ボルボの主力モデル、S60、V70、そしてXC70の'05年モデルを、ひと足早くドイツで試す機会を得た。
内容については本文に譲るものの、その進化熟成のほどは、いかにもボルボらしい、実質的なものだった。

リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|ボルボ・カーズ・ジャパン

 ボルボの販売台数のうち40%を占めるミドルクラス、V70とS60およびXC70がマイナーチェンジを実施した。その目的は、セーフティ、パフォーマンス、ハンドリングを向上することだ。
 まず、セーフティについては、ボルボのコアバリューにもなっているだけに大いに注目したい。今回は事故を未然に防ぐアクティブセーフティに焦点を当て、BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)を採用した。BLISは、車線変更の際に生じる斜め後方の死角をドライバーに代わってクルマが監視。ドアミラーに組み込まれたデジタルカメラが毎秒25枚の写真を撮影し、それを比較することで、自車に対して左右幅3m、長さ9.5mのBLISゾーンに入る他車を認知して、ドアミラーの室内側に設けられた警告灯が点灯。死角に他車が存在することをドライバーに知らせることが可能となる。
 実際に使ってみると、なるほど安心感がある。車線変更の際に、目視によって死角をなくそうとすると大きく視線を移さなければならず、そのときの前方確認がおろそかになる。そうした不安からも解消されるだけに、事故を未然に防ぐ以上の効果がある。クルマだけではなくバイクにも反応し、逆に静止物には反応しないので、警告灯が頻繁に点灯して煩わしい思いをすることもなかった。
 パフォーマンスについては、V70とS60のT5が積む2.4リッターの直列5気筒ターボエンジンをユーロIV排出ガス規制に適合させている。同時に、最大トルクと最高出力も向上している。最大トルクは33.7kg-mから35.7kg-mとなり、発生回転数は2400rpmから2100rpmに下がっている。最高出力は250psから260psとなり、発生回転数は5200rpmから5500rpmに上がっている。つまり、より低回転域から充実したトルクを発揮するようになり、より高回転域まで伸びのあるパワーを引き出せるようになったわけだ。
 そうしたパフォーマンスの向上は現実となり、高速道路では5速ATをDレンジに保ったまま100km/hで2000rpmからアクセルを踏むと、速やかにスピードを乗せていく。1000rpm台のトルクを比較しても20kg-m台の半ばから30kg-mに上乗せされているだけに、加速時の力強さはかなり刺激的である。
 ターボチャージャーはハイプレッシャータイプとなるが、アクセル操作に対する応答の遅れも感じない。そのため、ギアトロニック付きのATをマニュアルモードに切り替えて山岳路を駆け抜けるような場面でも、フロントタイヤが発生するグリップ力を生かすための微妙なアクセル操作にも応えてくれる。コーナーの出口でフル加速をすれば、5500rpmを超えてもパワーの頭打ち感がなく、レブリミットの6000rpmまで一気に吹け上がる。
 その際のエンジン音は、意外なほど迫力がある。決して騒がしいわけではなく、力強さを際立たせる低周波を効かせたサウンドだ。ギア比が高すぎず2速でフル加速してもスピードは2ケタに収まるので、日常的な場面でも高回転域のパワー感と迫力あるサウンドを楽しむチャンスは多かった。


 ハンドリングについては、3モデルとも新たにアクティブシャシーを採用したことが特徴だ。アクティブシャシーは、S60Rが装備するFOUR-C技術がベースになっている。FOUR-Cは、状況に応じてダンパーの減衰力を瞬時に連続可変制御するシステムであり、スポーツとコンフォートの2つのモードを選ぶことができる。
 その設定は、今回試乗したV70とS60では少しだけ異なる。V70はサスペンションそのもののコンプライアンスを大きめに取った設定となり、快適性の確保を優先している。スポーツを選んでも、ハンドリングの気持ちよさが増す程度の変化となる。
 S60は、日常的な速域では快適性を保つ。だが、コーナーを駆け抜けるといった速域になると、コンフォートのままでもハンドリングは小気味よくなる。高速道路では、160km/hあたりから明らかにダンパーの減衰力が高めに維持され、走りのフラット感が向上する。そのため、スポーツを選ぶ必要を感じないほどだ。むしろ、高速道路でスポーツを選ぶと、路面の状態がそのまま身体に伝わるだけにフラット感が損なわれた。
 このように、V70とS60を比べると、日本車とは逆の位置づけとなることが分かる。ワゴンがラグジャリーでセダンがスポーティなのだ。それだけに、マイナーチェンジに際してそうした位置づけを強調するフェイスリフトが実施されている。その傾向は、たとえば広報資料に記載された「スポーティセダン、ボルボS60がより精悍に、より筋肉質になりました」という一文にも現れている。


OPEL TIGRA TWIN TOP
V70 2.4
S60 T5
■全長/全幅/全高(mm)
4710/1815/1490
4575/1815/1430
■ホイールベース(mm)
2755
2715
■トレッド(前/後)(mm)
1550/1550
1550/1550
■車両重量(kg)
1570
1550
■エンジン種類
直5DOHC20V
直5DOHC20V+ターボ
■排気量'cc)
2435
2401
■最高出力(ps(kW)/rpm)
170(125)/6000
260(191)/5500
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
22.9(225)/4500
35.7(350)/2100-5000
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/55R16(6.5J)
225/45R17(7.5J)
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 


  T5のターボエンジンは、排気量を2.3リッターから2.4リッターへと拡大、最高出力は250psから260psへ、最大トルクは33.6kg-mから35.7kg-mへとそれぞれアップしている。Rモデルの開発で培った技術により、高性能、省燃費、対環境性能をハイレベルに両立。
  よりダイナミックな表情となったS60。FOUR-Cの採用により、アクティブシャシーの「スポーツ」を選べば、よりダイレクトでスポーティな走りを堪能することができる。
BLISは、左右のミラーに組み込まれたカメラがドライバーの死角を監視。ここにクルマが進入すると警告灯でドライバーに知らせる。世界で初めて乗用車に搭載された。

  テールランプには透過ガラスと可視バルブが採用され、ライトパターンも変更。よりボルボらしいアクセントとなっている。
  フロントエンドのデザインは、より丸みを帯びたものとなり、ヘッドライト形状も一新。S60同様、素材もガラスからプラスチックに変更され、飛び石によるダメージ軽減のほか、事故が起きた際の歩行者の衝撃軽減にも貢献する。
  アクティブシャシーのセッティングはS60ほど尖ってはいないものの、ステーションワゴンとしてはトップレベルの運動性能を実現。もちろん、実用域での快適性も十分に確保。
  室内には、他用途性を重視したスマートなトンネルコンソールのほか、カップホルダー、トレー、小物入れ等、数々の実用的な機能が盛り込まれたアームレストが備わる。
 
Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved.