ポルシェが誇るスーパー・オールローダー、カイエン。
そのハイエンドモデルとなるターボをベースに、ポルシェ・チューナーの雄、ゲンバラが渾身のチューニングを施したコンプリートが登場した。

リポート|木下隆之|T.Kinoshita フォト|宮門秀行|H.Miyakado
問い合わせ先=ゲンバラ・ジャパン TEL:042-776-0911

 凡人というもの、非日常的な威圧感に襲われた時、強張った笑顔をヘラヘラと情けなく曝してしまうものらしい。片方の頬を引きつらせながら……。
 箱根のワインディングで待ち受けていたゲンバラ・ビターボRV-GTR600は、殺気にも似た独特の威圧感を漂わせていた。その源は22インチの大径タイヤであり、ほとんど開口部と化したフロントマスクであるのだが、コイツを前にして、大地を通じて足の裏から伝わるエンジンの微振動を感じていると、ついついヘラヘラと頼りない笑顔になってしまうのだ。
 搭載されるエンジンは5.5リッターまでスープアップされており、最高出力は600ps、最大トルクは89.8kg-mに到達する。それが、アイドリングの時点で、すでに無気味な排気音を轟かせている。
 恐る恐るスタートさせても緊張が解けることはなかった。極低回転では、レスポンスは決して鋭くない。だが、それがむしろその後に訪れる激烈なパワーを予感させ、さらにスロットルを開けようものなら、今度はターボ過給が加速を急かせる。手綱に牽かれた獰猛な犬が土を蹴るように、アクセルペダルの1mmが数十馬力に変換され、今まさに炸裂しようとするのである。
 勇気を振り絞って全開加速に挑むと、このエンジンは中回転域からさらに劇的なパワーを絞り出した。パワー特性は、明らかなドッカンタイプである。ゲンバラはハイパワー化を大径タービンに頼る傾向があり、このカイエンでさえ、その考えを元に開発されていることが分かる。あれほど緊張を強いられた低回転域のタメは、まだ激烈ゲンバラ・ワールドの序章にすぎなかった。爆発的なハイライトは、高回転域に存在していたのである。
 サスペンションはマイナス40mmのローダウンを可能にしているが、特に強化されてはおらず、基本的にはノーマルの次元にある。それで超偏平の22インチタイヤを履いているのだから、操縦性のバランスは決して整っているとはいえない。さらに、600psの強大なパワーが襲い掛かるのだ。ブレーキも強化されているとはいえ、重量級ボディを瞬時に減速させるわけではなく、常に集中力を研ぎ澄ませながら飛ばす必要があった。唯一の救いは、車両重量が2.5トンもあるから、パワー・ウエイト・レシオは4.16kg/ps。僕にとっては、都合のいいことに加速度そのものが許容の範疇にあったということだけだ。
 ロードゴーイングカーとしてニュルブルクリンクのコースレコードを持つゲンバラではあるが、カイエンGTR600に限っていえば、高速道路を突き進むべきマシンなのだろう。ちなみに、最高速度は300km/hに到達するという。おそらく911ターボといえども、この巨体が後ろから迫ってきたら素直に道を譲るはずだ。そしてそのドライバーもまた、ヘラヘラと頼りない笑みに顔を歪ませるに違いない。
 
  専用アルミホイール"GEMBALLA Racing22"が装着。250,000円〜。タイヤはコンチネンタル4×4スポーツコンタクトで、サイズはF:265/35ZR22 R:295/300ZR22。ブレーキには8ポッド・キャリパー&800mmのベンチレーテッドディスクを採用。
  エンジンは最高出力600ps(452.4kW)/5900rpm、最大トルク880Nm(89.8kg-m)/2760rpmを発揮し、最高速度は300km/h。
カーボンケブラー製の"フロントボンネット955スポーツ"は550,000円。フロントスポイラー等をセットにしたエアロキット"955GTR"は3,650,000円。"エキゾーストシステム エクスポート"は950,000〜2,900,000円。コンプリートの価格は37,275,000円。
  インテリアにもゲンバラならではの豪華な装備が奢られる。トリム類はボクスターレッドの本革で統一され、プラスチック部分はすべてカーボン素材で仕上げられる。ゲンバラのオリジナルエンブレムが刻印されたステアリングは375,000円。
  メーターパネルもオリジナルで、300km/hまで刻まれるスケールこそ純正のメーターと変わらないものの、実際に最高速度300km/hを実現するというビターボRV-GTR600には欠かせないゲージとなる。
  純正装備されているスポーツシートもボクスターレッドの本革に包まれる。
  リアシートをセパレートする"リアシングルシートシステム"はオプション設定。価格は要問合せ。
  シフト回りのセンターコンソールにもオリジナルのカーボンパネルが採用。左奥に見える赤いスイッチは、元々車高調整機能が付いているカイエンをさらにローダウンさせるためのスイッチ。従来の一番低い車高時よりも、さらに約50mmのローダウンを実現する。
  丁寧に作り込まれた印象を与える"ゲンバラ ビターボGTRロゴ入りフロアマット"は120,000円。カーボン製エントランスパネルは225,750円。
 
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