
本国ドイツでは'02年にデビュー、すでにメルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズと、トップカテゴリーで熾烈なシェア争いを演じているニューA8が、満を持して日本市場に導入された。
注目はやはり、進化版のASF(アウディ・スペース・フレーム)をはじめ、アウディのお家芸である先進テクノロジーの数々が、
いったいどんなパフォーマンスを実現しているかに尽きるだろう。
リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|望月浩彦|H.Mochizuki |
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SやRSなどの特別なモデルを除き、アウディのラインナップの中ではA8がもっともスポーティなサルーンである。この結論は、乗り込んだ直後から予感していた。エンジンをスタートしアクセルを煽ると、歯切れのいいサウンドが響く。5バルブDOHCヘッドを持つ4.2リッターのV型8気筒エンジンの素性が、早くも現れる。高回転域まで一気に吹け上がりそうであり、パワーも十分に詰まっているに違いない。
実際にアクセルを踏み込んで加速すると、エンジン回転数の上昇とパワー感の盛り上がりが完璧に一致していることが分かる。大排気量に任せたトルク感ではなく、回転数で稼ぎ出したパワー感が強調されている。しかも、エンジンのサウンドもパワー感に同調して迫力を増していくのだ。
それだけに、ステアリングに組み合わされるパドルスイッチにより、ティプトロニック付き6速ATをダウンシフトし、高回転域に乗せたくなる。Dレンジのままでも、パドルスイッチを操作すると、しばらくはマニュアルモードを維持できることも、エンジンが得意とする領域を有効に生かす意味で大いに役立つ。セレクターをDレンジから右へ倒してマニュアルモードに切り替えれば、7000rpmに迫らん勢いで吹け上がるエンジンの素性が引き出せる。中高速コーナーがある山岳路では、2速と3速を使い分けながらストレートでは4速にも入るといった走りが楽しめる。例によって、速域は明らかにできないが……。
そうした速域で、かなり本気になって山岳路を攻めていると、ESP(エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム)の介入を知らせるコーションが点灯する。ところが、制御感はほとんどない。そもそも、フルタイム4WDシステムを備えるために、トラクション不足とは無縁でいられる。むしろ、高すぎるトラクションを少しだけ抑えるためにESPが介入することで、コーナリング中のステアリング特性をニュートラル傾向に安定させているのだろう。
パワートレインやESPだけではなく、アダプティブ・エアサスペンションもハンドリングの正確さを際立たせている。このシステムは、電子制御エアスプリングと無段階可変ダンパーによって基本構成され、ボディの無駄な動きを徹底して抑え込む。サスペンションモードは、オート、ダイナミック、コンフォート、リフトから選択できる。だが、オートに設定しておけば、それで十分だ。ダイナミックやコンフォートに設定すると、呼び名の通りの走りが期待できるが、オートであれば状況に応じてそれぞれのモードに近い結果が自動的に得られるからだ。
たとえば、コーナー進入時にブレーキを踏みながらステアリングを切る場面では、ピッチングとロールを最小限に制御する。それでいて、サスペンションが突っ張ったような感じはしない。ボディの無駄な動きを抑えながら、うねりなどの路面からの入力を吸収するだけの余裕が残されている。ダイナミックに設定すると、タイヤの接地感が硬くなるような印象を抱いてしまう。ただ、そうした印象を抱くだけで、不快な突き上げを感じるわけではない。それは、サスペンションがスムーズに動いている証拠にもなっている。
高速道路をハイペースで走るときには、オートモードであれば車高が自動的に25mm(具体的には120km/h以上を30秒以上持続)下がる。それだけに姿勢のフラット感が強調され、スタビリティの高さが確かめられる。このスタビリティはクワトロ・システム=フルタイム4WDシステムを備えるからというよりも、シャシーそのもので獲得している感じがする。なぜかというと、アウディは路面のうねりなどに対して、リア周りの動きに違和感を覚える傾向があるが、A8にはそれがない。なおかつ空力性能も優れているので、超高速域でもリフト感を意識することがない。その相乗効果でスタビリティを際立たせているのだ。
力強いエンジン、正確なハンドリング、際立つスタビリティなどにより、A8は素性としてのスポーティさを明らかにした。とはいうものの、A8はアウディのフラッグシップモデルでもある。スポーティカーなのかラグジャリーカーなのか、どちらが素性なのか分からなくなってしまいそうだが、アウディは「プレミアム・ラグジャリー・セグメントに新たなスポーツの世界を開拓」と位置づけているので、いずれもA8の姿ということなのだろう。
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吸気3・排気2の5バルブ構造、2ステージ可変インテークマニホールドなど、アウディならではの先進性が盛り込まれたオールアルミ製V8ユニット。ミッションはティプトロニック付き6速AT。 |
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独自のアルミ成型技術によるASF(アルミスペースフレーム)はさらに進化。先代に対し静止ねじれ剛性は60%の向上をみているという。写真はBピラー下部に輝くASFバッジ。 |
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写真は19インチの12スポークアルミホイール。このほか標準の17インチは7スポークスタイリング、18インチは5アームスタイリングと、デザインはそれぞれに異なったものが与えられる。 |
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深い奥行きを持つトランクルームは容量500リッター。トランクリッド内側のラゲッジフックやラゲッジネットも標準装備で、使い勝手も十分に考慮。12V電源ソケットも備わる。 |
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アダプティブ・エアサスペンションは、走行状況に合わせて4モードからダンピング特性や車高を調整可能。各モードはMMIのメニューからセレクト。 |
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