ランドローバーのエントリーモデル、フリーランダーが、“レンジ顔”の新しいエクステリアを纏って生まれ変わった。
同時に、クラストップレベルのオフロード性能はもちろん、オンロード性能にも一層の磨きをかけ、「プレミアム」を名乗るに相応しい実力を手に入れている。


リポート|竹平 誠|M.Takehira フォト|徳永 茂|S.Tokunaga


 欧州小型SUVの定番、フリーランダーの'04年モデルが発売された。主たる変更は外観意匠であり、機能的にほぼ変化はない。現行レンジローバー風の顔つきへの変更はディスカバリー同様で、これが新しいランドローバーの統一意匠ということになる。ちなみに、ヘッドランプの変更は照射能力も高めている。また、バンパー周辺は車体色とのカラーマッチング・パネルを持つものとなり、実用一点張りだった黒い樹脂から随分と洒落た都会派となった。それでも、車体の対障害角が不変なあたりはランドローバーらしいところだ。
 インテリアも小変更を受けたが、見た目、触感とも固い印象の、高級というより実用車的素材感のダッシュ回りは不変。このクルマのタフなイメージを愛する人にはよいが、ちょっと高級な輸入車を求めるユーザーの食指を動かすにはやや心許ない。また、コンソール配置だったパワーウインドー・スイッチは一般的なドア配置になった。使いやすくはなったが、これまでのLR党を喜ばせたウンチク(窓を開けていても泥や雨にさらされないなど)の楽しみは減った。
 一方、フリーランダーをフリーランダーたらしめる本質的なキャラクターは不変。このセグメントでは異例なオフロードへのこだわりを見せるディテール、樹脂フェンダー(英国風にウイングというべきか)、徹底したアンダープロテクション、骨太なアーム類(特にリアアーム)など、ライバル車とは大いに趣が異なる。ランドローバーの末っ子ではあるが、決して他車のように華奢ではない。
 ビスカスカップリングを使う基本FFベースの4WDシステムは、電子制御が主流となりつつある今日では古くさくも感じるが、シンプルでタフという意味では本格的。フロントの回転がリアを上回らないとリアの駆動力が高まらない仕組みだが、100対0にはならないイニシャルのリア駆動配分を与え、またこれに組み合わせられるトラクションコントロールの電子制御を最適化(例えばビスカスのハンプ領域を有効活用)することで、優れたオフロード走破性を実現している。
 デビュー以来、このクルマの華はローギアードな1速を持つ5速AT(初代デビュー当時、多段AT化では並みの乗用車にも先んじた)で、これによる十分な駆動力が他車とひと味違う走破性に大きく貢献している。いかに4WDシステムが路面をグリップしようとも、絶対的な駆動力が足らなければ意味がないことをランドローバーは熟知していたのだ。
 ただし、ステアリングは操作が重い。タイヤサイズの拡大が影響しているのか、モデル初期から比べても重さを増したと感じる。これは少々、女性ドライバーを遠ざけるかもしれない。英国風スポーティ感の演出ともいえるが、フロント駆動力配分の大きい4WDシステムという理由もあるだろう。たとえば、トレーラーの牽引時や、滑りやすくハンドルを取られやすい不整地走行でもふらつかないというコダワリでもある。
 フリーランダーを、街にも似合うコンパクトSUVなどという表現で、他車とひと括りに語るのは適当でない。なぜなら、確かにサルーン並みのオンロード性能や日常の使い勝手を与えられてはいるものの、このクルマは軸足を本格SUV側に置くという独自のキャラクターを持つからだ。ランドローバーのいう「プレミアム」というセールスコピーは、このクルマの場合、高級を意味するとはいい難い側面もあるが、確かに明解な個性がもたらす特別な価値を持つという意味において、間違いなくユーザーにプレミアム感を与えてくれる存在だといえる。


  LAND ROVER FREELANDER HSE
■全長/全幅/全高(mm)
4380/1810/1770
■ホイールベース(mm)
2555
■トレッド(前/後)(mm)
1535/1545
■車両重量(kg)
1600
■エンジン種類
25K/V6DOHC 24V
■排気量(cc)
2497
■最高出力(ps(kW)/rpm)
177(130)/6250
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
24.5(240)/4000
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル: ストラット/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:ドラム
■タイヤ(ホイール)
225/55R17(7J)
■東京標準現金価格
¥3,650,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
 
  視線の高いコマンドポジションは、安全性という観点からも重要なアドバンテージ。現在日本に導入されるのは、HSEとSEの2グレードの5ドアのみとなる。
  用意されるエンジンは2.5リッターのV6のみ。コマンドシフトと呼ばれるマニュアル操作が可能な5ATにより、オン/オフ問わずエンジンパフォーマンスを存分に引きすことを可能にしている。
  上級グレードのHSEが履くのは17インチの“Flat Spoke”アルミホイールで、225/55R17サイズのタイヤと組み合わせられる。一方のSEは16インチ“Active”に215/65R16という組み合わせだ。
  フロント&リアバンパーはボディ同色となり、テールランプは従来モデルよりも高い位置に移動。視認性の向上を実現するとともに、オフロード走行時に付着する泥汚れなども軽減。
  まったく新しくなったインテリアは、レンジローバーと同様に水平と垂直のラインを基調にしたデザインを採用。さらにレザーやメタリックパーツを多用し、質感を高めている。


新型のシートは上半身だけでなく太股を下からサポートする設計。インテリアの素材は、ファブリック、アルカンタラ、ステッチのある本革の中から選択可能となる。


リモコンキーで操作できる「ドロップ・ウインドウ」は、わざわざ大きなリアゲートを開けることなく、荷物をラゲッジスペースに放り込むことが可能な便利機能だ。



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