AUDI アウディA3スポーツバック3.2クワトロ
A3 SPORTBACK
3.2 QUATTRO


5ドアがもたらす機能性と
エレガンスの幸せな関係


先頃デビューしたA3スポーツバックは、単なるA3の5ドア
バージョンというには変更点のインパクトがあまりにも大きい。
特にアウディの新しいアイデンティティであるシングルフレーム
グリルの採用は、このクルマに車格以上の風格をもたらしているのだ。

リポート|島下泰久|Y.Shimashita  フォト|宮門秀行|H.Miyakado

フロントグリルにはシングルフレームを採用

 単にドアの枚数を増やしただけではなく、全長を伸ばしてショートワゴン風に仕立てたA3の5ドアモデルを、アウディはA3スポーツバックと名付けた。具体的に、全長はA3より70mm伸ばされているが、これはほぼすべてリアオーバーハングの延長によるもの。そのサジ加減は絶妙で、ハッチバックよりは落ち着いているが、ワゴンよりは軽快な、いい所を突いたプロポーションを形作っている。
 それとの相乗効果で、A3スポーツバックの印象を新鮮なものとしているのが、各部のディテールだ。まず目をひくのは、遂に上下が繋げられてシングルフレームとされたフロントグリル。あらかじめ想定してあっただけに違和感はあまりないが、それでいてインパクトはA6以上のものがある。何しろこのクラスで、ここまで押しの強い顔を持ったモデルは、今までなかったはずだから。
 リアデザインは、それ以上に凝っている。リアゲートとボディパネル、そしてバンパーは、実に複雑に交錯した面を構成していて、さらに新意匠のテールライトが、これまでのA3とは大きく異なる印象を与えている。正直に言えば、一瞬前後で同じクルマに見えないという感もなくはないし、これまでのアウディのシンプルなイメージとは違うと思う人も多そうだが、これがフレッシュな印象をもたらしていることは確かである。
 今回試乗したのは、ラインナップの最高峰に位置する3.2クワトロ。トランスミッションは、DSGである。ちなみに他には、A3譲りの2.0FSI+6速ティプトロニック、そして2.0TFSIと呼ばれる新設定の200psターボ+DSGも設定されている。
 意外なことに、その走りのタッチは、A3とは様々なところで異なるものだった。最初に気付くのは、ステアリングフィールの違い。A6のそれと同形状とされたステアリングホイールは、特に低速時の操舵力が格段に軽くなっている。速度が上がればある程度重さが出るが、全般的には軽めに終始する手応えは、やはりA6のそれと非常に似通った印象だ。おそらくアウディは、今後こうした軽い操作感を味付けの基本として採り入れていくのだろう。
 乗り味も、従来のA3は常に上下に煽られるような動きを見せ、とても快適とは言えなかったが、スポーツバックではようやくフラット感が出て、視線のブレが抑えられるようになった。その一方で、細かなゴツゴツ感は逆に増した感も。せっかくルーフが後ろまで伸びて、ヘッドスペースに余裕が生まれた後席も、おかげでまだ快適とは言えないのは残念だ。
 単なるA3の5ドアとはせずに、フォルムにおいてもディテールにおいても、よりアクティブな雰囲気を纏ったことは、キャラクターを明確にする意味では大いにプラスだろう。まだ違和感のある人も少なくないようだが、そのフロントグリルだって、ラインナップ内での差別化、そして周囲に対するアピールという意味では、抜群の効果を持つことは間違いない。
 無論、ユーティリティは3ドアより確実に上。後席は頭上空間が広がり、ラゲッジは5名乗車時で容量370リッターと、3ドアの302リッターを大きく上回る。それでいて価格は2.0FSIで3ドアの約9万円高、3.2クワトロでも約15万円高にすぎないから、3ドアということで二の足を踏んでいた人の背中を押すには十分だろう。
 そして、その割安感でこの顔が大いに普及すれば、きっといまある違和感は払拭され、新たなアウディのイメージが浸透することになるはず。そういう意味ではA3スポーツバック、アウディにとっても単なる派生モデルではなく、きわめて重要な役割を果たすことになりそうな1台なのである。


AUDI A3 SPORTBACK 3.2 QUATTRO
■全長/全幅/全高(mm) 4285/1765/1415
■ホイールベース(mm) 2575
■トレッド(前/後)(mm) 1525/1495
■車両重量(kg) 1640
■エンジン種類 BMJ/V6DOHC24V
■排気量(cc) 3188
■最高出力(ps(kW)/rpm) 250(184)/6300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm) 32.6(320)/2500-3000
■トランスミッション 6速セミAT
■サスペンション(F:R) ストラット/コイル:
ウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ(F:R) Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール) 225/45R17(7.5J)
■東京標準現金価格 ¥4,750,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 
  試乗した3.2クワトロの他、2リッターターボ搭載の2.0TFSIにもDSGトランスミッションを採用。軽いタッチのステアリングフィールや、フラット感が増した乗り心地など、3ドアからの改良点は多岐にわたる。
  シングルフレームのフロントだけでなく、リアも面構成が複雑になり3ドアとはだいぶ違う。3.2クワトロ以外の価格は、2.0FSIが3,290,000円、2.0TFSIが3,890,000円。
  3.2リッターV6DOHCは、250ps/32.6kg-mを発揮する。他のグレードは、直4DOHCの2.0FSIが150ps/20.4kg-m。直4DOHC+ターボの2.0TFSIが、200ps/28.5kg-m。
  通常370リッターのラゲッジルームは、3ドアの容量(302リッター)をはるかに凌ぐ。最大では1120リッター(3ドアは1052リッター)、凸凹の少ない形状も○。使い勝手はワゴン並みと考えていいだろう。


A6と同形状のステアリングを採用し、シフトノブの形状も新しくするなど、インテリアの高級感はさらにアップ。その質感は、クラスの水準を大幅に凌駕する。
  ニューデザインの16スポーク・アルミホイール。サイズは7.5J×17で、3.2クワトロと2.0TFSIが標準装備。2.0FSIは、6.5J×16サイズのアルミホイールとなる。
3.2クワトロは、ホールド性の高いスポーツシートを採用。アルカンタラとレザーのコンビも高級感アリ。体のラインを的確にトレースし、疲労度は非常に少ない。
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