
ロータス・エリーゼのラインナップに最上級モデル、111Rが加えられた。
常に進化するというロータスの哲学に基づき、スポーツカーとしての走りは従来以上。
さらに安全性と快適性をも大幅に向上させている点がポイントといえそうだ。
リポート|河口まなぶ|M.Kawaguchi フォト|エルシーアイ |
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エンジンは6000rpm近辺を境に豹変した。抵抗感が薄れ、回転は一気に鋭くなる。野太く、ボディ全体を揺らすように響いていたサウンドが一気に収束、身体には一段と強い加速Gを感じた。まさに「ジキルとハイド」と呼ぶに相応しい変貌ぶり……。
意外にもロータスでは初となるイギリス国外の試乗会が、南仏・ニースで開催された。試乗に供されたのはエリーゼの新作、111R。その最大のトピックは、冒頭で高回転域のフィールを記したパワーユニットである。といっても、走り出した時の印象はいささか平凡だった。常用域の回転感はややカタめで、ピックアップで加速を稼ぐタイプではなくトルクで車体を前に押し出す感触。実際、低速域のドライバビリティは非常に高く、街中を4速でこなしてしまうほどトルクフルだ。
いいかえると、日常域の111Rがもたらす世界は、従来までのエリーゼとは明らかに違う。また、111Rのユニットは、元々搭載されていたクルマをチェックしたときの印象とも異なっていた。その違いは、本当に同じエンジンなのか? と思えるほどだ。
このエンジン、実はトヨタ製なのだ。1.8リッターの直4DOHCは、セリカ用2ZZ-GE型であり、メカニズム部分は6速MT込みでそのまま移植されている。搭載にあたっては、アルミモノコックと結合されるリアのサブフレームが形状変更されている。もちろん、マネージメントは異なり111R用はT4と呼ばれるオリジナル。その結果、パワー&トルクはセリカ用の190ps&18.4kg-mに対し、192ps&18.5kg-mとわずかながらも違いを見せる。
エンジン以外では、ついにABSが装備されたこともニュースだ。TRW社製となる4チャンネル・タイプのそれは、DRP(ダイナミック・リア・プロポーション)という独自の制御が付加される。これはブレーキング時に緊急の操作と判断されない限りは、リアへの余計な配分を行なわない。つまり、コーナリングの気持ちよさを阻害しないという、いかにもロータスらしい制御になっている。
このABSと新たにサーボアシストが追加されたブレーキだが、踏み込んだときの感触は当然ながら従来のエリーゼより普通になった。サーボを持つがゆえのソフトなタッチと、コントロール性の高さは多くの人に受け容れられる変更点といえるだろう。
もっとも、新しいエンジンの採用やブレーキのリニューアルにはデメリットもある。111RにはパワーウインドーやCDデッキ、エアコンといった快適装備が与えられているせいもあるが、その重量は880kgと、エリーゼの中ではヘビー級になってしまった。まぁ、それでもパワーウエイトレシオは4.47kg/psと現行シリーズの中では最良。当然、絶対的なスピードは申し分ない。
また、通常車重が増すとハンドリングは鈍重になるものだが、111Rは例外だった。サスに絶妙なチューニングを施し、むしろ今まで以上に張りのあるカッチリ感の高い印象を作り上げていた。今までは軽さを活かしてヒラリと舞う感じだったが、111Rはタイヤを路面に押し付け豪快に旋回する。高速域では、フロント回りに落ち着き感も出た。とてもソリッドなハンドリングだ。
実は、111Rはエリーゼとして初めてアメリカの土を踏む。トヨタ・エンジンを採用したのは、高性能化と同時に排ガス規制をクリアするため。ABSや快適装備を追加したのは、少しでも多くのユーザーを獲得するため。アメリカでは、たとえ軽さが命のピュアスポーツであろうと、万人が楽しめる扱いやすさが要求されるのだ。
しかし、ロータスも単純にアメリカのニーズに合わせたわけではない。重量増というネガを、従来モデルにないカッチリ感/ソリッド感に変換して新たな魅力としてきた。これこそまさに、老舗の意地というものだろう。
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LOTUS ELISE 111R |
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| ■全長/全幅/全高(mm) |
3800/1720/1130 |
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| ■ホイールベース(mm) |
2300 |
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| ■トレッド(前/後)(mm) |
1455/1505
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| ■車両重量(kg) |
880 |
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| ■エンジン種類 |
2ZZ-GE/直4DOHC16V |
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| ■排気量(cc) |
1795 |
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| ■最高出力(ps(kW)/rpm) |
192(141)/7800 |
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| ■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm) |
18.5(181)/6800 |
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| ■トランスミッション |
6MT |
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| ■サスペンション(F:R) |
Wウイッシュボーン/コイル:
Wウイッシュボーン/コイル |
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| ■ブレーキ(F:R) |
Vディスク:Vディスク |
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| ■タイヤ(ホイール) |
F:175/55R16(5.5J) R:225/45R17(7.5J) |
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| ■東京標準現金価格 |
¥5,600,000 |
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| 問い合わせ先 |
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| ※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。 |
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車重は880kgへと増加したが、軽さがもたらす高性能というコーリン・チャップマンの哲学は継承。パワーウエイトレシオは4.47kg/psにすぎず、驚異的な加速性能を発揮。その一方、街中でもフレキシブルで扱いやすい。 |
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| 室内は複合素材のスポーツシート、小径ステアリング、6速MTなどが操る者を熱い走りへと誘う。エアコン、CDプレーヤー、パワーウインドー、集中ドアロックといった快適装備が標準で備わる点もトピックのひとつ。 |
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VVTL-i(連続可変バルブタイミング機構)を搭載したトヨタ製1.8リッターエンジン+オールアルミ製6速MTをミッドに搭載。ロータスT4エンジン制御システム(EMS)との相乗効果で、最高出力192ps/18.5kg-mを発揮する。 |
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エリーゼ/エリーゼ111Sから継続採用の専用タイヤは、ブリヂストン・ポテンザRE040。サイズはフロント175/55R16、リア225/45R17。111Rのダイナミックな走りを支える。 |
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エリーゼ初となるレーシングセッティングのサーボアシスト付きABSを標準装備。しかし、エキスパートを満足させるため、ドライバーが限界点を超える場合にのみシステムが介入するチューニングはロータスならでは。 |
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