スポーツカーの「教科書」として常に何かしら改良の手が加えられているポルシェ911。
とはいえ'04年モデルに関してはそのほとんどが従来と同じ。
だが、オプション装備は話が別。
MT派に、なんとも悩ましいアイテムが用意されたのである。


リポート|小野泰治|T.Ono(本誌) フォト|宮門秀行|H.Miyakado

 向上するパワーは、たったの25ps。最大トルクに至っては、ノーマルと変わらない。それでオプション価格は168万円ナリ。'04年モデルの911に設定された(NAエンジンを搭載するMTのクーペ限定だが)「ハイパフォーマンスキット」、ハッキリいって数値だけ見るとちょっと寂しい。
 キットの内訳は、アルミ製インマニや各シリンダーからのパイプが合流するクロスセクションを太くしたエキマニ。そしてハイカムと専用チューンのシリンダーヘッド(主にオイルラインを強化している)など、さすがに充実している。でも、たとえば80psが105psになったというならともかく、320psが345psでは劇的な性能アップとはいいがたい。
 しかし、走らせてみればノーマルとの違いは明らかだ。それも、重箱の隅をつつくように観察してようやく分かる程度ではない。ノーマルを知っている人なら、たぶん一度でもフル加速させればキットの効能にニンマリするハズ。
 最初の違いは、4000rpmを超えた辺り。ここで、ノーマルよりひと回り力強い加速感が味わえる。それに気を良くしてアクセルを踏み続けると、今度は6000rpmから先で回転上昇はさらに鋭さを増し、レブリミッターが作動する7400rpmまで一気に吹け上がる。大げさに表現するなら「2段ロケット感覚」である。
 もちろん、ノーマルの320psだって十分に魅力的だ。でも「プラス25ps」の世界を知ってしまうと、スポーツカーのユニットとしてはやはりこちらに軍配を上げざるを得ない。庶民感覚からすれば高価なオプションだが、911の新車を買えるMT派なら、決して高い買い物ではないと思う。
 


'04年モデルの追加装備は、シートベルト未装着の警告ブザー程度。これはアメリカで義務化されたことに対応したもので、警告音はベルトを装着しないと鳴り止まない。元々、警告灯の表示が充実していただけに少々、煩わしいが……。
  ハイパフォーマンスキットの効能は、フィール面で顕著。ノーマルよりメリハリある加速感が魅力だ。カレラ、カレラ4、カレラ4Sのクーペ、MT仕様で選べる。ラインオプションで価格は1,680,000円。
  たった25psというなかれ。実際に走らせてみれば、その魅力は誰にでも理解できるハズ。惜しむらくは、見ためがノーマルと全く同じなこと? 6速MTのギア比は(1)3.818 (2)2.200 (3)1.516 (4)1.216 (5)1.024 (1)0.840。ファイナルは3.444。
  エクステリアは、'03年とまったく同じ。試乗車のボディカラーは、カスタムカラー扱い(410,000円のオプション)の「ザンジバルレッド・メタリック」。
  PORSCHE 911 carrera 4S
■全長/全幅/全高(mm)
4435/1830/1295
■ホイールベース(mm)
2350
■トレッド(前/後)(mm)
1470/1530
■車両重量(kg)
1520
■エンジン種類
水平対向6DOHC 24V
■排気量(cc)
3595
■最高出力(ps(kW)/rpm)
320(235)/6800
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
37.7(370)/4250
■トランスミッション
6MT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル: マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
F:225/40ZR18(8J)
R:295/30ZR18(11J)
■東京標準現金価格
¥11,820,000
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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