AC SCHNITZER:Supercharger

究極にして最強の奥の手

200ccも排気量差があるのだから嘆くほうがワガママというものだが、でもやっぱりM54の2.2リッターを知ってしまうと、ル・ボラン号のM52・2リッターはちょっと寂しい。
というわけで最終兵器登場。スーパーチャージャー搭載のE46型320iを初体験してきたのだ。マジ、すごかったッス。

リポート|尾島信一|S.Ojima(本誌)| フォト|渡邉慎一郎|S.Watanabe
問い合わせ先=アドベントTEL03-5499-2161
取材協力=スタディ仙台TEL022-773-8639
※掲載している製品、価格は本誌発売当時の情報です。
パワー&トルクの充実には感動すら覚える

 ル・ボラン号E46初期型320i、M52・2リッターエンジン搭載。切れ味鋭い高回転はまだしも、その低速トルクときたらM52・2.2リッター搭載の320iと比べると一抹の寂しさを覚えてしまうことはまったく否定できない。思えばその不足感をいかにして埋めるか、ということに連載中かなりの労力を割いてきたわけだが、吸排気、コンピュータ、点火系の格チューンを経て、トルク&パワーはだいぶ増してきた。現状では完成型、と自負している。それでもやはり、M54の2・2リッターには及ばない、というのは厳然たる事実。
  そこで、スーパーチャージャーである。これは排気量アップに匹敵する、いわば最終手段。BMWのモディファイに興味のある方ならご存じだろうが、現在ドイツのBMWチューナーの間では、パワー&トルクアップの最もポピュラーな方法としてスーパーチャージャーが盛んに用いられている。
  ただし、価格が高い。たとえば今回紹介するACシュニッツァーのスーパーチャージャーキットは、取り付け費込みでおよそ100万円だ。これは編集部としてはおいそれと出せる金額ではないし、そもそも100万円上乗せすれば330iもターゲットに入ってくる。とはいえ、すでに320iを所有していて簡単に買い換えるわけにもいかない、でもトルク&パワーは欲しい、というオーナーにとっては、やはり気になるメニューには違いない。
  そこで、ル・ボラン号には装着できないけど、装着したクルマに乗ることはできないものか、とACシュニッツァーの輸入元、アドベントに問い合わせてみた。すると、スーパーチャージャーを装着した初期型の320iは日本に3台あるという。そのうちの1台がスタディ仙台にあるというので、早速試乗に訪れた。
  このスーパーチャージャーは、BMWのトップチューナーであるACシュニッツァーが、レーシングチームのシュニッツァーと共同で開発したキット。取り付けスペースの関係で、ターボではなくコンパクトなスーパーチャージャーを選択、ボルトオンで装着することが可能で、作業は指定のショップ等で行なう。ラインナップは現在M52搭載の初期型320i用のみで、年内には330i用も導入される。
  キットはタービンの他にカーボン・フィルター・パイプ、エアフィルター、リア・スポーツ・サイレンサーがセットされ、それに燃調等コンピュータの再プログラミングが加わる。コンピュータはボックスごとクルマから外してドイツ本国に空輸、現地にて書き換えられたものが送り返されてきて、ふたたびそれを装着して完成となる。
  ブースト圧は約0・35kg/゙と、国産車のハイパワーチューンに比べれば控えめに映るが、自然なフィーリングや耐久性まで考え合わせて決定された数値だけに、信頼性は抜群だという。事実今回試乗した320iは、取り付けてから2年が経過していたが、トラブルは皆無とのこと。
  そうして得られるエクストラパワーは、ノーマルプラス58
psの208ps、最大トルクはノーマルプラス4.1kg-mの23.5kg-mとなる。ちなみに、2.5リッターエンジン搭載の325iは192ps/25.0kg-m。パワーで上回り、トルクは若干下、という数値だ。パワー&トルク特性を見ると、ノーマルに比べて4000rpmから上のパワーの伸びが凄まじく、トルクに至っては2000rpm以上で明確な差が現れている。スーパーチャージャーでトルクもりもり、という感じを想像していたのだが、グラフを見る限りでは高回転が非常に美味しそうだ。
  さて、試乗だ。試乗車は'99年式の320iで、つまりル・ボラン号と一緒。走行距離もル・ボラン号6万kmに対し5万kmと、まさに絶好の比較対象。期待に胸を膨らませつつアクセルを踏み込む。スーパーチャージャー特有のミャーミャーした音色は若干耳に入るが、よほど注意しなければ気になることはない。
  ひと踏みめから、思わず感嘆の声が出た。明確にトルクの厚みが違う。さらに踏み込んでいくと、4000rpmを超えた辺りからのパワー感の伸びが半端ではない。確かにこれは325iを上回るかもしれない。特筆すべきは、BMW特有の高回転のキレが失われていない点。6000rpmを超えてもまだ伸びていく印象なのだ。
  確かにこれはすごい。装着すればそれだけの満足感を得られることは間違いないだろう。あとは価格との相談になるが、320iのショートストロークによる回転フィーリングが気に入っているなら、ぜひ試してみる価値はある、というのが結論だ。
 
  カーボン・フィルター・パイプ/エアフィルター/リア・スポーツ・サイレンサーがセットされ、それにコンピュータの調整が加わる。M52搭載の320i用。価格はオープン、工賃込みでおよそ100万円だ。330i用も年内発売予定。
  乗る前は、スーパーチャージャーで低速トルクを補って、高回転はNAの爽快な回転フィーリングを残して、というような想像をしていたのだが、実際乗ってみると高回転の力強さが半端ではない。
  ▲スーパーチャージャー装着後は208ps/23.5kg-mを発揮する。M52搭載のノーマル320iが150ps/19.4kg-mだから、そのスペックアップはまさに劇的といえる。
  ターボよりもコンパクトにまとめられるスーパーチャージャーだからこそ、わずかなスペースに装着することができる。
  セットされるACシュニッツァー・スポーツ・リア・サイレンサーはV2A特殊鋼製で、単独でのパフォーマンスも高い。
  試乗した320(左)は、ACシュニッツァーのパーツでモディファイされていた。'99年式で走行はおよそ5万km。同年式のル・ボラン号(右)とほぼ同コンディションだ。
 
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