147以降、アルファのシンボルであるフロントグリルの「盾」を、より大きく縦長にして、デザイン上でのファミリーアイデンティティを
確立しようとしているアルファ・ロメオ。
それはフラッグシップの166とて例外ではなく、一転して端正な顔立ちで、日本市場に再上陸を遂げた。

リポート|島下泰久|Y.Shimashita フォト|郡大二郎|D.Kori

 '98年、アルファ・ロメオのフラッグシップとして華やかに登場した166だが、これまでのところ販売状況は芳しいものではない。それは日本だけでなくヨーロッパにおいても同じで、その主たる要因は、あの顔だというのがアルファ・ロメオの判断らしい。かくして新しい166は、その顔に大きく手を入れての登場と相成った。
 新しいフロントマスクは、つまりはより常識的なデザインとなった。このクラスに求められる落ち着きやら何やらを考えれば、確かにこちらの方がそれらしくはあるが、あの強烈な個性が失われたことには寂しさも覚える。とはいえ、この顔以外はほぼそのままであるにも関わらず、これとて十分、類型的とは言い難いスタイリングへの溶け込みぶりは決して悪くはないし、このクラスのサルーンの中では群を抜く伊達っぷりも相変わらずだ。
 インテリアも、ステアリングにオーディオコントロールスイッチが付き、前席ウインドーエアバッグが標準装備となったくらいで、基本的にはやはり不変。147や156の大幅にアップグレードされた姿を見ているだけに、率直に言って拍子抜けである。デザインはいいとしても、もはや3世代は古そうなナビシステムは、それだけでグレード感を下げてしまう。その一方で、試乗したエグゼクティブの、レザーシートを中心にフェイシアまで一色で覆ったコーディネイトの艶っぽさは、イタリアの高級車でしか出せない、抗し難い魅力であることも確かである。
 パワートレインはこれまで同様、3.0リッターV6エンジンにスポルトロニックと呼ばれる4速ATの組み合わせのみで、16インチホイールに布張りシートのベースグレードと、前述したレザー張りのパワーシートや電動サンルーフ、17インチホイールなどを装着するエグゼクティブの2グレード構成となる。本国仕様でマイナーチェンジを機に設定された3.2リッターV6は、残念ながら未導入。6速MTのみということで、日本市場では難しいかもしれないが、今後に期待したい。また、18インチホイールやスポーツサスペンションを備えたTIも導入は見送られた。
 その走りっぷりも、これまでと変わるところはない。ハッとするほどシャープでダイレクトなステアリング、相変わらずの甘美な響きとレスポンスで魅了するV6エンジンに、その歌声を存分に堪能するにはもどかしい4速ATなど、良い部分も物足りない部分も、あの166そのままだ。確かに洗練されているとは言い難いし、どこかしら進化していて欲しかったとも思う。けれども、中途半端に手が入れられて、その“らしさ”まで失われてしまうくらいなら、これで良かったとも言える。ひたすら静かで、まるで雲の上にいるかのように乗り心地が良く、乗り手を無用に刺激しないといった一般的な高級車像と、166はまるで正反対のクルマだが、だからと言って快適性がないがしろにされているわけではない。そこには移動を退屈なものにしないという、違った価値観における快適性が確かにある。そんな166の持ち味は、新型でも変わらず堪能できる。
 確かにアクは薄まったが、こうしたイタリア製の、それも大型サルーンにしかない妖しい魅力が、より広く伝わるなら、それも悪くない。いや、それどころか正直に言えば、試乗を終える頃にはこの顔が、退屈ではなく端正で、結構魅力的なものと思えてきていた。そう、156の時と同じように。
 それだけに、ボディカラーにアダルトな色気を漂わせるシブ色が増えた一方で、アルファレッドが落とされたことが、個人的には残念。あんな艶やかな色を着こなせる大型サルーンは、166だけだったのに……。その分、オーナーには、パリッと目を惹くようなオシャレをして乗ってもらいたい。
 

  一新されたフロントエンドの盾型グリルは、オリジナルの妖艶なスタイリングにも違和感なくマッチ。もちろん、その刺激に溢れた走りのテイストは従来モデル同様である。
  スタイリッシュなメタル調パネルで飾られたセンターコンソールには、ICS(インテグレーテッド・コントロールシステム)が装備。エアコン、ラジオ等の各種操作が集約される。
  エンジンは、従来モデルと同様の3リッターV6DOHC24Vを搭載。トランスミッションは、シーケンシャルモード付き4ATのスポルトロニックで、自動変速モードがリファインされたことで、より最適な変速パターンを選択するようになっている。
写真のエグゼクティブモデルには、電動ガラスサンルーフ、フロントシートヒーター、レザーシートが専用装備となる。

  アッパーミドルクラスサルーンとしては異例ともいえる低いルーフラインと前傾姿勢が、その素性を物語る。ボディカラーは全11色からチョイス可能
  エトランクルームは容量490リッターで、やや浅めながらも必要にして十分な積載性が期待できる。
Specification
ALFA ROMEO ALFA166 3.0 V6 24V SPORTRONIC-Executive
■全長/全幅/全高(mm)
4730/1815/1445
■ホイールベース(mm)
2700
■トレッド(前/後)(mm)
1545/1530
■車両重量(kg)
1600
■エンジン型式/種類
GH-936A11/V6DOHC24V
■排気量(cc)
2958
■最高出力(ps(kW)/rpm)
220(162)/6300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
27.0(265)/5000
■トランスミッション
4AT
■サスペンション(F:R)
ダブルウイッシュボーン/コイル:
マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45ZR17(7.5J)
■東京標準現金価格
¥5,995,500
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 
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