MAZDA マツダ・アテンザ23S レザーリミテッド
ATENZA 23S Leather-Limited

ALFA ROMEO アルファ・ロメオ アルファ156TI 2.5 V6 24V
ALFA156 TI 2.5 V6 24V

軽快なフットワークに上質な装いをプラス
プレミアムスポーツという選択。


日本を代表するスポーティサルーンとして、ヨーロッパでも高い評価を受けるマツダ・アテンザ(欧州名=6)にレザーシートをはじめとする上質なインテリアが与えられた特別限定車が設定。ここでは、位置付けが同一ベクトル上にあると想定されるアルファ156と比較しつつ、その優位性を検証してみる。

リポート|島下泰久|Y.Shimashita  フォト|望月浩彦|H.Mochizuki

確かな基本性能にこそ
本物のスポーティと
エレガンスが宿る


 最近の自動車メーカーは、そのブランド性をアピールする際のキーワードとして、しばしば「スポーティ」という言葉を用いている。しかし率直に言って、ブランドによっては、その言葉と実際のドライブフィールにギャップを感じるところもなくはない。では一体、本当の「スポーティ」とは何なのだろうか。そこに思いを巡らせていたら、誰もが言い出すよりもずっと以前から、その道ひと筋でやってきた、ふたつのブランドが浮かび上がってきた。アルファ・ロメオ、そしてマツダである。
 アルファ・ロメオに関しては、あらためて説明するまでもないだろう。ラテンの情熱をそのままカタチにしたような扇情的なスタイリングと刺激的な走りが信条のイタリアンブランドは、156のヒットでマニア向けの存在を脱し、スポーツサルーンのメジャーブランドとしての地位を確立した。
 一方、マツダも、ご存じの通り走りには強いこだわりを持つメーカーだ。特に、最近ではヨーロッパにおいて注目の存在となっている。アテンザ(欧州ではマツダ6)と、その後にデビューしたアクセラ(同マツダ3)が、欧州カー・オブ・ザ・イヤーで相次いで2位を獲得するという快挙を成し遂げ、それを追い風に現在、絶好調のセールスを記録しているのだ。
 あえて注釈を加えるなら、単に良く出来ているというだけでは、ここまでの高評価は得られなかったに違いない。走りの楽しさを筆頭に、数多のブランド、幾多のモデルの中でも埋没することのない確かな個性を持っていたからこそ、マツダは多くの支持を集めることができたのだ。
 そこで、今回はそんな両ブランドを代表する個性派スポーティサルーン、アテンザと156の実力を再検証して、「スポーティ」という言葉の本当の意味を明らかにしてみたいと思う。
 試乗車として用意したのは、アテンザが23Sレザーリミテッドとネーミングされた限定車。シート地をレザー張りとしたほか、8ウェイパワーシート、カーボン調インパネサイドガーニッシュなどを装備して上質さをアピールするモデルだ。一方の156はV6 TI。やはりレザー張りのスポーツシートや17インチホイールなどで、持ち前のスポーツテイストをさらに強めたモデルである。
 この2台に共通する魅力と言えば、やはり切れ味鋭いフットワークだ。まずステアリングを握ったのは156。張りの強いシートに身を預けてコーナーへ切り込んでいくと、相変わらずのターンインのシャープさに惚れ惚れさせられる。文字通り、拳ひとつ分の操作にも即座にノーズが反応する様は、いまだ色褪せない魅力だ。特にTIは、タイヤのキャパシティが拡大したおかげで、フロントヘビーなV6のネガが最小限に抑えられ、実に気持ち良くコーナーを駆け抜けていける。
 ここでアテンザに乗り換え、再度コースイン。156のそれに比べると張り、クッションともしなやかなレザーシートの感触に頬を緩めつつ最初のコーナーへとアプローチする。そこで即座に伝わってきたのは、156に引けを取らないダイレクトなステアリングフィールだ。まるでロールする前にターンインが始まるかのような156と比べると、切り始めの反応はあくまで穏やか。だが、そこから先の領域では、まさにステアリング操作だけで瞬時に、そして自在に向きを変えることが可能。
 感心させられたのは、156なら盛大なスキール音が聞こえてくるような領域でも、前輪のグリップにまだ十分な余裕が残されていること。おかげでコーナーの奥が深く回り込んでいても、ステアリングを切り足してやればラインを容易に引き戻せる。この懐の深い舵の効きと、シャープなレスポンスを両立できたのは、シャシー剛性が高く、また後輪の接地性が際立っていることのおかげだろう。
 では、動力性能はどうか。試乗車は156が2.5リッターV型6気筒エンジン+6速MT、アテンザが2.3リッター直列4気筒エンジン+4速ATの組み合わせで、当初はさすがにアテンザ不利かと思われた。しかし、ここで嬉しい誤算。アテンザの走りっぷりは、期待を大いに上回るものだったのである。
 アテンザはまず、走り出したその瞬間から元気の良さが伝わってくる。アクセル操作に対するエンジンの“ツキ”が非常に良いのである。最高出力は178psとアルファV6にはわずかに及ばないものの、そのツキの良さと立ち上がりでもたつかない中低速域でのパンチのおかげで、加速の勢いではむしろ156を上回るほどである。
 走りを楽しむ上では、アクティブマチックと呼ばれる4速ATのシーケンシャルゲートもきわめて有効だ。何よりシフトアップが手前、ダウンが奥という理に叶った配置が、マツダがドライビングというものをちゃんと分かっているんだなと感じさせて嬉しくなる。
 エンジンに関して言えば、アルファV6も言うまでもなく絶品である。高回転域に向けて突き抜けるような回転フィーリングと、その時に聞かせる美声は、それを味わうためだけでも156を手に入れる価値があると思わせるほどだ。6速MTのタッチも上々。低速域でのトルク感が薄いため、こまめなシフトが必要になるが、それは決して苦ではない。むしろ歓びだ。
 さて、走りだけを突き詰めたスポーツカーの評価なら、ここまででで十分だが、この2台はあくまでサルーン。使い勝手や室内空間の設えも気になる。
 純粋な広さで軍配が上がるのはアテンザ。156はスタイル重視で後席やラゲッジの余裕はいまひとつだが、アテンザはそのスポーティなスタイリングにも関わらず、いずれも十分以上の広さがある。ヨーロッパが認めたのは、まさにこうした部分でもあるだろう。
 また、アテンザは、特別装備されていたレザーシート&トリムの印象も良かった。ヨーロッパではセグメントを問わずレザーインテリアの需要が高く、ヨーロッパ仕様のアテンザにもカタログモデルに標準で用意されている(試乗車の仕様とは異なる)が、この内装を得て、上質さというアテンザの新たな一面を見たような気がした。
 総じて見るに、アテンザはさすがヨーロッパで認められただけに、その基本性能はきわめて高いレベルにあることがあらためて確認できた。一方、アルファ156の歓びに満ちた走りっぷりも、やはり印象的だった。いずれも方向性は同じではないが、走らせる歓びは、正直なところ甲乙付け難い。
 片や日本で、片やイタリアで磨き込まれてきた、ピュアな走りのDNAを持つふたつのブランド。直接乗り比べて、それぞれのこだわりが色濃く反映された、決して付け焼き刃ではない本物の「スポーティ」さを再認識し、そして大いに感心させられたのだった。
 
