156ベースのパーソナルクーペ、アルファGTが国内導入された。
デザインを担当したのはベルトーネで、もともとクーペのごときルーフラインを描く156のスタイリングをさらに凝縮。
その走りもまた、アルファらしく刺激に満ち溢れるものだった。

リポート|斎藤 聡|S.Saito フォト|柏田芳敬|Y.Kashiwada

 本日よりボクは宗旨替えをする。これまでクルマは操縦性こそすべてと固く信じて来たのだが、アルファGTを前にして、変わった。クルマは格好良さこそすべて。駆動方式も操縦性も二の次だ!
 半ば勢いで書いているので、この宣言にまったく責任を持つつもりはないのだが、あながち嘘でもない。そのデザインに想像以上のインパクトを感じたのは確かで、これはボクにとってはかなりの衝撃だったことを告白する。
 ベルトーネ・デザインのGTは、アルファ156をベースに開発されたクーペモデルで、共用パーツは60%を超えるという。確かに冷静にインパネや室内を見渡すと、見たことのあるパーツが結構あることに気付く。そもそも、シートからして共通なのだ。ところが、不思議と手垢じみた印象がない。このあたりも、デザインの巧みさというべきものなのだろう。
 室内は狭からず広からずの絶妙なサイズ。実際には、大人4人がゆったり座れるだけのレッグスペースやヘッドクリアランスがあるから本当は十分に広いのだが、それをことさら広く感じさせないところもいい。しっくり来るのだ。これだけで、所有することの喜びを十分に噛み締めることが出来るわけで、あとは破綻なく普通に走ればいいじゃないか、という気にさえなってくる。
 国内に導入されるのは3.2リッターエンジンに6速MTを組み合わせた3.2V624Vと、2リッターJTS+セレスピードの2.0JTSセレスピード。2リッターはすでに156にも搭載されている直噴ユニットだ。3.2はGTAに搭載されるエンジンとは若干チューニングが異なり、最高出力は240psとなっている。156GTAに搭載される250ps版ほどパンチはないが、十分にトルクフルで、足回りも2.0に比べると若干引き締まった印象がある。もっとも足回りのセッティングはハードというほどではなく、サスペンションを深くストロークさせて曲がるタイプ。思い切り攻め込むとサスペンションがボトムするのが感じられ、どちらかといえばソフトな味付だ。
 サスがボトムするのはあまり楽しいフィーリングではないが、少なくともクルマの姿勢がそれで不安定になるようなことはない。おそらく、装着される225/40R18のミシュラン・パイロットスポーツ2と、リム幅8Jのホイールがもたらすパフォーマンスによるものなのだろう。乗り心地は18インチとは思えないほどよく、スムーズかつしなやかだ。
 さて、このGTを気持ちよく走らせるコツは、性能の8割くらいを引き出すつもりでドライブするのがいい。つまり、目を三角にして飛ばさなければ、十分に走りを楽しめるということだ。わずかに抑え目に走らせた方が、しなやかにストロークするサスがクルマの動きをゆったりと抑え込んでくれ、いかにもクーペ然としたエレガントな乗り味を見せてくれるのだ。
 操縦性もよく、ステアリングを切り出すと、フロントイン側のサスをぐっと縮めながらスーッとノーズが入っていく。さらにペースを上げていってもアンダーステアの度合いは少なく、サスがボトムするような領域まで弱アンダーの操縦性は変化しない。
 また、3.2のエンジンはトルクに余裕があるから、キツい上り坂がまったく気にならない。印象としては、アクセルの踏み加減に対し、リニアにスロットルが開いていく。ただし、アクセルのストロークが長いので、初めは多少違和感があるかもしれない(アルファ・オーナーにはお馴染みだが)。トルクがあるクルマは、アクセルの踏み始めにガバッとガスを吸い込むとクルマの動きがギクシャクしてしまうものだが、このストロークならそうした気遣いなくアクセルを操作できるのがいい。
 ブレーキ性能もエンジンに見合ったものとなっている。ブレンボ製のブレーキは、ストッピングパワーが強く、タッチもしっかりしており、長い下り坂でブレーキを酷使しても音を上げる様子は見られなかった。
 一方、2.0JTSセレスピードは、エンジンの吹け上がりにちょっとザラついた印象がある。ツインスパークエンジンを知る人にとっては、吹け上がりのフィーリングには多少の物足りなさを感じるかもしれない。実は加速感にも少々の不満を感じたのだが、これはトルク特性の錯覚で、低中回転域のトルクが充実しているから高回転域の伸びが物足りなく感じるのだ。速さは感じないが、車速のノリはいい。加えてセレスピードにスポーツモードが加わり、これをセレクトすればシフトタイムが短くなり、トルクの断続感が少ない、よりスポーティなシフトフィールが楽しめる。
 足回りは3.2と比べるとややソフトな印象だが、ノーズが軽い分、ステアリングを切り出したときの反応がよく、絶対的な速さはともかく、軽快な印象はこちらのほうが上だ。動力性能的には3.2だが、冒頭にも書いたように、このクルマの一番の魅力はなんといってもそのスタイル。だから2.0だって満足感は非常に高い。アルファGTは、その格好良さだけで、十分に所有する意義のある数少ないクルマの一台だと思う。
 
