横滑り防止装置の名称を統一し、さらなる普及を促進するべく、ブレーキシステムサプライヤー3社が共同で氷上試乗会を開催した。
当日は氷上に薄く水が浮く程度と、ESCの効果を体験するには絶好のコンディションであった。

リポート|川本裕介|Y.Kawamoto(本誌) フォト|望月浩彦|H.Mochizuki

 横滑り防止装置といえば、アクティブセーフティを代表するシステムのひとつ。ドイツをはじめとするヨーロッパの自動車メーカーでは同システムの標準装着が主流となりつつあり、超高級車からベーシックなコンパクトカーに至るまで、実に幅広く採用されている。
 しかし、分かりづらいのはそのネーミング。メルセデス・ベンツやVWに採用されるソレはESPと呼ばれ、BMWの場合はDSC、他にもPSM、VSC、VDCなど沢山の名称が溢れ返っている。
 横滑り防止装置の装着が標準化する一方で、その名称はバラバラで統一されていないのが現状なのである。さらに、日本においては横滑り防止装置自体の認知度もまだまだ低く、国産メーカー車の横滑り防止装置の装着率は、たったの7%だという(ドイツではすでに51% ※2002年度統計)。
 そんな背景を踏まえて、同システムの総称を「ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)」として提案すると同時に、日本市場におけるESCのさらなる普及を促進するべく、ブレーキシステムサプライヤーのボッシュ・オートモーティブ・システム、アドヴィックス、コンチネンタル・テーベスの3社が共同で普及活動を開始した。
 その一環として今回、長野県にある女神湖の氷上で試乗会が開催された。氷上ドライブの醍醐味は、クルマがグリップの限界を超えた時に起こす挙動を、安全なスピードで体験できるというところだ。
 実際に体験して思ったことは、「ESCが装着されているという事実がもたらす安心感は絶大であること」だ。極論すれば、常識的なスピードで走っている限り、クルマを曲がるべき方向にきちんと曲げ、スピン&ドリフトアウトを回避させるのである。ESC装着車と非装着車を乗り比べれば、その差はそれこそ手に取るようにわかるほどだ(別項参照)。
 今後、日本の各自動車メーカーが高級車のみならず、すべての車種にESCを標準装着してくれることに期待したいところだ。
 
  モータージャーナリストの菰田潔氏とともにトークショーに臨んだのは、元五輪スピードスケート選手で、現在はクルマでレース活動を展開する三宮えりこさん。「女性にも分かりやすく安心することができる」とESCを評価。
<Handling Corse>
  舵角センサーが曲がろうとしている角度(ドライバーの意思)を認識。車両がその角度と違う姿勢を示した場合、ヨーレートセンサーが即座に感知すると同時に4輪を独立制御し、曲がるべき方向に軌道を修正してくれる。
<Oval Circling Corse>
  ステアリングを切ったまま、コーナーの途中からアクセルを全開にする体験。オーバー/アンダーステアを引き起こさない範囲までトラクションコントロール(TCS)が働き、コースアウトさせずにきちんと曲げてくれる。
<Straight Corse/ESC OFF>
  ESCをオフにして、ストレートでアクセルを踏み込みながら車両を左右に振る体験。踏めば踏むほど激しくドリフトを起こし、挙句の果てには大スピン。例えばそれが高速道路で起きたとしたら……アナタならどうします?
<Straight Corse/ESC ON>
  ESCをオンにした状態では、必要以上のアクセル操作を感知すると即座にTCSが介入しスピンを回避。制御の様子はむしろ外から見た方が分かりやすい。タイヤが空転した瞬間に、駆動輪を制御する様子が確認できる。
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