
メガーヌシリーズの第2弾としてツーリングワゴンが登場した。
ハッチバックの高い基本性能を受け継ぎつつ、ロングホイールベース化によって、居住性や積載性を大幅に向上。
今回は、そのツーリングワゴンのポテンシャルを検証するべく、ハッチバック1.6を伴って、文字通りのロングツーリングを敢行した。
テスターは、目の前に道がある限り走り続ける笹目二朗氏。
目指すは北海道を臨む北の果て、竜飛岬だ――。
リポート|笹目二朗|J.Sasame フォト|郡大二郎|D.Kori |
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当日は、深夜3時に起きて編集部に集合。4時には都内を抜け出して、朝食は東北道の佐野SAで軽く済ませる。情報によれば、台風が接近しているため天気は悪化の一途を辿るらしい。
そんな鬱陶しい梅雨時のツーリングでも、メガーヌツーリングワゴンは涼しい顔して快調に距離をこなしていく。ハッチバックに対してホイールベースで60mm長く、全長で290mm長いボディは、室内空間が広いだけでなく、直進性の向上にも大きく寄与している。もともと安定性の高いFFシャシーを持つメガーヌの、そのまた長いボディということで、横風安定性にも優れ、ただただ安楽に真っ直ぐ突き進む。台風の余波で横風はかなり強めだが、車内では微塵も感じられない。
また、東北道には深い轍堀が多いが、路面からの影響は少なく、ステアリングホイールに軽く手を添えているだけで矢のように直進する。もちろん、姿勢は絶えずフラットに保たれ、上下動の少ない乗り心地ゆえ、長距離連続走行でも疲れが少ないことを予感させる。
「じゃ、次のストップは青森終点で……」としたのは、メガーヌの燃費の良さから、途中の給油も必要なかろうと思ったからだ。都内でクルマを受け取って、買い物などの実用性も試した後、首都高〜東北道・佐野SAまでの平均燃費は約10km/リッター。そこで燃料タンクを満たして60リッターあれば、青森までは十分走り切れると踏んだのだ。とはいえ、実際には高速区間の燃費を計るために、終点から1つ手前の津軽SAで給油。結果は別表の通りで、これなら東北道全線670kmを無給油で走破できる。
ツーリングワゴンがハッチバックと異なるのは、ボディ形状だけでなく、後発ゆえに多少の改良を受けていることだ。その第一は、シート形状。見た目にはほとんど違いはないが、座面は微小に後退角を増しており、そのおかげで腰への負担が背面に分散される割合が多くなっている。さらに、電気モーター式パワーステアリングは、よりフリクションが軽減され、操舵フィールが改善されている。
また、ステーションワゴンゆえに、後輪荷重の増加に対応してダンピングレートを強化。そのため、今回の試乗車である2.0プレミアムでは、タイヤが205/50R17へとサイズアップされているものの、バネ下の動きはしっかり抑え込まれ、大径タイヤ装着時にありがちなドタドタした重さを感じさせることはない。これらのことが嬉しいニュースといえる。
ただ、デザイン的には、あのハッチバックの個性的なリアエンドの処理はまったく原型を止めず、ごく普通の形になってしまったのは残念だ。とはいえ、フロントの造形に対してはバランスがとれており、むしろこちらに好感を持つ人も多いかもしれない。

青森ICで浦和からの高速料金1万3500円を払って出た時は、もう12時を回っていた。そのままR7に出て、その先は海を右手に見ながら青森湾岸を進み、先端の竜飛岬に至る。途中では、平館海峡を挟んで対岸に恐山が拝めるはずだが、生憎の天気で雲に霞んで全容は見えない。また、青函トンネルの地上の出入り口は、津軽浜名あたりの山地にあり、かなり手前からヒューンという軽い音が風に押されて聞こえ始めて、しばらくすると列車がやってくる。ここもまた、竜飛を訪れる際の見所のひとつといえるだろう。
「ここは本州の袋小路だ、諸君も銘肌せよ」と太宰治の書いた小説「津軽」にも出てくる岬の突端あたりは、小雨も舞う霧に覆われていた。もちろん、北海道はまったく見えない。真っ青な北国の空と紺碧の津軽海峡を眼下に、その彼方に北海道という景色を頭に描いて走ってきたというのに、自然は時に旅人に対して無粋な仕打ちをする。しかし、竜飛特有の強風は絶え間なく吹いており、時折、太陽の光は雲間を通して海上を照らす。もしかしたら凄絶な夕陽が見られるかもしれない、という思いは、竜泊ラインで海岸線を見守りながら結局19時近くまで我々を止めおいた。
今夜のお宿は弘前に決めていたが、結局この東北屈指の城下町に到着したのは21時過ぎだった。本日の走行距離は1000km。

