大きく重たい車体を、大排気量のエンジンで引っ張る。
一方で社会悪と見なされがちなプレミアムSUVだが、
では実際のところ燃費はどの程度なのだろうか?
そんな疑問から長距離テストを敢行。さて、SUVの社会性は?


 今回の燃費計測で驚いたのは、各車とも予想より実用燃費が良かったという事実だ。ほんの5、6年前まで流行していたクロカン・タイプのSUVと車重的に変わりない各テスト車が、それらよりも圧倒的に優れた動力性能を発揮しつつ、燃費性能でも上回っているのだ(ガソリン車での比較)。さらにいうなら、5km/リッターといえば、筆者の若い頃の1500ccクラスのスポーティカーの実用燃費と変わりないのだ。しかも当時の動力性能など、今回の試乗車の足下にも及ばない代物だった。
 むろん今日の大衆車の燃費が実用レベルでも15km/リッターに迫ることを思えば、この高級SUVの意外な好燃費など霞んでしまうが、それら大衆車がプレミアムSUVのような満足感を与えてくれるわけではない。嫌味ないい方だが(筆者は裕福ではないのでお許しを)貧富の差を含め、生活観の多様性を許容する資本主義社会にあっては、この燃費をもってSUVを非難するのは当たらないだろう。
 もっとも我々のようなクルマ好きも、エコ・コンシャスでなければ良き社会人とは見なされない時代であることは間違いない。渋滞路に自動車を乗り入れる愚は避けたいし、ストップ&ゴーを繰り返す市街地で無分別な急加速をする幼児性も排除したい。個人的なことをいえば、空いた道路では結構ハイペースで飛ばすし、ワインディングを楽しむ趣味もある。しかし、日常は純粋に移動の効率やエコ・コンシャスな発想を重んじる意見に共感を覚える。エコロジーを考えるならば、正すべきは日常の生活姿勢であり、他人のクルマの趣味を悪し様にいう必要はなかろう。
 そもそもSUVの燃費問題というのは、米国起源の話題だ。燃料が安く、大量にエネルギーを浪費する社会構造が、巨大で劣悪な燃費性能を持つクルマを大量に普及させたことが招いた社会問題だ。しかも、米国における現在のSUV燃費に関する議論は、エコロジーというよりは原油の輸入量削減という政治目標にすっかりすり替えられてもいる。日本では米国のように劣悪な燃費のクルマが闊歩しているわけではなく(もともと燃料代が高いので)、市民の燃費感覚も数段健全なものだ。米国でSUVバッシングが流行っているからといって、日本でその流行を真似る必要があるのだろうか?
 それはさておき、燃費を始めとするエコロジー問題は、我々市民がいかに賢明なライフスタイルを選択するかにかかっているのであって、我々の社会が最も重要視してきた多様性に対する寛容を否定するかのような魔女狩り的SUV批判などの尻馬に乗るには抵抗がある。実際に今回試乗した新世代のSUVたちは、燃費においても旧世代を大きく上回る性能向上を果たしていた。これを許容しがたいものとはいえないだろう。
 さて、今回の燃費テストは空いた高速道路主体のステージと、これまた空いた一般道のステージのふたつに大別できる。渋滞路を含む市街地走行がないためデータは甘いとも考えられそうだが、一方で撮影時を含め頻繁に始動と停止を繰り返したし、アイドリング時間も長かった。さらにクルマ自体が速いこともあって、高速道路でのアベレージスピードはかなり速いペース(自動車高調整機能のあるクルマでは、1段階は車高が下がる速度以上)だったので、この種のクルマの実際の使用条件とかけ離れてはいないと考えられる。
 




平均燃費

X5 4.4i=6.77km/リッター

カイエン・ターボ=5.65km/リッター

レンジローバー=5.87km/リッター

トゥアレグV8=6.09km/リッター

XC90 T6=6.43km/リッター

※先にも触れた通り、給油データはガソリンスタンドでの給油量を基準としているため、多少の誤差があると思われる。また、クルマは竹平氏と編集部員でまんべんなく乗り換えたが、アクセルの踏み方、走行条件が均等ではないので、あくまでも参考燃費として考えて欲しい。



Route.1

●つくば牛久IC〜北茨城IC

●走行距離=約107km

●高速100%

ゼロヨンを計測した茨城県・竜ヶ崎飛行場を出発、北関東自動車道路・つくば牛久IC近くのガソリンスタンドで給油、そこから常磐道・北茨城ICまで。最高速度を130km/hに設定、比較的穏やかな運転を心掛けた。X5の燃費がやたら良いのは企画担当・尾島がその責任感から(?)必要以上に燃費走行を意識してしまったからだが、それにしても優秀。バルブトロニックの恩恵か?
X5 4.4i=8.03km/リッター

カイエン・ターボ=6.19km/リッター

レンジローバー=6.63km/リッター

トゥアレグV8=6.50km/リッター

XC90 T6=6.19km/リッター

 
Route.2

●北茨城IC〜いわき勿来IC

 (一般道)〜いわき四倉IC

 (高速)〜撮影で一般道を

 だらだら〜いわき四倉IC〜

 郡山IC経由郡山市内

●走行距離=約180km

●高速70%/一般道30%

比較的一般道が多かったのがこのルート。しかも磐越道を郡山に向かう途中、いきなりの猛吹雪に見舞われた(4WDで良かった!)。そんなわけで雪道のノロノロ運転も込みでのデータだ。ここではXC90が優秀。というのも他のクルマは、雪の中10分ほどアイドリング停車をしており、それが結果に影響したと思われる。プラスXC90乗車の尾島、やはりアクセルの踏みが足りない?
X5 4.4i=8.03km/リッター

カイエン・ターボ=6.19km/リッター

レンジローバー=6.63km/リッター

トゥアレグV8=6.50km/リッター

XC90 T6=6.19km/リッター
 
Route.3

●郡山(市内含む)〜広野IC〜

撮影で一般道をだらだら

●走行距離=約145km

●高速80%/一般道20%

磐越道をふたたび海岸線へ向けて走る。高速はそれなりのペースで走行。したがって燃費もあまり良くはない。とくに洗車にとまどったレンジローバーは起死回生の走りで遅れをリカバリー、ゆえに唯一の4km/リッター台を記録した。なお、一般道はいわゆる空いた地方道の流れで、それほどさほどストップ&ゴーを強いられてはいない。
X5 4.4i=5.66km/リッター

カイエン・ターボ=5.03km/リッター

レンジローバー=4.76km/リッター

トゥアレグV8=5.10km/リッター

XC90 T6=5.31km/リッター
 
Route.2

●広野IC〜守谷IC

●走行距離=約190km

●高速100%

オーダーは「ガンガン走って!」。というわけで踏めるところは結構踏んだ。とはいえルート1との差はわずかで、XC90に至ってはルート4の方が燃費が良いくらいだ(ちなみにXC90 T-6は4速ATながら非常にハイギアード)。このあたりは給油量の誤差も考慮しなければならないだろう。とはいえ全車SUVという性格からか比較的ハイギアードで、高速域と、さらにその上の速度による巡航での燃費差はそれほどなかった。
X5 4.4i=6.97km/リッター

カイエン・ターボ=5.75km/リッター

レンジローバー=6.13km/リッター

トゥアレグV8=6.20km/リッター

XC90 T6=6.94km/リッター

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