1962年5月28日ドイツ生まれ。'86年FHGフォルツハイム卒業後、メルセデス・ベンツ入社。
主にエクステリアデザインを担当しつつ、様々な車種のプロジェクトマネージャーという立場に。
'98〜'99年メルセデスの日本のアドバンスデザイン・スタジオに。'99年〜'00年MCCスマートに。
'00年サーブに移籍、デザインのヘッドに。'03年GMEアドバンスデザインのディレクターも兼務。
サーブのミハエル・マウアー氏が来日した。
ダイムラー・クライスラーのデザイン部門で着実な実績を上げ、将来を嘱望されていた氏が突然、GM傘下のサーブに移ったのは2000年。
インタビューを進めていくうちに、彼がなぜ、このヘッドハンティングを受けたかが分かってきた。
彼はいわばアスリート、チャレンジャーなのである。


 マウアー氏とお会いするのは前回のTMS以来で、これが2度目。TMSでのインタビューでは、サーブ9-3が彼の手になるものではないということを知りつつ、それでもサーブが気になるカーエンスージャストのひとりとして、ちょっと不躾な質問をした。新型にはサーブらしさが足りないのではないかと、ぶつけてみたのである。もうリアにハッチを持つわけではないし、サイドウインドーがシックスライトになっているわけでもない。これでは昔からのサーブ好きが困ってしまう、と。氏が苦笑しつつ、しかし丁寧になぜこうなったのか、説明してくれたのを覚えている。それに納得したかどうかは別にして、彼が結論として「ウイ・ニード・モア・カスタマー」という表現を使ったことに強い印象を受けた。氏に求められているものがきわめて明快になったように思えたからだ。
 今回のインタビューも、このあたりから入ろう。では、モア・カスタマー、つまり販売台数を伸ばすために、サーブらしさといったものは薄められていくのか?

――前回もお聞きしましたが、日本のサーブ・ファンが心配しているのは、今後サーブらしさが薄まってしまうのではないかということです。日本では特に、機能的であることやインテリジェンスが感じられること、それにスウェデッシュらしい控えめな佇まいが人気の理由でしたから。フツーのクルマになってしまっては……。
「オオ(笑)。それに対する答は、イエス&ノーですね。サーブというメーカーの歴史を振り返ってみると、他のメーカーとは非常に異なる製品を生み出していたことが分かります。きわめて機能的でパフォーマンス的にも優れたものを作ってきました。たとえば、900ターボなどはその典型で、私も好きなクルマですが、一部の人たちからは熱狂的な支持を受けました。しかし、誰もがサーブらしいと認めても、具体的に購入するまでには至らなかった。クルマというものはインディビデュアルなもので、個性が必要だとは思いますが、かといってそれだけではダメで、誰もが安心して乗れるという感覚もシッカリ持っていなければなりません。BMWを見て下さい。本当にスポーティなのはM3やM5という一部であって、ほとんどの人はそうではないBMWを購入しています。コチラがメインストリームなんです。ですから、重要なのは、個性が際立つイメージプロダクト、9-3でいえばカブリオレになりますが、それとメインストリーム向けプロダクトの、デザインのバランスだと思いますね。そのちょうどいいところを見つける必要があります」
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