いわゆる普通のオンロードではめったにない非日常的状況が、当たり前のように現れる氷上走行。
走り好きには楽しい体験ではあるが、興味深いポイントは他にある。
それは、走らせるクルマの性格が比較的容易にチェックできることだ。

リポート|吉田 匠|T.Yoshida フォト|本池邦雄|K.Motoike
取材協力=フォード・ジャパン・リミテッド

 目が醒めるとホテルの外は明るく晴れていて、窓を開けたら外の空気はきゅんと冷えている。前日は気温が高く、氷の上に水がたまってしまい、そのままではイベント開催不可能かと心配されていただけに、胸を撫で下ろした。
 試乗前に女神湖の氷上に立ってみたら、湖面はカチンカチンに凍っていて表面はつるつる。クルマから下りる際に足を滑らせて転ばないように、という主催者からの注意もオーバーではない。ちなみに摩擦係数は0.1にも満たないという。
 フォード・ジャパンがそこに用意したのは、3台のフォーカスST170と、1台ずつのモンデオ・セダンおよびワゴン。いわゆるESPが介入する領域を含め、氷上という超低摩擦係数路における最新ヨーロッパ・フォード車のハンドリング能力を味わってみる、というのが真冬の信州女神湖を舞台にした試乗会の趣旨だった。
 メインはフォーカスST170で、モンデオはいわゆる比較対象と考えればいい。タイヤは全車がヨコハマのスタッドレス、アイスガードを装着、サイズはST170が215/45R17、モンデオが205/60R16だった。
 まずは直線でブレーキングをトライ。これだけ摩擦係数が低いと踏んだ途端にABSが効き出すが、それでも踏み方によって制動距離は確実に変わる。つまりコントロールの余地があるということだ。
 続いてオーバルコースでコーナリングに勤しむ。最初にモンデオに乗り、フォーカスST170に乗り移ると、タイヤサイズの違いも影響して、ステアリングやブレーキペダルに、モンデオよりずっと明確な感触が伝わってくる。
 前輪荷重で軽くステアリングを切り込みながらスロットルを閉じると、まるでこちらの気持ちを察したかのようにテールが流れ出して、ドリフト態勢に入る。ホイールベースの長いモンデオよりも姿勢のコントロールはシビアだが、ドリフト状態を保つのが実に気持ちいい。しかもESPをオンにしておくと、最後のところでスピンに至るのを踏みとどまってくれるから、ESPはこういう極限状態でも有効だとわかる。
 フォーカスST170のスポーティなハンドリングキャラクターは、女神の微笑む湖の氷上でも遺憾なく発揮されたのだった。
 
モンデオと比較すれば姿勢のコントロールはシビアになるが、絶妙なドリフト態勢に持ち込めるフォーカスST170。スポーティなキャラクターは、氷上においても健在だ。
  テストに供されたモンデオ、フォーカスに装着されていたのは、ヨコハマのアイスガード。サイズは写真のモンデオが205/60R16、フォーカスST170は215/45R17だった。
 
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