個性派のアッパーミドル、ランチア・テージスに3.2リッターモデルが追加された。
排気量からも察せられる通り、ベースはアルファのGTAに搭載されるV6だが、もちろんキャラクターはランチアが独自にアレンジ。
持ち前の豊かさが引き立つユニットに仕上げられていた。

リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|郡 大二郎|D.Kori

 プレステージというものは、どうしても言葉だけでは伝わらないもの。じわじわと肌身に染みるだけだ。だからユーロ・アッパーミドルの中でもそれが際立って光るランチア・テージスなど、とりあえず乗れば感化され、人格が高尚になるとだけいっておこう。これで救われなければ、おそらく何に乗っても無駄だ。
 それは、作る態度がそうだからだ。見てすぐにわかる通り、少数派であることを怖れぬ気概に、テージスは満ちている。そのためか、往年のアウレリアというより最終期のピアース・アロウを思い出させるアピアランスが、どうも日本の風景に馴染まないのも事実ではある。まあ、おそらく私たちの国作り街作りがランチアの水準に達していないのだと、ここは解釈しておこうか……。
 さて、そんなテージスのエンジンが、最近3リッターから3.2リッターに拡大された。例によってアルファ・ロメオのものをベースとしたV6だが、あちらのGTAとはクルマの性格が異なる(こちらは何より典雅を旨とする)ので、電子制御のプログラムを変えて、元の250psから230psにディチューンしてある。これでも従来の3リッターより15psの増強だが、それより低中速の滑らかなトルクを太らせたのがポイントだ。アルファの場合もボアではなくストローク延長で排気量を拡大し、下のトルクに余裕が出たが、それをもっと強調したのが新しいテージス用。結果として、これは大当たりだった。
 何より5速ATと相性がいい。浅く踏んで早めのシフトアップを促すと、じんわりした底力を味わいやすく出来ている。踏めばもちろん気分よく吹けるが、中速から上の響きはアルファより抑制されているし、そういう攻め方は似合わない。ステアリングの手応え、サスペンションの伸縮感、すべてゆとりで操るようにできているのだ。そういう意味だと、テージスはガキどもなど近寄らせないクルマの最たるものだろう。
 
  マルチゾーンエアコン、BOSEサウンドシステム等、装備はさすがに充実している。ローズウッド随所に配したインテリアは、ドイツ系モデルにはない上品な雰囲気を醸す。



3リッターではオプション扱いだったが、3.2リッターはフラウ社製レザーシートが標準に。そのデザイン、座り心地は抜群。リアシートは一応3人掛けだが、デザインは完全な2人用。

  ベースとなったアルファ用に対して低中速域を充実させた3.2リッターのV6。5速ATとのマッチングは良好で、上質な走りが愉しめる。
  3.2リッターの追加を機に、ガレーヂ伊太利屋では導入モデルを一本化。3リッターはラインナップから落ちた。主なオプションはサンルーフ(250,000円)、17インチホイール(160,000円)メタリックペイント(150,000円)など。
  LANCIA THESIS 3.2
■全長/全幅/全高(mm)
4890/1830/1470
■ホイールベース(mm)
2805
■トレッド(前/後)(mm)
1569/1541
■車両重量(kg)
1820
■エンジン種類
V6DOHC 24V
■排気量(cc)
3179
■最高出力(ps(kW)/rpm)
230(169)/6200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
29.4(288)/4800
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
マルチリンク/コイル:マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
215/60R16(6.5J)
■東京標準現金価格
¥6,880,000
問い合わせ先=ガレーヂ伊太利屋 TEL:03-3529-0777
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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