ニューモデル攻勢でラインナップ&シェア拡大を推し進めるクライスラー・ブランド。
その第2弾として、クロスファイアに続き日本に送り込まれたのが4シーターオープンのPTクルーザー・カブリオである。

リポート|島下泰久|Y.Shimasita フォト|郡大二郎|D.Kori

 晴れた朝、試乗会場である逗子マリーナにたたずむその姿を目にした途端、これが仕事だということが何ともやりきれない気分になった。今日のデートの相手は、海と太陽がイヤミなほどにハマる。これからのシーズンを大いに楽しませてくれそうな一台、PTクルーザー・カブリオなのだから。
 一番のウリは、やはりそのルックスだ。スチールルーフの代わりに電動開閉式のソフトトップが与えられ、2ドアとされたそのフォルムは、ベースとなったPTクルーザー以上に遊び心に満ちている。流行りの電動メタルトップではなく、オープン時にはロールバーが残る昔ながらのカブリオレなのだが、PTクルーザーのキャラクターには、この方がハマッているように思える。トップを閉じた時の見映えも悪くない。ルーフを90mmも低くしたことで、まるでチョップドトップのカスタムカーのような精悍さを身につけているのだ。
 そんな見た目だけでなく、クライスラーはユーティリティ性の高さを声高にアピールしている。とりわけ自慢はラゲッジルームで、後席は左右バックレストを前倒し、あるいは座面ごと前方に跳ね上げることでトランクスルーとすることが可能。ラゲッジは通常時209.5リッター、最大で376.6リッターと、このサイズのカブリオレとして考えれば、なるほど十分以上の容量が確保されているのである。
 カッコは良い。使い勝手も申し分ない。では肝心な走りは……ということで、左ハンドルの運転席に乗り込む。と、着座位置はやや高め。というより、低くなったルーフ高に対して座る位置が変わっていないのか。目線の高さにフロントスクリーンの縁が来てしまう。それでも、バスタブのように身体がボディにすっぽり包まれることはなく、開放感は十分満喫できる。
 エンジンは、セダンの2リッターから2.4リッターに格上げされている。パワーが7ps、トルクが2.6kg-m増強され、同時にギア比も高められた恩恵は、特に高速走行時において顕著だ。エンジン回転数が下がっているのに、勾配などでの粘りは明らかに増していて、さらにゆったりと走れるようになった。
 風の巻き込みはそれなりにあるが静粛性は悪くなく、車内での会話も苦にならない。ボディの剛性感もまずまず。ただし乗り心地は、まるでゴムの塊に乗っているかのように始終跳ねる感じで、上質とは言い難い。ここはもう少ししっとり落ち着かせてほしいところ。ステアリングがスローなこともあって、あまり飛ばそうという気にはさせないクルマである。ゆっくり流して走る時の気持ち良さには、もっとこだわってほしい。
 走りの質感や細部の仕立てに関しては、最大のライバルとなるであろうニュービートル・カブリオレに負けている部分は少なくないが、その一方で実用性では大きく分があるし、たたずまいの良さも負けてはいない。よって遊び心のあるオープンカーが欲しいけれど、持てるのは一台だけという人にとっては、有力な選択肢となり得る一台だと言っていいだろう。


 
CHRYSLER PT Cruiser Cabrio Limited
■全長/全幅/全高(mm)
4330/1750/1540
■ホイールベース(mm)
2615
■トレッド(前/後)(mm)
1480/1480
■車両重量(kg)
1520
■エンジン種類
S/直4DOHC16V
■排気量(cc)
2429
■最高出力(ps(kW)/rpm)
143(105)/5200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
21.8(214)/4000
■トランスミッション
4AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
トレーリングアーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
205/55R16(6J)
■東京標準現金価格
¥3,339,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 
  ラインナップされるのは2ドアの左ハンドル仕様となるリミテッドのみ。4430mmの全長、1750mmの全幅、2615mmのホイールベースなどは5ドアセダンとまったく同値だが、全高は90mm低められている。乗車定員は4名。
  球形シフトノブのすぐ前方にルーフ開閉用のスイッチが備わる。ルーフの開閉は、センター部分にあるD型リングのハンドルを操作するだけで、後はスイッチ操作のみでOK。その電動ソフトトップの開閉時間は約10秒で、車速12マイル以下なら走行中でも開閉可能という。
  革巻きの4本スポークステアリングや3連ホワイトメーターなど、左ハンドル仕様となる以外、インテリアは基本的に5ドアセダンと共通したものとなる。
  後席は50:50の分割可倒式。左右のバックレストは個別に倒すことができ、さらにクッションとともに前方にタンブルすることも可能。それによりラゲッジルーム容量は通常で209.5リッター、左右のリアシートを跳ね上げた状態では376.6リッターを確保する。
2615mmというロングホイールベースを採用し、なおかつオーバーハングを切り詰めた設計により、後席は大人2名がしっかり座れるスペースを確保。3層構造のソフトトップや密閉性の高いスマートガラスの採用などにより、室内の静粛性が高い点も特徴となる。
  2.4リッターの直4DOHC16Vユニットは最高出力143ps/5200rpm、最大トルク21.8kg-m/4000rpmを発揮。2リッターユニットに対し+7ps&2.6kg-mのエクストラを得ている。組み合わせられるのは2リッターと同じ4速ATだが、ファイナル比が高められている。
  ライバルとなるのは、VWニュービートル・カブリオレ、プジョー206CC/307CCといったあたり。クライスラーとしては、オリジナリティ溢れるデザイン、実用性の高さ、リーズナブルな価格といった面で勝負するというが……。
 
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