
3月号で試乗記をお届けしたS40のステーションワゴン版、V50をスペインでドライブする機会を得た。
先代V40は小粋な輸入ワゴンとしてヤングファミリーに支持されたが、ラゲッジルームの積載性にやや難があったのも事実。
新型はこのあたりを含め、総合性能を大きく向上させてきた。
リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|ボルボ・カーズ・ジャパン |
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第一印象は「やっぱり」。コンパクトな末っ子とはいえ、見ても乗ってもV50は正真正銘のボルボ・ワゴンだ。家風というか血筋というか、全体を貫く軸にはブレがない。つまり、いかにも堅牢そうなエクステリア、実質最優先だが暖かみに満ちたインテリア、何かが極端に光るわけではないが、きっちり煮詰められた走行感覚など、いい古された表現がここにもある。「やっぱり」は、予想を裏切られなかった安心感と、予想を突き破ってくれなかった軽い落胆との、微妙な混淆といえる。
すでに日本でも正式発表され、もうすぐ受注が始まるボルボの新型S40とV50。いつもながらSはセダンの、Vはヴァーサタリティ(多様性すなわちワゴン)の頭文字だ。これまで両方とも40だったのに今度から数字が変わったのは、姉さん格のS60(セダン)とV70(ワゴン)に合わせたから。
そんなV50をテストしたのは、スペイン南西部の港湾都市カディス周辺。ここからはモロッコ行きの渡し船が出るという、エキゾチックな空気もある。もちろん高速道路もすばらしいワインディングロードもあったが、もっと大切なのは一般道。空いていてハイペースなのに舗装が悪く、ボディやサスペンションのタフネスを試すには絶好の舞台だった。逆にいえば、きっちり自信あればこそ、そんな場所を国際試乗会に選んだわけだ。結論は、もちろん合格である。
V50を眺めて最大の特徴はノーズが短いこと。ワゴンだけに車室のボリュームがあるから、なおさらショートノーズが可愛く見える。これが余裕のパッケージングの肝だが、それでいながらビッグセダンS80に匹敵する前面衝突安全性を確保したのが自慢。エンジンルーム下部の2本の衝撃吸収構造物を何種類か異なる鋼板の組み合わせで構成し、短いながらも効果的にエネルギーを――というのはS40も同じだから、さっそくワゴンとしての本題に入ろう。
荷室の容積を先代(V40)とくらべると、最大値の数字だけなら1324リッターから1307リッターへと、むしろ狭くなったV50。それはボディ両サイドの厚みなど安全性を見直したためで、ホイールハウス間の幅とかリアガラスの立ち方など実際の搭載性に効く項目はプラスになっている。また、スマートさと空力特性のため(何といってもスポーツワゴンなのだから)、後ろに向かってルーフを下降させた結果、テールゲート開口部の高さもやや減ったが、もともと天井ぎりぎりまで詰め込むためのクルマではないから、これはこれで問題なし。それより開口部の敷居が地上63cmと、これまでより4cm低くなったことの方が、重いスーツケースなどを考えるとありがたい。
もちろん、後席の後ろにはトノカバーやカーゴネットのケースが付いているが、脱着にかなり力を要したのが惜しい。テスト車はまだ量産直前の仕様だったためで、実際に売られるまでには軽くなっているよう期待しておこう。
それより注目したいのは「乗用車」としての完成度だ。ダブルフォールディングで平らな荷室フロアを作れる後席も、普通に座ればセダンとほとんど差がない。身長173cmのドライバーが楽な運転姿勢を取った後ろでも、膝の前には拳骨1.5個ぶん余裕があるし、爪先も悠々と伸ばせるのだ。また低めのルーフラインにもかかわらず、頭上周りの空間も拳骨一個ぶんはある。だからといって座面が低く閉ざされた感じがするわけではない。このあたりのパッケーングは立派。これならリアガラスが後頭部から遠く、後ろからの直射日光に煩わせられないだけ、セダンより快適ともいえる。
運転感覚も、すべての項目で安心できる。うんと厳しく採点しても85点を割ることはない。今回スペインで乗ったのは、日本ですぐ発売される2.4(140ps)と2.4i(170ps)の2車種。ほかに、少し遅れてT-5(220psターボ)や、そのAWD(4WD)仕様も出番を待っている。
もちろんどれもボルボ自慢の横置き直列5気筒ツインカムで、今回あらためて補機類の配置などを見直した結果、パワープラント総合で前後方向に20cmも短縮できたのが、ショートノーズでの安全性確保に効いている。 |
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“コクピット”ではなく“インテリア”。V50のインパネには、シンプルで機能的な北欧家具のイメージが取り入れられている。涼しさと温かさのマッチングが絶妙だ。 |
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その見せ場がこの“フリーフローティング・センタースタック”。オーディオやエアコンの操作パネルとなるこれは、1枚のアルミ板をしなやかに折り曲げたような造形となる。 |
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全高とホイールベースの拡大により、室内空間は大幅に快適性を高めている。試乗車のシート地は、日本仕様ではT-5専用となる「Tテック」。最新のスポーツウェアにも似た、モダンな印象だ。 |
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ハンドリングは基本的に安定志向だが、十分なステアリング・インフォメーションなど、その気になって飛ばしても安心していられるような素性の良さ、スタビリティの高さを持っている。 |
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