クルマの旅は楽しい。自他ともに認める長距離ドライブ派の笹目二朗氏が、ヨーロッパの海岸線巡りから10年。
そろそろ退屈の虫がムズムズしてきたという。
そこで今度はヨーロッパの北の果て、ノルドカップを目指し、スカンジナビア半島を一周。その紀行を5回に渡りお届けする。

文と写真|笹目二朗|J.Sasame

 今回の旅のアシには、ルノー・メガーヌ・3ドアハッチバックを選んだ。日本では5ドアしか買えないが、3ドアの方がすっきりとした佇まいで好みだ。そこで、フランス・トラベルセンター(TEL:03-5210-2288)に電話をして、ユーロドライブというレンタル・システムを使うことにした。これは17日間を基本料金とし、それ以上は日数加算されるというもので、今回は計40日間で16万8000円を支払った。走行距離は無制限なので、結果として約2万km走ったからレンタカーより安い。もちろん新車でボディカラーまで選べ、なおかつ名義は自分のものとなるから、新車を買う時のあの気分を味わえる。
 また、クルマはEU圏内数カ所の空港で受け取れ、今回はパリで借りてパリで返した。そして、話は一気に北欧に跳ぶ――。

5月2日(日曜日)晴れ

パリを発って1週間目、北欧のデンマークに入る。この時点でメガーヌの距離計は3342km。
 初日は休日で、とりあえず海を見に行く。レム島には広大な砂浜が広がっており、写真のようにクルマでも走れるが、場所によって砂は柔らかい。両側が海という一本道が10kmほど続いていて、そこを渡る。今回はここが、ヨーロッパ大陸を縦断してきて最初に見た海ということになる。
 アルス島を結ぶ跳ね橋のたもとで夕陽を見送る。対岸はユトランド半島。この橋のたもとにファルゲガルテンというレストラン・ホテルがある。デンマーク初日の宿は、10年前にも泊まったところだ。本日の走行距離は387km。

5月3日(月曜日)曇り

 コペンハーゲンに行くには、海を渡らなければならない。10年前はフュン島からフェリーに乗り、建設中の橋桁の横を見ながら航行したことを思い出した。当時は1時間20分ほどの所要時間で、料金は225デンマーク・クローネ(当時18円/DK)。完成した橋の通行料は250Dkr(現在19円/Dkr)で、時間は20分ほどだから大幅に短縮されている。
 アウトバーンで160〜200km/hの高速慣らしを済ませたせいか、メガーヌのエンジンは快調そのもの。初期には12km/リッター台だった燃費は15km/リッター台に上がってきている。しかしガソリン代は95RON(日本でいうレギュラー)で、160〜180円/リッターとかなり高め。この日はコペンハーゲン泊。本日の走行距離は402km。
5月4日(火曜日)曇り
 今日もまた海峡を越える。スウェーデン側のマルメへは、半分が橋で半分がトンネルになっている道を通る。上空からは見たことがあるが、実際に自分で走って渡るのは今回が初めて。通行料金は230Skr(4600円)。そのまま海岸線を北上し、ボルボのお膝元でもあるヨーテボリに立ち寄り、ノルウェーに入る。この日はオスロ泊。本日の走行距離は664km。

5月5日(水曜日)雨

 オスロから進路を西にとり、フィヨルド観光の基地であるベルゲンへ向かう。ベルゲンは年間を通じて雨の多い地域らしく、パッと晴れたりもするが長続きはしない。3日間通してみれば、全体にどんよりした曇りか雨だった。
 この日はベルゲン市街には泊まれず、ガソリンスタンドで聞いたシェルガーデンの中のロッジを借りることができた。暖房完備で、シャワーはもとより炊事用具一切も備えられている。クルマもすぐそばに置けて安心だ。ちなみに、宿泊料は2泊で890Nkr(1万6020円)。庭内には湖もあり、ボートも用意されている。長期滞在型のバカンス基地としても有効だ。本日の走行距離は612km。
5月6日(木曜日)雨
 翌朝は、まずベルゲン港へ向かう。駐車場の先の広場では朝市が開かれていた。港の中にはフィヨルド観光の船がいっぱいだ。
 その後、ユネスコ世界遺産登録のブリッゲン地区の木造家屋に立ち寄る。通路も板張りだ。ここはハンザ同盟時代にドイツ人が貿易のために商館を置いた地区で、何度か火災で消失したが、焼け跡から掘り出した図面をもとに現在も復元が続けられている。
 このブリッゲン地区内はお店になっていて、写真はドールハウスのお店。人形や家具などの小物パーツもたくさん用意されていて、好みに応じて作り上げていく。本日の走行距離は106km。

5月7日(金曜日)曇り

 本日はNord Norge領内に入る。峠越えまであと一歩だったが、雪に阻まれてUターンしたりして100kmほどロスした挙げ句、最終的にフェリーに乗った。
 山越え、峠越えが延々と続く。山にはまだ雪があり、道には雪解け水が流れ出していて凍結箇所もある。外気はマイナス3℃位。冷たい雨が降る。雪解け水は洪水というか滝になって激しく流れ落ちる。この怒濤の水量こそノルウェー人のパワーの源か? と思わせる。本日の走行距離538km。

5月8日(土曜日)曇り

 北ノルウェーに入ってからも先は長い。ガンガン北上を続ける。鏡のような湖面と思っていると、突如ある点から激流へと変化する。よって河なのか湖なのか、または海なのか判然としないことも多いが、この時期の海は凍結しない。したがって、凍っていればまず湖ということだ。また、ノルウェーに多く存在する小規模宿泊施設にクロ(KRO)というものがある。いわば山小屋のようなものだが、食事と睡眠という基本的な部分は家庭的で快適、しかも安価であるところから、バイクやクルマなどの旅行者から重宝がられている。北欧を旅するならこれに限る。今夜は国立公園内にあるクロに泊まる。本日の走行距離は659km。
 


アルス島を結ぶ跳ね橋で夕陽を見送る。     国境通過後のサービスエリアで情報収集。
丘の上からベルゲンの街並みを見下ろす。     ベルゲン港。フィヨルド観光の船がいっぱい。
ユネスコ世界遺産登録のブリッゲン地区の木造家屋。通路も板張りだ。     ブリッゲン地区内のお店。ここはドールハウス。
暖房完備のシェルガーデン内のロッジ。     峠越えまであと一歩。雪に阻まれてUターン。
雪解け水が滝のように激しく流れ落ちる。     E6を北上すると、この程度の峠は日常風景だ。
これよりNord Norge領内に入る。     北欧を旅するならこれに限る。その名もクロ。
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