906、910、935、そして959。
ポルシェはこれまでにも、その時代における最高の技術、とりわけレーシング・テクノロジーを注ぎ込んだ、
公道走行可能なスーパースポーツを世に送り出してきた。
そして21世紀、カレラGTがついに発進した。
授けられたのは、考えられる限りの技術と情熱。
それでは、ポルシェの“現在”を見てみることにしよう。


リポート|吉田 匠|T.Yoshida フォト|ポルシェ・ジャパン

 2000年秋のパリ・サロンで突如コンセプトモデルを発表、世界を驚かせてからちょうど3年経った今年9月、ポルシェはドイツのベルリン郊外に限られたジャーナリストを招いて、カレラGTの国際プレス試乗会を開いた。
 舞台は旧東ドイツ軍用飛行場跡地に設けられた、ミシュラン・ドライビング・センターである。テストデイ当日、そこには4台のカレラGTが待っていた。シルバーの3台がジャーナリストの試乗用、真っ赤な1台が現在ポルシェのテストドライバー兼デモンストレーションドライバーをやっている元WRCチャンピオン、ワルター・ロールの専用車である。
 全長4613×全幅1921×全高1166mm、ホイールベース2730mmという数字からも想像できるとおり、現物のカレラGTはかなり低く大きく見える。全幅はフェラーリ・エンツォより10cm以上狭いのにそうは見えないのは、両車のリアスタイルの違いが主な要因だろう。
 このカテゴリーのスーパースポーツには珍しく、カレラGTは最初からオープンのスパイダーボディをメインに開発されたが、幅広いサイドシルからも分かるように、コクピットを囲むモノコックはカーボンファイバー製である。まずはクローズドのコクピットに潜り込むと、そこは紛れもなくポルシェ・ドライバーの仕事場だった。シートフレームがカーボンファイバー製であるなど、高価な素材が惜し気もなく使われているが、レカロ・スタイルのバケットシートも、ステアリングホイールも、タコメーターを真ん中に置くメーターパネルも、そしてなにより適度にタイトなコクピット全体の空間も、996のそれと共通する雰囲気に満ちている。
 それでもカレラGTのコクピットには、ほかのポルシェと異なる部分があった。ダッシュの中央から流れるように続くセンターコンソールと、そこから生えるシフトレバーである。ライバルの多くと違って、カレラGTは古典的な3ペダルの6段MTを採用して登場したが、そのシフトノブの位置がポルシェとしては異例に高い。
 しかし実際に走ってみると、そのポジションは存外に具合がよく、シフトが気持ちよく決まる。しかも、ミスマッチに思えるウッドシフトノブの感触と操作感も、実に心地好い。
 
  モノコックとリアの特徴的なサポートフレームには、軽量かつ高強度なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用。CFRPはレースカーの世界ではよく使われる素材。
  サイドのプロポーションはきわめてミッドシップらしいもの。2730mmのホイールベースは、ほぼル・マンカーと同じディメンションだ。前後重量配分は42:58となっている。
  ル・マンカーへの搭載を前提に開発されたV10ユニット。排気量は当初の5.5リッターから5.7リッターに拡大されており、612ps/8000rpm、60.2kg-m/5750rpmを発揮する。
  '70年代の917をイメージしたというヘッドランプ。左右フェンダーの盛り上がりは、'60年代の718RSKスパイダーがモチーフ。
  リアスポイラーは120km/hで自動的に作動、5秒で160mmせり上がる。アンダーフロアの整流効果と合わせ、Cd値は0.396をマーク。
  ブレーキディスクは911GT2にも採用されたセラミック製で、フィーリングでは定評のあるポルシェの中でも最良。ホイールは鍛造。

 
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