  ベルトーネが手がけたボディは、明らかに写真よりも実車の方が美しい。特に柔らかで適度にボリューム感のあるリアビューは絶妙。足回りは3.2V6の方がタイトだが、それでも乗り味はしなやかと表現できる。
166ps/21.0kg-mを発揮する2リッターのJTS直噴ユニットは156にも搭載されるものと同様(右)。3.2リッターV6ユニット(左)は、GTAのディチューン版で、250psから240psへと若干のパワーダウン。29.4kg-mのトルクも若干小さくなったが、逆に低回転域を太らせたという。
タイヤは3.2V6が225/40ZR18(左)、2.0JTSが215/45ZR17(右)を履く。また、3.2V6にはブレンボ製ブレーキが組み合わされる。下りのワインディングでは、ノーマルのブレーキとのパフォーマンスの違いを実感。
  スポーティなインパネデザインは、156よりむしろ147との共通点が多く見受けられる。メーターパネルにはマルチファンクションディスプレイを設置、メーター色はホワイトとなる。
  パーソナル色の強いクーペらしく、すべてスポーツレザーシートが標準となる。肉厚でガッチリと身体をホールドする疲れにくい形状。全後席とも足元空間には余裕がある。
  トランクルームはボディ形状から想像するよりもたっぷりしたもので、容量は320リッター。さらに、分割可倒式のリアシートをダブルフォールディングさせれば、最大で905リッターまで拡大する。
  アルファとボーズがGT用に専用開発した「BOSEサウンドシステム」が標準装備。リアのトランクパネルにエンクロージャーとウーファーを埋め込んだ本格的なシステムだ。
ミッションは3.2V6が6MT(左)、2.0JTSがセレスピード(右)。後者はSPORTモードを新搭載、変速操作のタイムラグが大幅に短縮された。センターコンソール横のスイッチで操作する。
  理屈抜きに楽しめる
スタイリッシュな大人のクーペ。
 
ALFA ROMEO ALFA GT
 
2.0JTS SELESPEED
3.2 V6 24V
■全長/全幅/全高(mm)
4495/1765/1375
■ホイールベース(mm)
2595
■トレッド(前/後)(mm)
1515/1500
1525/1515
■車両重量(kg)
1360
1430
■エンジン種類
937A1/
直4DOHC16V
936A/
V6DOHC24V
■排気量(cc)
1969
3179
■最高出力(ps(kW)/rpm)
166(122)/6400
240(177)/6200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
21.0(206)/3250
29.4(289)/4800
■トランスミッション
5速セミAT
6MT
■サスペンション(F:R)
Wウイッシュボーン/コイル:
ストラット/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
215/45ZR17(7J)
225/40ZR18(8J)
■東京標準現金価格
¥4,389,000
¥5,439,000
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※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 
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