2.0から若干遅れて発売がスタートした1.6。
日本向けメガーヌとしてはベーシック、という位置付けだが装備はこれでも十分以上。
となると、排気量差がもたらす絶対性能を除けばさしたる違いはなさそうに思えるが……。

リポート|小野泰治|T.Ono(本誌) フォト|宮門秀行|H.Miyakado

「そーですか。1.6の方が良いですか。いやぁ、ご意見がハッキリ分かれますねぇ」
 印象を尋ねられたので、単なる好みで1.6と答えただけなのだがルノー広報、Sさんの反応はなんとなく微妙。いわく、プロのリポーター諸氏に訊くと1.6と2.0ではオススメが真っ二つに割れるのだという。排気量が違うとはいえ、基本的には同じクルマ。それで意見が二分されるということは、それぞれに選ぶ理由があるということだから悪い話ではない。むしろ、インポーターとしては支持が偏る方が問題だろう。ただ、メガーヌの場合は反応が極端なので、売る側としてはどちらを推すべきか迷うのだという。
 たしかにこの2台、走らせたときの印象は結構違う。だが、それは善し悪しの話ではない。いずれも、最新の2ボックスとして魅力的に仕上げられている。たぶん、乗り比べなければ違いを意識することもないと思う。
 で、とりあえず発売されて間もない1.6の印象をご報告すると――。まず、動力性能は必要にして十分。少なくとも1〜2名乗車程度なら加速に不満はない。エンジンはスクエアストロークに近い1.6リッターだが、実用域のトルクが充実しているので、日常的な場面で高回転域(いささか騒々しい)を使う機会はほとんどない。シャープな吹け上がりとは無縁だが、実用車のユニットとしては十分に合格点が与えられる。
 だが、それ以上に印象的だったのは、身軽といえるハンドリングとしなやかな乗り心地。路面からの入力を柳に風、とばかりに受け流しつつフラットな姿勢を保つ点は、まさにフランス車。195/65R15という日本導入のメガーヌの中では最も細いタイヤを履くせいか、バネ下の重さも感じさせない。
 操縦性は、基本的に現代的な安定志向。だが、決して退屈ではない。シャープではないが、ノーズの入りは素直。そこからさらにステアリングを切り込んでも、細身のタイヤを路面にギュッと押しつけながら結構なスピードまでシッカリ曲がる。追い込むとそれなりにロールするが、グラリと傾くような不安感もない。何よりコンパクトな2ボックス(全幅は除く)らしい、良い意味での「軽さ」を実感できるのがウレシイ。
 そんな1.6と比較すると、2.0は重厚なテイストだ。よりトルクフルなエンジンやスタビリティの高さは、1.6にはないゆとりを感じさせる。そして、それが上級グレードらしい走りの高級感にも繋がっている。おそらく、初めて輸入車を買う人やドイツ車からの乗り換え組はこちらの方がとっつきやすいと思う。個人的には、「らしさ」という点で1.6を推したいが、予算を除けばメガーヌで2.0を選ばない理由が見当たらないのもまた事実だ。


  RENAULT MEGANE 1.6
■全長/全幅/全高(mm)
4215/1775/1460
■ホイールベース(mm)
2625
■トレッド(前/後)(mm)
1510/1515
■車両重量(kg)
1260
■エンジン種類
K4M/直4DOHC 16V
■排気量(cc)
1598
■最高出力(ps(kW)/rpm)
113(83)/6000
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
15.5(152)/4200
■トランスミッション
4AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:
トレーリングアーム/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ディスク
■タイヤ(ホイール)
195/65R15(6.5J)
■東京標準現金価格
¥2,200,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
 
  若干ストロークが長いものの、スクエアに近いボア×ストローク比の1.6リッター。高回転域まで回すと少々、ガサツな印象だが扱いやすい点がウリ。
  タイヤは細身な195/65R15。ホイールもスチールとなる。2.0と同じサイズのアルミ(タイヤは205/55R16)はオプションで用意。
  ハンドリングは、安定志向の弱アンダーに躾られている。車重が軽いこともあって、身のこなしは2.0よりも軽快。タイヤは細いが、コーナーでは意外なほどムリが効く。
  オートエアコンやCDデッキ、雨滴感知式ワイパーなど快適装備は充実。2.0との違いは、ステアリングやシフトノブが本革巻きでないことと残照式ルームランプが省かれる程度。
  2.0のシート地がクロス+レザーのコンビネーションとなるのに対し、1.6はクロスオンリー。もちろん、機能上の差はない。
  ホイールを除けば、外装で2.0と違うのはドアハンドルがボディ同色になることと、サイドモールにアルミメッキのエンブレムが付かない点だけ。ボディカラーは5色から選べる。
 
メガーヌのESCをチェック

取材協力=ボッシュ・オートモーティブ・システム
http://www.bosch.co.jp

 ボッシュといえば、近年ESC(旧称ESP)の有効性を積極的にアピールしていることで知られるが、ルノー各車にも同社のESCが採用されている。その最新バージョンは小型軽量であることと、よりキメ細かい制御を可能にした点がポイント。ルノーが独自のアンダーステア・コントロールロジック機能をESCに搭載できたのは、この最新バージョン採用によるところが大きいとか。従来型と比較すると、この機能を組み込んだESCは極度のアンダーステアが生じた場合や、操舵制御が不可能な状況でもより効果的に制御。素早い減速と高いライントレース性を可能にしている。実際、濡れた路面で効果を試してみると非現実的な操作、たとえばブレーキを使わずステアリングを一気に切り込んだ場合でも、クルマはしっかりステアリングを切った方向を向いた。また、ブレーキを踏まずともESCが介入することで自動的に減速(アンダーステア・コントロールロジックが作動すると、ブレーキランプも点灯して後続車への警告も行なう)、危険回避のマージンを拡大する。テスト時は50km/h程度の速度から前述の操作を行なったが、通常のブレーキ操作と遜色のないレベルで減速を行なっていた。
写真左が、アンダーステア・コントロールロジック機能付きESCを作動させた状態。右がESCそのものをオフにした状態。効果を体験するため、濡れた路面で直進状態からいきなりステアリングを切り込む、という乱暴な操作を行なったが、ESCが作動している状態ではクルマがしっかりと向きを変え、なおかつ減速。オフの状態だとクルマの向きはほとんど変わらず、ブレーキを踏んでいないので速度も変わらず。
  ボッシュ・オートモーティブ・システム、シャシーシステム事業部の西村裕さん(写真右)と、諫元靖宏さん(同左)。西村さんによれば、ESCの最新バージョンは自動車メーカーが独自の機能を盛り込む上で非常に有効だという。



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