

ドイツ南部、ドナウ川が流れる緑豊かな街、ウルム。その近郊に拠点を構えるチューナー、ハーマン・モータースポーツGmbHは、BMWをはじめ、ポルシェ、フェラーリといった高級車のチューニングを手がけるドイツの有力チューナーである。
同社の特徴といえば、ガルウィングやカーボンルーフといった奇抜なスタイリングだが、意外と知られていない事実がある。それは、昔ながらの手法でエンジンのボアアップなども手がける生粋のチューナーであるということ。今どき珍しいチューナーだが、それには創設以前からの経緯にワケがある。
ハーマン・モータースポーツの創始者であり、現在の代表でもあるリチャード・ハーマン氏は、DTMやル・マンといった国際レースを転戦するレーサーだった。14歳の時に2輪でレースを始め、24歳で4輪に転向。その後、プロフェッショナルレーサーとしてF3、グループC、DTMと順風満帆にステップアップしていった。
だが、36歳の時、人生において最大の壁にぶつかってしまう。長年の参戦により体が蝕まれ、ついにドクターストップが言い渡されたのだ。しかし、これが会社を興すキッカケとなったのである。
元々、レーサー時代から趣味で自分のクルマをチューニングしていたというハーマン氏。今から約18年前といえば、チューニングが盛んになり始めた頃だ。ドライバー人生を強制的に終了させられ、失意の底にいた氏にモータースポーツ仲間は、「チューニングを生活の糧にすれば?」とアドバイスした。そうしてハーマン・モータースポーツが誕生した。
趣味をビジネスに変えて歩み始めたハーマン氏。事の始まりは趣味だったのだから、当然、毎日が楽しい日々である。その雰囲気は現在も健在で、社員全員がクルマ造りを楽しむかのごとく仕事をこなしている。すべてを自社で研究、開発するというこだわりは「クルマ造りを楽しむ」という氏のモットーが発端となっている。
成立しにくい構図ではあるものの、趣味の延長線上にあるビジネスにはメリットもある。事業を進める上での困難を当事者がさほど意識せずに済み、むしろ積極的に受け容れることができる点だ。それゆえ、同社の発想はデザインだけでなく会社としての意識も非常に前向き。その点で、クルマに限らずビジネスモデルとしても興味深い会社と言えるだろう。
現在のスタッフは30人弱。そのスタッフ全員がクルマに対して情熱と夢を持っている、と今回の取材を対応してくれた輸出マネージャーのショップ氏は言う。リポーターは、今回で訪問3回目となるが、初回から変わらない印象は、同社の雰囲気が非常にフレンドリーかつオープンであるということ。奇抜なアイディアは、この雰囲気の賜と言ってもいいだろう。
会社は一つのパッケージだからオールinワン

世界40カ国以上と取り引きを行なうハーマン・モータースポーツは、昨年9月に現在の社屋に移り、さらにチューナーとしての設備を整えた。それは会社の規模に合わせた社屋のステップアップにすぎないというが、内容は非常に充実したものだ。まず、現社屋はショールームにオフィス、ファクトリーとすべての機能が集約された作り。そしてファクトリーにはピットはもちろん、シャシーダイナモやエアロパーツ開発室、エンジン工作&コンピュータR&D、倉庫といった具合にメーカーの工場を凝縮させたような機能が備わっているのだ。ショップ氏いわく――、
「会社の規模を考慮すると、現在の社屋が妥当と思います。リチャード・ハーマンも『会社は一つのパッケージであり、バランスが重要』と申している通り、何かが欠けていては良い物を作り出すことはできません。現在、我々は世界40カ国以上に輸出をしています。その規模を考えればこの体制は決して大きくはないと思いますし、設備的にもマストだと考えています。同時に、移転は我々自身がリニューアルする機会にもなりましたね。これまでは、近所にショールームや倉庫、工場が点在していましたが、ここはオールinワン。だから、時間的にも作業的にも無駄を省き効率を上げることができます。それにより、より良い製品を作り出すことが可能となりました。バラバラでは、良い仕事はできませんからね」
オールinワンの重要性は、それだけではない。コンプリートカーを製作する上でも、非常に重要な要素となるのだ。クルマは、すべての面においてバランスが重要だ。そのバランスを重視して開発を進めるならば、確かに一つに機能を凝縮させることは効率が良く、有意義でもある。現在、スタイリングからチューニングに至るまで、すべてを自社で開発しているチューナーはドイツ国内といえども少数派だ。そこまで同社が自社製作にこだわる理由は、クオリティの確保と、プロフェッショナルとしての誇りだという。
リニューアルして新たなステップを歩み始めたハーマン・モータースポーツ。次のステップは、すべての人たちに気に入られるブランドになることだそうだ。これまで着実に歩んできた同社だけに、その目標を達成する日もそう遠くはないだろう。
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工場ツアーの最中に、発売間もないBMW1シリーズを発見! 現在はエアロパーツを開発中だ。他にもガルウィングに改造中のフェラーリ360モデナが。こちらはエッセン・ショーで発表予定。ガルウィングは、強度の関係から手間のかかる作業の連続だという。 |
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取材に対応してくれた輸出・広報担当のショップ氏。40数カ国相手の輸出業務をバリバリこなす。「現在あるプロジェクトが進行中で、来年は日本のユーザーにとってもサプライズがあるかもしれません」と語ってくれた。 |
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| 約1万平米の敷地にあるハーマン・モータースポーツGmbH。ショールームは空港ターミナルのような造りで、そこにコンプリートカーをはじめ歴代の競技車両や数々のトロフィを展示。二階へ上がる階段は飛行機のタラップのようだ。工場はショールームの裏側にあり、ピットをはじめ、エンジン組み立て室やコンピュータ開発室、4輪シャシーダイナモ、デザイン室、倉庫と、すべての機能が揃えられている。これだけ環境が整ったチューナーは、ドイツ国内でも数えるほどだ。 |
HM
GALLARDO Base:LAMBORGHINI
GALLARDO |
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| リリースは今年6月だが、現車取材は本誌が世界で最初というハーマン・ランボルギーニ・ガヤルド。高級スポーツカーらしくシックにまとめ上げられているのが特徴。外観的な変更箇所が少ない気もするが、飽きがこないデザインを狙ったとか。車両の特性を考慮した、ハーマンらしい1台だ。エンジンはチューンこそ施されていないが、金属触媒とマフラーによりパワー&トルクはノーマル比で28ps&5.1kg-m向上している。 |
HM
5.6 Base:PORSCHE CAYENNE
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ローダウンサスペンションによって相当に車高を落としたカイエンSは、エアロパーツとライトに工夫を凝らすことで、さらにアグレッシブなエクステリアを手に入れた。また、見た目に違わずチューニングメニューも過激。ボアアップ、ロムチューン、そして吸排気に改良を施し実に600psものハイパワーを発揮するのだ。そのパワーに対し、ブレーキも6シリーズ同様フロントに8ピストンを用意。まさしくモンスターSUVである。 |
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