アルファGTの国際試乗会が11月中旬、モンテカルロを拠点に行なわれた。
このモデルの存在は早くから知られていて、156をベースにしたバリエーションと理解されていたが、実際に登場したベルトーネ・デザインを纏うクーペは、その範疇にとどまらない独特の世界を築いていた。
リポート|小倉正樹|M.Ogura(本誌) フォト|フィアット・オート・ジャパン |
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のっけからなんだが、このアルファGT、非常に魅力的なクルマだと思う、いまは。いまはというのは、TMSで初めて実車を見た時には、そうは感じていなかったからだ。隣にあったのは8Cコンペティツィオーネ。アルファGTとてかすんでしまうのもムリはない。ハッチゲートを持つというのも、なんだか変。が、今回、試乗会で多少はユックリこのクルマと付き合ってみると、そのよさがジワッと実感できた。特に美しいと思うのはリアビューだ。小さなテールランプを左右の高いところに置くあたり、また一見のっぺらぼうに見えるトランクフードが、実はわずかな膨らみとエッジが組み合わされるという絶妙な造形であるのもいい。その走り去る姿はきわめて印象的で、余韻が残る。大人っぽい、こんなクーペは久々だ。
デザインは、カロッツェリアの老舗のひとつ、ベルトーネであるという。ベルトーネといえば、一部富裕層を相手にした戦前の立場から、戦後の、広く一般大衆に向けた自動車を生産するメーカーとなったアルファの基盤を築き、現在のアルファに繋がるイメージを打ち立てたとされるジュリアGTクーペのデザインを生んだカロッツェリア。最近、そのデザインが量産車に結びついた例はあまり聞いていなかったから、これは再び力を取り戻した証だろうか。これも、リポーターがこのクルマを好ましく思う理由のひとつ。アルファ好きのひとりとしては、かつての伝統、らしさが戻ったようで歓迎したいのだ。
ただ、残念なのは、このアルファGTには技術的なところでの目新しさがあまりない点だ。その内容は、既存の156、147のパーツを組み合わせて成立させた派生車種的であることだ。ホイールベース2596mmは156と変わらず、サスペンションもフロントがダブルウイッシュボーン、リアがトランスバースリンク+ストラットと基本的に変わらず。用意されるエンジンは、ガソリンが4気筒2リッターのJTS165ps仕様、6気筒3.2リッターの240ps仕様2種。ディーゼルが4気筒1.9リッター、フィアット自慢のマルチジェットを採用した150ps仕様の1種。トランスミッションは、JTSに5速マニュアルとセレスピードが用意され、V6とディーゼルに6速マニュアルが用意されている。
その室内の印象は、147と大きく変わるところはない。目新しいのは、フロアコンソールのサイドにニーサポートのようなパッドが装着されたことぐらい。ダッシュボードの造形は、ほぼ147そのままだ。ただ、コーナーにダブルステッチを施したレザーを張って、高級感を演出する。アルファの伝統に従うなら、このダッシュの造形も変更したはずで、このあたりにやはりコストダウンが意識された派生車種の限界というものを感じたりもする。それでもいいといえばいいが、外観に見合う、新しいデザインのダッシュボードを見たかったというのが本音だ。
まあしかし、少なからずあるこうした不満も、乗ってしばらくするとどこかに消えていってしまう。もともと、アルファにはそういった魔力のようなものが存在するが、このアルファGTにはとりわけそれを強く感じることになったのだ。
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サイドを流れるキャラクターラインは147系だが、そこから下の微妙なウネリや、前後フェンダーの膨らみはGT独自のもので、全体に強い存在感を放つ。マッシブな下半身に低く見えるキャビンを乗せて、スポーティな印象を際立たせている。 |
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147のものを使い、その表面にレザーを貼り付けたというダッシュボード。稜線にはダブルステッチが走り、高級感が演出されるが、GTに相応しいかどうかは疑問。もちろん、操作性に問題があるわけではないが。 |
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フロントシートは、全高が低く抑えられたクーペということで低めにセットされている。あたりがソフトなのに、ホールド性が高いという絶妙のセッティングは変わらず! |
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前後長の長い、大きなドアは開口角度も大きく、それゆえにリアシートのアクセス性は意外によい。この空間そのものは、ヘッドクリアランスこそギリギリだが、十分使える。 |

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| アルファなんだから、別にハッチゲートを持たせなくてもと思うが、使い勝手を考慮すると、これは必然か。トランクの容量は320リッター。リアシートはご覧のように不等分割可倒式となっていて、ダブルフォールディングで畳んでいけば、スポーツワゴン並みとはいわないものの、結構な容積を得ることができる。 |
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