エリーゼ111Rの登場からわずかに2カ月、ロータスはその高性能版にあたる新型エクシージを発表した。
その走りは、まさに公道のレーシングマシンといえるほどに鮮烈。
とりわけ高いコーナリング性能は、他に類を見ないほど。
圧倒的なピュアスポーツの誕生だ。

リポート|河口まなぶ|M.Kawaguchi フォト|エルシーアイ

 トヨタ・エンジンを搭載し、話題となった111Rの登場からわずか2カ月しか経過していないが、ロータスは早くも「次の手」を打ってきた。3月のジュネーブ・ショーで発表した2代目エクシージを、5月に日本でも発表したのだ。
 これに先立ち、4月半ばにロータスが本拠を構えるイギリスのヘゼルで試乗を行なってきたので、さっそく報告しておこう。
 実は、試乗前までエクシージを疑っていた。なぜなら111Rとまったく同じスペックのエンジンを搭載し、しかも車重が15kgも重いという情報を得ていたからだ。0→100km/h加速では0.1秒、最高速度では7km/hほど、111Rの叩き出す数値に劣る。
 しかし、そんな疑いはエクシージを走らせた瞬間、打ち砕かれた。まるで全身を電気が走り抜けたようだったのである。
 公式アナウンスされる数値の差は、リアルワールドでは誤差の範囲と思わせる。動力性能的にはほぼ同等だと判断していい。しかし、エクシージの場合、111Rよりも10%ほど硬められたサスペンションと、グリップ力の高いヨコハマA048が与えられている。加えて、専用のエアロパーツがダウンフォースを発生させる。つまり、エンジンは同スペックでも、シャシーおよびボディにおける仕事のレベルが異なるのである。
 エリーゼは、もともとコーナリングマシンとして名高い。ミッドシップならではのきわめて高い回頭性と、コーナリング中の高い限界性能、そしてMRゆえのトラクション性能を発揮させれば、ほとんどのクルマを置き去りにするだけの実力を備えている。
 そしてエクシージは、そのコーナリング性能が数倍にまで引き上げられたように感じる。111R比でも圧倒的にシャープな回頭性と、高いコーナリング限界、良好なトラクション性能を発揮する。同じコーナーを回っても、曲率が違うのでは? と思えるほどだ。
 速度を上げるほどに、ボディが路面へピタリと吸い付く感じが増し、滅多なことでは姿勢を乱さない。試しに……、と思いスピードを上げるのだが、ようやく姿勢変化を起こすのは相当に高い速度域で、ということになる。
 さらに、一度回頭させてやると、まるでこちらの意志がそのまま姿勢変化に現れるように鋭く曲がっていく。だから、低速コーナーではニュートラルな姿勢を作り上げていくことも可能だ。加えて、ターンインが素晴らしい。エリーゼも抵抗感なく回頭するが、エクシージではさらに高い速度から狙ったところにピタリと付けられる。まさにナイフだ。
 身体中の血が遠心力で偏っていくようなGを感じつつコーナリングしていくのだが、コーナー出口では頼もしいまでにクルマを前に、しかも確実に押し出すトラクションを発揮して立ち上がる。こんな具合だから、次のコーナーまでの距離が圧倒的に短く感じられる。当然、加速や最高速における111Rとの差など感じるはずもなく、実際に計測タイムはこちらの方が圧倒的に速いのである。
 エンジン性能をあまり引き上げずとも、シャシーやボディワークによって、ノーマルとは比較にならない速さを紡ぎ出す。そんな様をして、ホンダNSX-Rやポルシェ911GT3を思い出した。そう、エクシージは分かりやすくいえば、ロータスが作ったタイプRでありGT3なのである。
 僕は何度もコースでトライを重ねたが、本当にすべてを引き出したとは思っていない。テストドライバー氏の横に乗ると、「ここまで行けるか?」と思うほどの、さらなる高みが見えたのだ。
 これほどの速さを炸裂させるエクシージ。価格を考えれば、あまりにもリーズナブルだ。
 
  エリーゼ111Rよりも、さらにエアロダナミクスを考慮して仕立てられたエクステリア。大型のリアウイングは160km/hで80kgのダウンフォースを発生させるという。
  タイトなスポーツシート、小径ステアリングなど、インテリアはほぼ111Rと共通。アメリカ市場を睨んでエアコンやパワーウインドーなどの快適装備が標準装着される。
  エンジンはトヨタ製の1.8リッター2ZZ-GTE型。可変バルブタイミング機構(VVTL-i)を備え、192ps/18.5kg-mを発生する。組み合わせるトランスミッションは、オールアルミ製の6速MT。
  タイヤはヨコハマのSタイヤ、A048を装着。サイズはフロントが195/50R16、リアが225/45R17。ブラックのメッシュ系ホイールが好戦的なイメージを与える。
エンジンフード、ボンネット、サイドのエアインテークにはメッシュのメタルを使用。なお、リアウイングはエンジンフードに固定される。
  LOTUS EXIGE
■全長/全幅/全高(mm)
3797/1727/1159
■ホイールベース(mm)
2300
■トレッド(前/後)(mm)
1457/1507
■車両重量(kg)
875
■エンジン種類
2ZZ-GE/直4DOHC16V
■排気量(cc)
1795
■最高出力(ps(kW)/rpm)
192(141)/7800
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
18.5(181)/6800
■トランスミッション
6MT
■サスペンション(F:R)
Wウィッシュボーン/コイル:
Wウィッシュボーン/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
F:195/50R16(−) R:225/45R17(−)
■東京標準現金価格
¥6,037,500
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値です。
 
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