ATENZA 23S Leather-Limited
プレミアム性を際立たせるレザーシート
新世代マツダの先鋒としてデビューしたアテンザ。今回設定されたのは、23Sをベースにブラックレザーシート&トリム、8Wayパワーシート、カーボン調インパネサイドガーニッシュ、レザーステアリング/シブトノブ/パーキンググレーキレバー、大径マフラーカッターが特別装備された「23Sレザーリミテッド」。価格はセダン/ワゴンともに2,520,000円
マツダ)。
 

  ボディカラーは専用のラディアントエボニーマイカ(試乗車)の他に、スノーフレイクホワイトパールマイカ(写真左)、シルバーコントレイルメタリックの3色から選べる。

ALFA156 TI 2.5 V6 24V
さらに研ぎ澄まされたルックスとフットワーク
'03年のフェイスリフトにより、主にエクステリアをリフレッシュしたアルファ156。試乗車のTIバージョンは、スポーツサスペンションや17インチタイヤ&ホイール、サイドスカート、キセノンヘッドライト、スポーツレザーシートなどにより、走りと装いの両面からスポーティ度をグレードアップ。TI 2.5 V6 24Vの価格は4,525,000円 (フィアット・オート・ジャパン)。
 

  ともにやや前傾姿勢のフォルムを身にまとい、それぞれの走りのDNAを体現する2台。洗練された大人のスポーティサルーンとして、ともにきわめて魅力的な存在といえる。
Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.