コンパクトなサイズにボルボらしさを詰め込んだS40/V50。
今回はターボモデルのT-5に続き、主力となるであろうNA版を試す機会を得たのでインプレッションをお届けしよう。
だがV70にも積まれる2.4リッターユニットゆえ、動力性能は十分以上。
真価を感じさせるのは、賢いパッケージングによるその「軽さ」だ。

リポート|笹目二朗|J.Sasame フォト|郡大二郎|D.Kori

 今年前半における新車合戦の目玉、ボルボS40/V50にNA版が加わった。2.4(140ps)と2.4i(170ps)の2種類がそれであり、すでに発売されている高性能仕様T-5と並び、ボルボ人気をいっそう盛り上げそうだ。
 横置きされる5気筒は補機類のレイアウトを見直すことで、S60/V70のユニットよりさらに軽量コンパクトになっている。そのため旧型比で50mm全長を短かくすることが可能になり、キャビン比率も上がっているから、ノーズはより短く感じられる。さらに前後オーバーハングを切り詰めるとともにホイールベースを80mm延長。トレッドもフロントで65mm、リアで55mmと大幅に拡大されているから、居住性が大きくアップしたのは推して知るべしだ。
 また、この新しいプロポーションこそ新型車のキャラクターをまさに象徴しており、ノーズの軽さはキビキビした運動性能を導き、根本的な構造からしてスポーティな走りと高い安定性を約束する。ただステアリングのギア比を小さくしたり、スタビライザーを太くしたたげの対処療法的なスポーティ「風」とは考え方が違うのだ。
 縦置きエンジンが生むロングノーズが高性能を象徴した時代もあったが、いまやモノスペース的な丸く一体化したデザインが主流になりつつあり、S40/V50のようなショートノーズにこそ新しい時代性を感じる。また限られたフロントのクラッシャブルゾーンで効果的にショックを吸収する衝突安全性こそ、ボルボが長年にわたって蓄積してきた技術であり、それがいまやノーズの軽さという意味で走行性能にも貢献している。ボルボの知性や技術レベルの高さを感じるのはまさにココだ。
 ライバルたちは安全対策に追われて年々その重量を増し、結果としてよりパワーのあるエンジンを必要としているが、このような理由からS40/V50に無駄な高出力エンジンは要らない。軽量化はいま一番注目される技術だが、V50の2.4と2.4iはともに1470kgと軽い。ちなみにメルセデスC240ワゴンは1560kg、BMW325iツーリングは1520kg、アウディA4アバント2.4は1640kgだ。


 2.4リッターのNAエンジンは、チューンの程度で140psと170psが選べるが、140psでも十分だ。さらに余裕が欲しければ、170psを選べばよい。もちろんT-5という220psを許容する駆動&サスペンション系ゆえ、シャシー性能は余裕綽々である。
 効率のよい5ATは一切ストレスを感じさせず、スムーズに加速するし、定速走行に移れば静かで経済的な運行を目指す。だが、そうした動力性能を云々する論議を超越して、自動車の魅力はもっとほかにもあるんだよ、と思わせるのがS40/V50だ。
 たとえばインテリア。アーネ・ヤコブセンのプレスモールド・チェアなど、シンプルな中にもモダンな造形をみせる北欧デザインをクルマにも取り入れ、マンネリ化したセンターコンソールに新鮮な風を送り込んでいる。「フリーフローティング・センタースタック」と呼ばれるパネルは、同時に裏に隠し物入れ的な収納スペースを作り出しており、このあたりにはデザイン的に遊びつつ実用性を高める余裕すら感じられる。
 そしてボルボらしさといえば、一時的に目を射る派手さこそないが、なんといっても飽きずに長く乗っていたくなる落ち着いた仕立てだろう。シートなどもクッションの厚みは感じないものの、形状や構造が巧く考えられていて、長く乗っていても腰は痛くならないし、横Gにもしっかり耐える。
 低いボンネットは運転席からちょっと見えるし、ワイパーブレードも見えないようにスッキリ収納されるなど、要らぬ気遣いでドライバーを疲れさせない。自然なポジションも長距離向けだ。こうした何気ないことがきちんと行なわれているところに、歴史と伝統の継承がボルボ社内で正しく行なわれていることを感じる。
 ところで、ボルボといえばワゴンのイメージが強いが、今度はセダンのS40もイイ感じだ。
 セダンがワゴンより軽快な動きをすることは容易に想像がつこう。テールが軽いと書くとFR時代には安定の悪さを物語ったが、現代のFFレベルをもってすれば身軽さの形容となる。固めたアシに強グリップのタイヤを配して強引にコーナリングするわけではなく、ごく自然な振る舞いの中に高いバランスをもってクリアしていく。その上2.4iの170psならば、いまやスポーツセダンのウェイト/パワーレシオだ。そんな実力も、ファミリーセダンとしては突出しているといえるだろう。
 室内やトランクの広さはライバルを凌ぐし、価格的にはむしろお買い得。今回ラインナップが充実したことでV50のヒットは確実視されるが、個人的にはボルボには珍しく、セダンS40の比率が高まるのではないかと思う。
 
  2.4、2.4iとも、エンジンはB5244と呼ばれる2.4リッターの直5DOHC。これをコンピュータチューンで、140psと170psに差別化している。ちなみに、T-5は2.5リッターライトプレッシャーターボのB5254型。
タイヤは2.4、2.4iともに205/55R16。だがホイールのデザインは異なり、左はV50 2.4+レザーパッケージ仕様の「Cephes」、右はS40 2.4i+ベーシックパッケージ仕様の「Castalia」。
  フォード・フォーカスやマツダ・アクセラと同じプラットフォームをベースにするが、ハンドリングはボルボそのもの。さらにノーズの軽さが武器になり、軽快感は随一といえる。
  ひと目でボルボとわかるスタイリングに生まれ変わったV50 2.4。ボディサイズは全長4515×全幅1770×全高1450mmで、先代V40に比べ+0mm、+50mm、−10mmとなる。
  シンプルなインパネが清々しい。中央のパネル部分、フリーフローティング・センタースタックはウッド調で、これはNA系に共通する装備。本革巻きステアリングは、レザーパッケージとして設定。
試乗車はレザーパッケージ仕様。ノーマルはファブリックとなる。ホイールベースは2640mmとライバルに比べてやや短いが、FFレイアウトや巧みなデザインにより、室内は思いのほか広く感じる。
ラゲッジルームの容量は通常413リッター、ダブルフォールディングでリアシートを畳むと最大で1307リッターにまで拡大する。完全にフラットになるフロアや、買い物袋などを固定するのに便利なパネルが使いやすそうだ。
  140ps仕様の2.4でも動力性能は十分、170psの2.4iなら速さも楽しめる。V50は自らを「スポーツ・エステート」と称するが、軽さとワイドトレッドがそれに恥じないハンドリングを披露するのだ。
  VOLVO
  V50 2.4 S40 2.4i
■全長/全幅/全高(mm)
4515/1770/1450
4470/1770/1450
■ホイールベース(mm)
2640
■トレッド(前/後)(mm)
1535/1530
■車両重量(kg)
1470
1450
■エンジン種類
B5244/直5DOHC20V
■排気量(cc)
2434
■最高出力(ps(kW)/rpm)
140(103)/5000
170(125)/6000
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
22.4(220)/4000
23.5(230)/4400
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/55R16(6.5J)
■東京標準現金価格
¥3,727,500
¥3,885,000
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※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 
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