明けて2日目。6時には行動を開始する。夜来の雨は上がり、城を望む西の空には巨大な虹が半円を描いていた。弘前城は1603年に計画され、完成したのは1616年。以来、津軽氏の居城として廃藩に至るまでの260年間、戦禍もなく安泰を極め、貴重な史跡を数多く残してきた。そうした伝統を尊ぶ風土は今に受け継がれ、市内のあちこちに往時を偲ばせる建物などが保存されている。それらを見て回るだけでも、弘前の魅力の一端に触れることができる。
とはいえ、せっかちな一行は、それらを3時間に凝縮して滞在、道の駅で朝食を済ませると慌ただしく帰路についた。その頃、東の空にはまたまた暗雲が立ち込めてきた。市内での撮影時は快晴だったから、やはり早起きは三文の得、といったところか。
大鰐弘前ICから東北道に乗り、最初の花輪SAで給油。ここまでの、ほぼ一般道モード燃費は10.8km/リッター。ご承知のように、海岸線は地図上では直線のように見えても、実体はくねくね曲がったコーナーの連続だし、アップダウンも伴う。そんないい訳をしなくとも、走行内容を考慮すれば、2桁台なら良好な燃費といえるだろう。
クルマにとっての長距離走行の成果は、エンジンがより快調になることだ。往路とは明らかに異なる、澄んだ快音を発して回るエンジンは、スロットルを開けた瞬間のレスポンスからして違い、まるでパワーアップしたかのような軽快な吹け上がりをみせる。
また、奥羽山脈を縫うようにして走る東北道は、津軽海峡を渡ってきた荷物満載のトラック軍団も多い。トンネルも数多く連続する。渋滞するほど交通量は多くないものの、追い越す時には多少の加減速を伴う。そんなトップギアのままでスロットルをオン/オフする時、明確にパワーの違いを感じる。この領域では、ATといえどもコンバーターのロックアップが働いており、MTと変わらないダイレクトな感覚が味わえる。
燃費集計と遅い昼食をとるために、上りの佐野SAに入る。ここまでの燃費は11.4km/リッター。ちなみに、同行した1.6ハッチバックは12.5km/リッター。以前、このクルマで一般道主体の563kmを走った時の平均は13.9km/リッターだったから、今回の結果も含めて、やはり小排気量ゆえに2リッターモデルより経済的なことは確かだ。ツーリングワゴンにも1.6リッターモデルはあり、ファイナルは共通だからパワー差はそれなりにあるが、1/2速で1000rpmほど余計に回せば過不足なく元気に走る。もちろん、筆者のお勧めもコレ。タイヤも195/65R15で十分だ。

メガーヌツーリングワゴンは、ゴルフワゴンなどと同じく、お手頃サイズの実用性能に加え、スタイリッシュな外観や快適な乗り心地など、ちょっと他とは違う魅力が備わる。フランス車の例に漏れず、燃料経済性の高さは今回のツーリングでも実証済みだ。
現実的には、ハッチバックか、ツーリングワゴンかの選択で迷う人もいるだろう。確かに、ハッチバックの個性的なスタイリングは魅力だが、特異なリアエンドのデザイン処理により、トランク容量が限られるのは事実だ。その点、ツーリングワゴンは、ガラスハッチだけを開けてラゲッジスペースを使うことも可能。そうした意味では、5ドア・ハッチバックの延長線上にあるとも考えられる。
ホイールベース/全長の延長は、乗り心地や直進性の向上に大きく貢献している。反面、軽快さで劣るともいえるが、安定性を増しているのは揺るぎのない事実。また、二重フロアによる強固なボディ剛性や、ユーロNCAPの衝突実験における好成績など、高い安全性も保証されている。となると、これはもうスタイリングの好みと、積載性をどう考えるかの問題だ。
さらにいえば、1800kmにも及ぶツーリングは、本来なら2泊の日程でもキツイところだが、それを1泊2日でこなしてしまったところにメガーヌの真価があるともいえる。メガーヌツーリングワゴンならば、このまま再度引き返し、竜飛の断崖から北海道を見て、日本海に沈む夕陽を眺めて見たい。もう台風も去ったことだから、さぞかし――と思わせる。
首都高の相変わらずのクルマの列に並びながらも、ほんの少し前まで我々は緑いっぱいの世界にいて、君たちとは違う新鮮な空気を吸っていたんだよ、というエネルギーの充足を感じていた。 |
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| ■燃費 *カッコ内の数値はメガーヌ1.6の参考データ |
| 給油地 |
走行距離(km) |
給油量(リッター) |
平均燃費(km/リッター) |
| 佐野 |
217.0 |
22.0 |
9.9(12.7) |
| 津軽 |
589.2 |
46.0 |
12.8(14.1) |
| 花輪 |
354.8 |
33.0 |
10.8(11.7) |
| 佐野 |
535.9 |
47.0 |
11.4(12.5) |
| 都内 |
181.0 |
16.5 |
10.9(11.4) |
| 合計 |
1877.9 |
164.5 |
11.4(12.7) |
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| <ワゴン専用ボディにより
居住性と積載性をアップ> |
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| ハッチバック譲りの高い基本性能に加え、ワゴン専用ボディにより、ゆとりあるキャビン空間と広大なラゲッジスペースを獲得。フレンチワゴン伝統の高い実用性と、快適な走行性能をハイレベルに両立する。クラストップレベルを誇る高い安全性も見逃せない。ラインナップは1.6、2.0、レザーシートなど装備が充実した2.0プレミアムの3車種展開。 |

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