短い夏を存分に楽しむスウェーデンの人たちから、一年中ホットでアクティブな西海岸の人たちまで、サーブのカブリオレは、世界中で高い人気を誇る。
今回はその高性能仕様、「エアロ」に試乗してみた。


リポート|笹目二朗|J.Sasame フォト|郡 大二郎|D.Kori

 この寒空に、あのクルマは屋根もなくて可哀相に……、と思う人もいるかもしれない。でもご心配なく。現代のオープンカーは冬空の澄んだ空気をまともに受けても、爽快でこそあれ寒くはないのだ。
 シートヒーターの備えもあるし、風の巻き込みだって周到に考えて対処してある。それに、日陰が寒いと思うならば、信号待ちの間に幌を上げることだって可能だ。9-3カブリオレの幌は、スイッチオンでたった20秒(!)、少しくらい動いていても作動する。昔のようにサイドブレーキを引いて、エンジンを止めて、なんて悠長な手続きは一切いらない。パワーウインドーを上げ下げする要領で、簡単に変身可能だ。9-3カブリオレは、この種の電動開閉式ソフトトップ車の中でトップクラスの作動時間の速さを誇る。
 こうした折り畳みルーフを持つクルマは、軽快な外観とは裏腹に、ボディは補強も含めて結構重い。9-3もセダン比で140kg増だ。しかしエアロのターボパワーは、209psと30.6kg-mのトルクが確保されており、5ATと相まって素早い加速を約束する。先日の試乗会では、リニア2.0tの175ps版でも山間部をパワフルに駆けめぐったが、エアロはそれ以上に発進時にスッと身軽に出る感覚が気持ちいい。ターボラグもまったく気にならず、あったとしてもトルコンが吸収する範囲内に過ぎない。予備知識がなければ、自然吸気エンジンとの差を指摘する人は少ないだろう。
 ボディ強度も旧型比でねじり剛性が約3倍と、いまやまったく不満はない。だからリニアとの差である、215/55R16から225/45R17へとタイヤサイズをアップさせた効果を、はっきりと味わうことができる。シャキッとした足元の剛性アップが顕著に感じられ、きちんとパワーの増大に見合った仕事をしてくれるのだ。
 リニアとの価格差は55万円。ならばこの場合、エアロの方が断然お買い得と思われる。
 
  トップの開閉はフルオートで、ロックも含め約20秒で完了する。畳み込むときのアクションにもこだわったというだけあり、その仕草はきわめてエレガント。
  2リッターの排気量はそのままに、タービン径を変更してパワーアップしたエアロ用ユニットは、209ps/30.6kg-mを発揮する。フィーリングはきわめて自然なもの。
  インパネの眺めは、セダンとほとんど変わらない。ATは5速のマニュアルモード付き、ステアリング上のスイッチでも変速することが可能。アルミトリムはエアロ専用装備。リニアはウッドとなる。


ドアパネル上部はボディカラー同色とし、インテリアのアクセントとして効かせている。またリアシートは広々とはいかないまでも、大人ふたりが座れる広さを確保。ぜひ使って遊びましょう。
  スウェーデン生まれだけあり、3層構造となるトップの耐候性はきわめて高い。セダンとは異なり、リアセクションは大胆なデザインが採用されている。
  SAAB 9-3 CABRIOLET AERO
■全長/全幅/全高(mm)
4635/1760/1435
■ホイールベース(mm)
2675
■トレッド(前/後)(mm)
1525/1505
■車両重量(kg)
1640
■エンジン種類
直4DOHC16V+ターボ
■排気量(cc)
1998
■最高出力(ps(kW)/rpm)
209(154)/5300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
30.6(300)/2500
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル:マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45R17(7J)
■東京標準現金価格
¥5,700,000
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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